肩こり、腰痛…プレゼンティーイズム改善とメンタルヘルス対策 注目したい健康経営の運用効果と投資家評価

日本ユニシス株式会社
社名
【日本ユニシス株式会社】(東証一部上場)
事業内容
クラウドやアウトソーシングなどのサービスビジネス、コンピュータシステムやネットワーク システムの販売・賃貸、ソフトウェアの開発・販売および各種システムサービス
設立
1958年3月29日
資本金
54億8,317万円
売上高(連結)
2,990億2900万円(2019年3月期)
従業員数(連結)
7,740名(2019年3月31日現在)
事業所
本社(東京)、支社(関西、中部、九州)、支店(北海道、東北、新潟、北陸、静岡、広島)
札幌テクノセンター、東京エデュケーションセンター、伊豆エグゼクテブ・センター
URL
https://www.unisys.co.jp

お話を伺った方

もともと人材の活性化や風土改革に力を注いできた同社は、ダイバーシティーと働き方改革で一定の成果をあげています。そして中期経営計画を機に健康経営をスタートさせました。
この度は、日本ユニシス株式会社 橋本和昭さま 人事労務管理室 担当課長(健康経営エキスパート)に詳しくお話を伺いました。

事業内容について教えてください

橋本さま「顧客の経営課題の認識から解決に至るまでの一貫したITソリューションサービスを提供しています」。
「主な事業としては、コンサルティング、システムインテグレーション、サーポートサービス、アウトソーシング、ハードウェア販売、ソフトウェア販売などになります」。

健康経営を始めたキッカケとは

橋本さま「今までの健康管理は福利厚生としての取り組みであり、社内に診療所を設置していることに加え、健康診断やストレスチェック、インフルエンザ予防接種などの実施を行ってきました。また、休職者の復職支援も10年以上前から取り組んでいます。ただしビジネスと直接つながっている取り組みではありませんでした」。

「状況が変わったのは中期経営計画(2015年〜2020年)が始まった頃です」。

「これからは通常のITビジネスだけでは生き残れないという認識のもと、弊社では業界の垣根を超えた協業でイノベーションを起こし、社会の課題の解決に取り組もうという方針を掲げました。現在では、ベンチャーキャピタル事業にも力を入れています」。

「IT企業の枠を超えたことが意識改革をもたらしました」。

「そうなると、生産性だけでなく豊かな想像力も必要があり、心身ともに健康でないと中期経営計画の達成はむずかしい。そこでビジネスと結び付けて従業員の健康管理を経営課題として捉え、戦略的に取り組もうとなりました」。

キーワードはメンタルヘルス対策

橋本さま「いろいろデータを調べたところ、生産性に与える影響としてはストレスや月経不順、肩こり、腰痛が多いとわかりました。弊社内のアンケートでも肩こり、腰痛が多いとの回答結果が出ています。数字を挙げると、肩こり、腰痛、目の疲れ26パーセント。睡眠不足39パーセント。ストレス感16パーセント。頭痛10パーセントです。さまざまなデータ分析を踏まえて、プレゼンティーイズム及びアブセンティーイズムに関してはメンタルヘルス不調が最も強く影響を与えていると認識するに至りました。実は最初はBMIを下げる取り組みが良いのかと思っていましたが。生産性や創造性は痩せれば実現できるのかと?(笑い) 会社としてやるならメンタルヘルス対策がメインだと考えました」。

「重点目標は高ストレス者を減らすことです。2017年度のストレスチェックでは高ストレス者は932名でした」。

健康経営上の課題

各種イベント/セミナー、ポイントプログラム、カウンセリング窓口

橋本さま「一番大きな課題は健康増進施策への参加者(利用者)が少ないことです。全従業員の約11%程度しか参加者がいないと推測しています」。

タイトルの選び方で参加者、人数が変わる

橋本さま「大きく言うと二つあります。一つ目は名声の活用ですね。京都大学、博士、受賞歴など。有名な先生や企業などの名前を使うと人が集まります。二つ目はキーワード。“健康”より“仕事”や“仕事をうまくやる”などをテーマに選ぶと、いつもと違う人が集まってきます。たとえばアサーティブな会話(相手の立場をわかった上で自分も我慢せずに言いたいことを言う)を例に取ります。ストレスの改善方法として“アサーティブな表現方法を考えよう”とアプローチするより、“アサーティブな会話を身につけてお客様とうまく仕事がこなせるようになろう”と声をかけます。すると普段来ない人が参加します。“人間関係に悩んでいる人、集合!”とアナウンスしても集まりませんが、仕事に結びつけると新たに参加する人がでてきます。同じテーマの取り組みでも切り口を変えて従業員にアプローチすることが大事です」。

ファシリティ(設備)・什器の改善

橋本さま「ファシリティ・什器の改善については、有効な取り組みだと思いますが、
①高額となる傾向があり、また減価償却の問題もあり簡単に変えることができない。
②関係部署が複数あり(購入・場所の管理・使用許可など)、調整がむずかしい。
③地方の全ての事業所に導入できないと不公平感を解消できない。
という課題がありマッサージチェアやバランスボールの設置などに限られています」。

「アプリ“ポケットセラピスト”なら、①②③の条件をクリアできます」。

日本ユニシス株式会社は“ポケットセラピスト”を既に導入されています。その成果について伺いました。

橋本さま「肩こり・腰痛の痛み軽減が利用者の約75%にありました。」

「また一部ではありますが、うつ症状・目の疲れ・頭痛・運動習慣・睡眠不足に対する効果もありました。導入の価値を一つに絞るなら、“痛みを軽減できた”ことが挙げられます」。

「イベントとかいろいろな施策をやったら参加者の声を聞くようにしています。アンケートを見ると、“もっとやってほしい”“家族や仲間にもすすめたい”という声が多くあります。社員の反応、良いです」。

「同様に外部からも“いい話”が入ってきました」。

健康経営による対外的な反響

投資家評価が高い

橋本さま「投資家向けESG(環境、社会、ガバナンス)評価機関からの評価は高いと聞いています」。

上場企業として順調なスタートを切った健康経営ですが、これから進むべき方向は?中長期的な観点でまとめていただきました。

今後の健康経営の方針について

橋本さま「高ストレス者の減少を目標に、心理的なストレス対策に加えて、相関が高い自覚症状〜たとえば肩こり、腰痛、眼精疲労、頭痛、睡眠不足、月経不順などへの対策〜を強化していきます。また職場のストレス要因(裁量性の低さなど)そのものへの対応も検討していきたいと考えています」。

最後に社員の皆様に向けてメッセージをお願いしました。

橋本さま「今は健康に関心がない人も健康増進に向けた行動は自分の人生に良い影響があると考えてもらいたいです。生活習慣を少し気にするだけでも良いと思います。同じ時間に起きましょうとか、椅子に座る時は深く腰掛けようとか」。