慢性痛に鍼(ハリ・針)は効果的なのか?

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター山下真司 / 理学療法士 / 修士号(医学)

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(c) mapo - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 39の研究結果をまとめたところ、鍼治療は慢性痛に効果的だった。
2. 鍼を行った場合、1年後に痛みが約15%改善した。
3. 慢性痛の対策として、鍼治療は選択肢の1つになる。

日本では鍼灸師といって、古くから鍼を用いた治療が行われています。痛みの軽減や筋肉の凝りを改善する効果があると考えられています。

一方で、以前「腰痛に対する鍼(ハリ)の効果」でもご紹介したように、鍼治療は偽の鍼治療と明確な差がないとも言われています。

果たして鍼は慢性的な痛みに効果的なのでしょうか?

世界中で行われた39の研究結果を統合

今回ご紹介する報告は、世界中で行われた過去の研究の結果を統合する手法を用いて行われました。

はじめに、鍼治療の効果を検証した過去の研究を検索し、合計で1757本の論文がヒットしました。その中でも、今回の研究に合致していそうな75本の論文の内容をチェックしました。その上で、以下の定義に合わない研究を除いていき、最終的に39の研究結果を用いる事にしました。


■ 対象者をランダムに鍼治療かそれ以外のグループに分類していること
■ 少なくとも4週間以上痛みが持続している方を対象としていること
■ 治療開始から4週間以上経過した時点で痛みの変化を評価していること
■ 原因の特定できていない痛み(18本)や変形性関節症(13本)、慢性的な頭痛(9本)、または肩の痛み(4本)に焦点を当てていること

プラセボ効果以上の効果がある!!

プラセボ効果とは、本人が「治療してもらっている」と思いこむことで、実際に治療をしていなくても痛みや病気が良くなることを指します。この効果による影響を取り除くため、比較する対象者にシャム刺激(実際には効果のない鍼)を行う場合があります。

この報告では、比較群に上述したシャム刺激を行ってプラセボ効果を加味した研究と、比較群には特に何も行わなかった研究で分けて解析を行いました。

その結果、特に何も行わなかった比較群に対して、鍼治療群は効果的である事が確認されました。

また、シャム刺激を比較群に行った研究に絞って解析した場合においても、効果の差は小さいものの、鍼治療が有効であるという結果が得られました。

1年後の効果は約15%

また、1年後という長期にわたって治療効果を調べた研究に絞って解析を行いました。

その結果、1年後も鍼治療による効果が残っており、痛みの程度は治療開始前と比較して約15%低下していることが明らかとなりました。

慢性痛対策の1つに鍼治療の選択も

今回ご紹介した報告の結果から、鍼治療はプラセボ効果を加味しても効果的であることが示され、その効果は長期的に持続することが示されました。

当サイトでは、慢性痛の対策にとして運動やマインドフルネスなどの効果をお伝えしていますが、なかなか良くならない場合は鍼治療という選択もよいのかもしれません。

ですが、今回の研究で有害事象について言及はかれておりませんでしたが、稀に事故などの報道も耳にしますので、資格などを確認の上、信頼できる専門家に見てもらうことが良いでしょう。

(山下真司)


▼ 参考文献
タイトル:Acupuncture for Chronic Pain: Update of an Individual Patient Data Meta-Analysis.
雑誌名:J Pain. 2018 May;19(5):455-474.
[PMID: 29198932]

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