2024年度の健康経営顕彰制度の4つの主な変更/検討点について解説

2023年7月18日(火)に第9回 健康投資ワーキンググループが開催されました。

本ワーキンググループの議事次第はこちらをご参照ください(全ての資料はこちら)。

主な議論点は「今年度の健康経営優良法人認定制度及び健康経営銘柄の設計等について」です。

健康経営顕彰制度は、これまで国が運営してきましたが(シンクタンクに委託)、2022年度より、補助事業として日本経済新聞社に委託することで、民間運営化による認定法人向けのサービス向上を目指しています。

今年度は「情報開示の促進」「社会課題への対応」「健康経営の国際展開」「取組法人の裾野拡大」という4つの視点を中心に健康経営顕彰制度の設計について議論されましたので、下記に解説していきます。

あくまで現時点での方針「案」として捉えて頂きながら、ご一読ください。

健康経営度調査の設問項目の改定案

情報開示の推進

特定健診・保健指導の実施率の評価 【大規模】

企業と保険者の連携(コラボヘルス)の促進のため、企業(事業主)単位の特定健診・特定保健指導の実施率を問い、評価対象とする方針です。
※使用するデータは「健康スコアリングシステム」により作成されたデータ

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

 特定健診・保健指導実施率については2022年11月に国へ法定報告し、2023年3月に保険者に通知する「2021年度特定健診・保健指導実施率データ」が直近値であるため、 調査票への回答範囲とは1年間のタイムラグが生じます。

上記を踏まえ、調査票に回答する取組期間と1年間のタイムラグが生じることを前提とした整理が必要です。

【出典】健康・医療新産業協議会 2022年12月12日 第7回健康投資WG資料より.

業務パフォーマンス指標の開示 【大規模】

昨年度の調査において、業務パフォーマンス指標に関して「測定方法」及び「複数年度分の 測定結果」の開示状況について問うたところ、既に一定数の企業が開示に取り組んでいる状況であることが分かっています。

なので今年度より、「業務パフォーマンス指標とその測定方法」を開示していることを評価対象とし、ホワイト 500に関しては認定要件とする。

さらに測定範囲・回答率についても開示状況の確認を行う。
※「複数年度分の測定結果」については、今年度は対象外

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

労働安全衛生に関する開示 【大規模】

国際的な開示基準の動向等を踏まえ、健康経営の推進目的・体制だけでなく、労働安全衛生・リスクマネジメントの開示状況についても問うことになりました。
※次年度以降、労働安全衛生の具体的開示内容や指標について精査した上で必須要件とすることも検討

労働安全衛生・リスクマネジメントは、健康経営に取り組むにあたっての土台であり、それらを含む開示内容を一連で問うことにします。

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

労働安全衛生に関する開示が義務化された背景には、令和5年1月31日「企業内容等の開示に関する内閣府令」の一部が改正され、開示が望ましいとされたことがあります。

【出典】非財務情報可視化研究会「人的資本可視化指針」

社会課題への対応 

仕事と育児・介護の両立支援 【大規模・中小規模】

仕事と育児・介護の両立支援に関する設問を新設し、適切な働き方の実現を問う設問(Q44)と両方取り組むことを認定要件とします。
※中小規模法人については認定要件とせずアンケートにて現状を把握

介護を抱える従業員の把握方法や管理職・従業員研修への参加率、女性の育児休業後 の復帰率、男性育休の取得率等の定量数値についても把握する。
※評価には用いない

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

女性特有の健康課題 【大規模・中小規模】

女性の健康課題に取り組む企業をより一層促進するため、関連施策への参加状況を開示しているかどうかを評価の対象とします。

選択必須項目としていた、性の健康課題に関する認知向上のための取組状況を 問う設問(Q56)及び行動変容促進の取組を問う設問(Q57)について、両設問への回答をもって認定要件とします。

不妊治療に対する支援については、昨年度まで女性の健康の設問で問うていたが、 女性に限定されないことから、「仕事と治療の両立支援」の選択肢に移動します。

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

女性特有の健康課題に関する評価項目が追加された背景には、令和5年6月に女性活躍・男女共同参画の取組を加速するため「すべての女性が輝く社会づくり本部」にて決定したことが挙げられます。

【出典】内閣府男女共同参画局

生産性低下防止のための取組 【大規模・中小規模】

生産性低下防止のための取組として、新たに、花粉症及び眼精疲労に対する具体的な支援を追加する。 

※令和5年5月「花粉症に関する関係閣僚会議」において、「花粉症対策の全体像」がとりまとめられ、 その中で企業における従業員の花粉曝露対策が求められました。

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

新型コロナウイルス感染症への対応 【大規模・中小規模】

これまで新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、個別に対応策を問うていたが、5類感染症への移行を踏まえ、インフルエンザ等を含む感染症対策を問う設問へ統合します。
※ただし、5類移行後の企業等における対応策の変化について把握するため、今年度はア ンケート項目として問うこととする
※評価には用いない

