ICTを活用した健康経営で従業員の健康意識の醸成と行動変容を目指す

田辺三菱製薬株式会社
社名
田辺三菱製薬株式会社
事業内容
医薬品事業、医療用医薬品を中心とする医薬品の製造・販売
設立
1933年12月13日
合併期日
2007年10月1日
資本金
500億円
売上高(連結)
4,338億円(連結20187年3月末)
従業員数(連結)
4,222名(単体2018年3月末)、 7,187名(連結2018年3月末)
事業所
本社(大阪市中央区道修町)、東京本社 営業拠点15カ所(札幌、宮城、北関東、甲信越、埼玉、横浜、東海、京都、大阪、神戸、中国、四国、九州) 研究拠点2カ所(戸田、横浜、加島、湘南)、海外拠点1カ所(上海)
グループ会社
大阪4社、北米10社、欧州2社、中東1社、アジア9社(2019年9月現在)
URL
https://www.mt-pharma.co.jp/index.php

お話を伺った方

この度は、田辺三菱製薬株式会社人事部健康推進グループの四方さまと黒田さまにお話をお伺いしました。

事業内容について教えてください

薬の歴史を創造した町として知られる大阪道修町に本社を構える『田辺三菱製薬グループ』は、医療用医薬品をメインに扱う製薬企業です。創業1678年から340年以上に渡り、「医薬品の創製を通じて、世界の人々の健康に貢献します」という企業理念の追求にまい進しています。

現在は革新的で価値のある医薬品を提供することで、多くの患者さま、そして医療の未来を切り拓くことが「果たすべきミッション」であると考えています。

これからも「健康寿命」を延ばし、皆様のクオリティ・オブ・ライフの向上が約束された輝かしい未来を実現するために、社会貢献に尽力してまいります。

従業員の健康課題に着目する理由

田辺三菱製薬グループは、「世界の人々の健康に貢献します」ということを経営理念としています。まずは、従業員一人ひとりがご家族ともに、活き活きと健康になっていただくことが大切だと考えています。

そこで、2016年4月に健康方針を定め、次の”4つの柱”を中心とする取り組みを進めています。

・「働き方改革」の推進
・「メンタルヘルス」についての対策を強化
・社員と家族の「生活習慣病の予防」
・社員の意識の醸成
・健康ムーブメントから始まる「組織文化変革」

2017年4月には人事部内に「健康推進グループ」を新設し、グループ全体の健康経営のさらなる進化のために、さまざまな施策の企画・立案・推進を行い、その結果、2017年から3年連続で、経済産業省が主導「健康経営優良法人~ホワイト500~」の認定を取得することができました。

コラボヘルスが上手くいっている理由

健康保険組合と人事部で平素から定例会を実施し、健保と会社が一体となり健康施策の検討、推進を行っております。また、人事と健保スタッフの人材交流が多いことも連携を強化している事が要因の一つと思います。

やはり、健保には健保の役割があり、保健事業は被保険者に対してできるだけ公平に実施する必要があるのですが、なかなか健保からの発信では従業員が動かないという事があります。

その為、会社からの発信を利用しながらやっていくというという事が必要だったりします。現在は月に1回定例会の場を設け、情報共有や意見交換を行うことで、様々な施策も協力しながら行ってるのが、上手くいっている理由だと思います。

会社が進める健康施策での課題を教えてください

課題としては、営業職の社員の健康管理ですね。車移動が中心となることから外食が多く、健康管理がなかなか難しい部分があります。

営業の時間を削ってまで面談やセミナーの時間に当てることも難しいため、医療職が介入できる機会が少ないという問題もあります。

そこで、営業職が全員参加する合同会議の機会を利用して、食事セミナーを開催しました。営業職の大きな健康課題でもある「食生活の見直し」が目的です。

グループ全体で行っている健康増進施策としては、「ウェアラブルデバイス」を使った健康管理を支援しています。

スマートフォンやアプリと連動して、活動量や睡眠状態を把握し、生活習慣の改善を促進する目的です。

なぜポケットセラピストを導入したのでしょうか?

