慢性腰痛患者の脳はどうなっているのか? ー最新の知見からー

慢性腰痛患者の脳

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【記事のポイント】
1. 慢性腰痛患者の脳と健常者の脳の違いを比較した。
2. 慢性腰痛患者の脳に変化が見られた。
3. 慢性腰痛においてはカラダだけでなく、感情や認識を司る脳という観点からも考えていくことが必要!

これだけ世の中で腰痛という言葉が普及しているにもかかわらず、そのメカニズムは完全には分かっていません。

特に腰痛がどのようにして慢性化してしまうかは不透明な部分が多いのが実際です。腰痛と聞くと、「カラダが硬いから」、「姿勢が悪いから」、「体幹が弱いから」とカラダにばかり原因があると思っている方が多いのではないでしょうか?しかし、腰そのものではなく、あなたの気持ちや考え方が痛みに影響しているとしたら?

今回は、成人の慢性腰痛患者を対象に、脳の状態や活動を調査した研究をまとめた最新の知見について紹介します。

慢性腰痛とMRIの関係

今回は5つのデータベースから、2016年8月11日まで発表された成人、慢性腰痛脳の画像検査(MRI、fMRI)を使用した論文を採用しました。MRIは脳の状態を画像を通して知ることができ、fMRIは脳の活動を観察するのに用いられます。

また、考えるなどの集中が必要なタスクを行うことで痛みへの注意をそらすことで、痛みを減らすことができるという報告があります。そこで、今回はfMRIを通して、健常者と慢性腰痛患者において痛みそのものへの反応と、脳の活動の反応を比較しました。

脳の中でみられた変化

ある一定の基準を満たした55の研究の結果についてまとめられました。
今回の研究結果から、慢性腰痛患者は健常者と比べた時に、

①15の研究中10の研究で、灰白質(脳の表面にあって、体内から送られてくる情報の中継地点)が少なくなっていることが分かりました。

②8の研究中7つで、白質(脳の神経繊維が集まっている場所)に変化が見られました。これらは脳の構造に変化があったことを示しています。

fMRIを通して見てみると

fMRIを使ったいくつかの研究を通して、慢性腰痛患者と健常者の脳の活動にも違いが見られました。

①痛みの刺激に対するの脳の反応は慢性腰痛患者と健常者で大きな違いはありませんでした。

②課題に対する反応として慢性腰痛患者のグループでは、感情や認識が影響する「何かを決めないといけない」など注意を要するタスクが与えられた時に、健常者よりも、脳が過剰に活動している部位がありました。その部位は痛みに対して感情をコントロールするときに働く部位を含んでおり、その機能に障害が起きている可能性が考えられました。

まだその過程ははっきりとしていませんが、慢性腰痛患者は、慢性的な痛みの経験の中で脳が痛みの情報を上手く処理できなくなっていると考えられます。

③3つの研究で鎮痛薬を使用しての治療を通してある程度、脳の活動に改善が見られました。慢性腰痛で脳の機能に低下があったとしても、改善がみられていたことが報告されました。。

慢性腰痛はカラダのみが原因ではない!

今回の結果から、カラダだけでなく、脳の機能が関係して、痛みを感じているケースがある可能性が示されました。依然として不確かな点はありますが、慢性腰痛による感情や認識に関する脳の活動の変化が痛みに影響している可能性が示されました。

つまり、慢性腰痛において腰そのものは回復していたとしても、脳の機能の変化により「痛み」としての情報が出され続け、慢性的に腰痛を感じている可能性があるということです。

慢性腰痛に対するヨガの効果」の記事でも紹介しているように、リラクゼーション、呼吸法としてヨガを取り入れることで、気持ちとともに慢性腰痛の改善を図るのも良いかもしれません。

(野澤 涼)


▼ 参考文献
タイトル:The Relationship between Structural and Functional Brain Changes and Altered Emotion and Cognition in Chronic Low Back Pain: A Systematic Review of MRI and fMRI Studies.
雑誌名:Clin J Pain. 2017 Jul 17;
[PMID: 28719509]

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