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

健康経営の国際展開 

海外従業員への対応 【大規模】

健康経営の国際展開の検討のため、海外駐在員や、現地法人で雇用されている社員の健康増進、健康課題への対応等を把握するため、新たに設問を設けます。
※評価には用いない

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

取組法人の裾野拡大 

中小企業への普及拡大策【中小規模】

中小規模法人の更なる裾野拡大を目指すとともに、取り組む上での参考としてもらうため、まずは配点を行っているブライト500申請法人について結果のフィードバックを行います。
※ブライト500の露出拡大を目的として、優秀な取り組みをしている法人の顕彰もしくは公表を行うことを検討
※次年度以降、中小規模法人に申請する全法人に対してフィードバックを行うことを検討

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

健康経営銘柄2024選定基準及び健康経営優良法人2024(大規模法人部門)・健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定要件案は下記の通りです。

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.
【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

健康経営銘柄2024の選定基準の変更点

大規模法人部門における、健康経営銘柄は健康経営度調査回答企業の中から、以下の流れで選定を行う方針です。

今年度より、「社外への情報開示の状況」について、Q19で回答した開示URLの内容を確認することとなりました。

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.
【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

今後の健康経営の在り方について

これまで、第9回 健康投資ワーキンググループでの議論の基盤となった方針案について説明してきましたが、主な議論点は下記とされていました。

  • 「Ⅰ.今年度の改訂ポイント」でお示しした素案の内容について、ご意見をいただきたい。
  • 健康経営が当たり前になる社会に向け、p24においてお示しした「健康経営の目指すべき姿」、及びその実現のための手段としての
    ①健康経営の可視化と質の向上
    ②新たなマーケットの創出
    ③健康経営の社会への浸透・定着
    について、ご意見をいただきたい。

議論として、今後の健康経営の在り方についても深く議論がされていました。

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

現状、健康経営優良法人認定制度に申請する法人数は約1万7千社に拡大し、2022年度は日経平均株価を構成する225社のうち85%が健康経営度調査に回答しています。

申請法人の増加に伴い、認定法人で働く従業員数も837万人まで増加しました。(日本の被雇用者の約15%)

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

参考:効果分析事例

令和4年度委託事業において、健康経営の実践によって企業や従業員にどのような効果があったのか、健康経営度調査のデータを活用し分析を行いました。
一例として、健康経営で上位の認定を受けている企業ほど、ワークエンゲイジメントが高い傾向が見られました。(株式会社アドバンテッジリスクマネジメントの調査)

また、健康経営支援サービスを提供する会社によるストレスチェックの独自分析においても、健康経営推進企業について、高ストレス者割合が有意に少ない結果が見られた。

バックテックも調査の委託を行い、健康経営に6年以上取り組んでいる企業において、従業員のプレゼンティーズムは下がり、生産性が高くなっている傾向がみられた結果を提出しました。

【出典】健康・医療新産業協議会 第9回健康投資WG資料より.

特定非営利活動法人健康経営研究会の提言「健康経営資本の構築」にて健康経営資本構築に関する考え方のフレームについて以下を提示していました。

  • 健康経営の基本的な目的は「人財の資本化」であり、これは2006年から変わっていない。しかし、社会構造の変化に合わせて健康経営の戦略を見直す必要がある。かつては企業視点で健康経営を捉えていたが、未来の企業戦略としては人を重要な要素としたマネジメントがより重要になってきている。
  • 従来は企業内での健康経営が主だったが、現在は企業活動が社会的な評価を受けることが重要な戦略となり、それが企業のブランディングにも影響を与えるようになっている。パーパス経営も注目されており、社会的な視点でのマネジメントが重視されています。これらの視点を意識した企業ブランディングは、従業員にとってもモチベーション向上や「働きがい」に関連している。

まとめ:健康経営が従業員のモチベーションにつながる

各社、社会構造の変化に合わせて戦略の見直しを行なっており
その中で今回の社会課題への対応、健康経営の国際展開等の変更へと繋がりました。

健康経営が従業員のモチベーションにつながるという効果分析も行われており、健康経営の重要性が高まっています。


当社では、中長期の経営戦略と健康経営戦略との連動性を確認・意識しながら、経営視点での健康経営のPDCA支援を得意としていますので、ぜひ健康経営のお困りごとがある場合は、お気軽にお問い合わせください。

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