コラボヘルス研究会でデータ分析を行った結果、「肩こり・腰痛による労働生産性の低下」を示す数値が明らかになりました。

「肩こり・腰痛」は、健康診断などでも見過ごされがちですが、「労働力」という観点では仕事の効率が下がるため、会社としては大きな損失になります。

もっとも、生産性にとってはストレスなどによる心身の不調の方が影響が大きいのですが、社員にとっても「肩こり・腰痛」の方が、改善に向けて取り組みやすいというところがあるようです。

ストレスの原因が、「肩こり・腰痛」であることも多いですからね。そこでポケットセラピストを利用することになりました。

医療職が在籍する事業所の従業員だけでなく、全国の拠点に居る営業職や出向者に対しても手軽に取り入れることができるのが、導入の決め手です。

ポケットセラピスト導入により期待していること

ポケットセラピスト導入において期待していたのは、利用者の「腰痛・肩こり」の症状が軽減し、仕事への支障が減って生産性が上がることです。

それに関しては、実際にポケットセラピストを利用することで「運動習慣がついた」というデータが出ています。

例えば、男女ともに1日の歩数が1万歩に限りなく近づきました。これは、全国平均より3000~4000歩も多い数値です。

脂肪が燃焼すると予測される運動時間についても、55分もの増加がありました。さらに、うつ症状リスクの改善も見られています。

ポケットセラピスト導入後、日々の生活において、意識して身体を動かす割合が増加したという結果が明らかになりました。

ログが可視化されることで、利用者のモチベーションアップにつながっています。

今後の保健事業含め加入者の健康増進施策の方針について

IT・IOTを活用した健康管理システム「i2 Healthcare」を通して得た、三菱ケミカルホールディングスグループ共通の健康指数を活用し、グループ統括産業医を中心とした体制を構築します。

それにより、さらにそれぞれの健康施策について、効果検証を行っていきます。

健康白書を作られた背景は?

2017年からやっています。2016年の頃から従業員が自分たちの会社の健康課題を認識して欲しいと検討を始めました。

今、健康経営推進委員会という形になってやっていますが、それは年に1回です。

実はその健保とのコラボは昔から進めておりまして、年2回は委員会を開催し、そこで施策の共有なども行なっていました。

しかし、そこ止まりで従業員に伝わっていないと感じていました。そこで、紙で見るのが大事かと考え、効果検証の意味も含めて作っていくことになりました。

最初は見てもらうということもあり紙で配布していましたが、健康白書があるという認知が広まったので、今年は一部配布で、従業員向けにはWEBで掲載しています。この健康白書の活動により、会社が健康課題に力を入れている認識が広まりました。

委託業者にもデザイン協力いただいているのですけど、いろんな冊子があるなかで見やすいと言っていただいています。

最後に従業員の皆さんに向けてのメッセージを一言お願いします。

健康に関するリスクを改善したり、病気を予防するために、さまざまな施策を講じたりすることは大事だと思います。

ですが、それだけで企業が発展したり、従業員の皆さんが幸せになったりできるものとは思っていません。

「働くことで健康になる」という状態を目指したいのです。「働く」というのは、もっと「素敵なこと」のはず。

「ここで働くと、今よりもっと健康になれる」という健やかな企業でありたいのです。そんな企業で活き活きと働く社員が、世界を健康にする薬を創る…製薬企業グループの一員として、そんな素敵な未来を皆さん一緒に創っていくことができれば幸せだなと思っています。

これは、当社の統括産業医のメッセージでもあります。この考えを健康スタッフに共有し健康施策を進めています。

四方様弊社の健康方針・企業理念にも「世界の人々の健康に貢献します」とありますので、従業員自身も健康になっていただきたいです。

従業員という意味では一組織人ですが、家庭に帰り、会社を離れたら社会の一員です。プロダクトやソリューションベースで健康に貢献するというのは企業人として必要ですが、私人として自ら健康になるために、家族の健康に気遣いをし、家族皆で運動したりということを社会全体に繋げていってほしいと思います。

何かと後回しにされがちなのが健康ですが、ご自身やご家族の健康意識の向上は周囲にもよい影響を与えると思いますので、社会人として一人一人やっていただきたいという想いはあります。

黒田様一人一人が健康になって活き活きと働くことで充実したワークライフを送ることができる。その結果、生産性も向上し、企業がもっと成長し続けるようなことが実感できたらいいなと思っています。

それには、私たち一人一人の従業員に対する声掛けが、すごく影響を及ぼすと思います。その為にも、産業保健スタッフのスキルアップ、特にコミュニケーション力も重要で、努力していかなければならないと考えています。

そうすることで、従業員にベネフィットを提供できる機会を増やしていきたいです。多数の従業員に対しての働きかけになるので、責任も感じながら前向きにやれたらと思っています。