年代別で見られやすい腰痛の特徴(10代, 20〜40代, 50・60代〜 )

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター近藤 悟司 / 理学療法士 / Spine Dynamics認定療法士

年代別の腰痛の特徴

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【記事のポイント】
1. 若い世代(特に10代)に多い筋膜性腰痛症と腰椎分離症は鑑別をしっかり行うことが大事!
2. 働き盛り世代(20〜40代)は、生活環境を見直してみよう!
3. 中高年世代(50・60代〜)では、運動と栄養が大事!

腰痛は、10代、20代、30代、40代、50代、60代など、どの年代にも見られますが各年代で腰痛の特徴や原因は異なります。

小学生〜高校生時代にも腰痛はあり、今後の健康状態を狂わせてしまう可能性のあるものもあります。今回は年代別での腰痛の特徴や原因、それぞれの年代において重要となる腰痛対策について解説していきます。

年代別の腰痛の診断名を紹介

20歳までの若年者(10代)に多い腰痛の診断名

■ 筋筋膜性腰痛症
■ 腰椎分離症
■ 腰椎椎間板ヘルニア
■ 腰椎椎間板症

20〜40代の働き盛りに多い腰痛の診断名

■ 腰椎椎間板ヘルニア
■ 腰椎椎間板症
■ 腰部脊柱管狭窄症
■ 腰椎すべり症

50・60代以降の中高年に多い腰痛の診断名

■ 変形性腰椎症
■ 腰部脊柱管狭窄症
■ 変形性腰椎すべり症
■ 腰椎圧迫骨折
■ 腰椎椎間板ヘルニア

以上がおおよその各年代ごとに多く見られる診断名になります。各年重複する診断名もありますが、特に腰椎椎間板ヘルニアは幅広い年代で発症します。

20歳までの若年者(10代)はまだ体が出来上がっていない

小・中・高生などの10代を中心とした、比較的若い年代に多い腰痛で特徴的なものが「筋筋膜性腰痛症」と「腰椎分離症」です。

筋筋膜性腰痛症とは腰の筋肉とそれを包んでいる筋膜の痛みと診断されるものです。腰椎分離症は腰の骨の椎弓という関節に近い部分が疲労骨折してしまっているものです。この2つの疾患が、この年代の特徴を表しています。それはまだ骨や筋肉の成長が未熟ということです。

そのため腰椎分離症などの骨の疲労骨折、筋筋膜性腰痛という筋肉の痛みが出現してしまいます。この年代には加齢に伴うまたは仕事による負担が原因の関節の変形、椎間板の変性(薄くなること)が見られないため、比較的慢性化しにくい腰痛です。

この2つの腰痛は骨が痛いか、筋肉が痛いのかという違いですが、症状は腰の痛みのみで、足のしびれや筋力低下などの症状を伴わないため鑑別が重要になってきます。

なぜ鑑別する必要があるかというと、腰椎分離症であった場合、疲労骨折であるため、硬めのコルセットを着用し、固定が必要になります。

もし、固定せずに放置してしまったら、腰の骨はくっ付かず、一生分離したままです。そして将来的に腰の骨の変形になったり、腰の骨が前にずれるようになってしまいます。

多くはスポーツをしている子に多く、体をひねる動きが多いスポーツ(野球、サッカー、テニスなど)や、走ることが多くても腰椎分離症になります。

腰椎分離症の鑑別で最もわかりやすいのはMRI画像を撮影することです。

もっと簡単に判断したい場合は、うつ伏せで寝た状態で肘をつき、本を読むような姿勢をとります。この時には腰の筋肉の力は抜けた状態で、腰を反っています。これで痛みがある場合は、骨の痛みである可能性が高いです。

この姿勢は痛くなく、背筋を使って胸を床から浮かす動きをした時に痛ければ筋肉の痛みの可能性が高いです。

この方法は骨の痛みか、筋肉の痛みか、を簡単に判断するものですので、正確にはMRI画像を撮影することが重要です。もし痛みが長引いていたり、あまりにも痛みが強い場合は病院受診をお勧めします。

この年代の対策方法としては、体幹のインナーマッスルを鍛えることが重要となります。

学生時代を過ごしている若い世代の子にとって、勉強をすることは避けては通れません。

では勉強をしている時の姿勢はどうでしょうか?
おそらく体を丸くし、目とノートの距離が近いような姿勢をとっていませんか?このような姿勢は、体を潰しているため、腹筋を中心としたインナーマッスルはあまり使っていません。

普段からインナーマッスルを使用していない子が、スポーツの時だけインナーマッスルを支えているということはまずないでしょう。スポーツの時もインナーマッスルは使えず、体幹が不安定な状態で運動をしているでしょう。

そうなれば腰にかかる負担も増えていきます。インナーマッスルのトレーニング方法は「腰痛患者が鍛えるべき腹筋とは!?」でも紹介していますので、一度確認してみてください。

20・30・40代の現役世代の腰痛は生活環境が影響する

次に20代、30代、40代によくみられる腰痛は、「腰椎椎間板ヘルニア」、「腰椎椎間板症」、「腰部脊柱管狭窄症」と言った疾患が出現してきます。

この年代の原因として大きく関わっているのは、生活環境です。主には仕事内容が関わってきます。

例えば腰椎椎間板ヘルニアを患っている方がいるとします。腰椎椎間板ヘルニアは腰が曲がる動きが負担になるとされています。

この方がデスクワークが主な仕事をしているとしましょう。仕事時間がAM9:00~PM17:00まで、休憩が1時間とします。それが週休2日であれば、5日間仕事をしています。
7時間×5日間の35時間は腰の曲がった姿勢でデスクワークをしています。

さらには残業や仕事が終わった後も、ソファーや椅子に座って、テレビや本を読んでいるとすれば腰が曲がった姿勢をより長くしています。また唯一、腰が曲がっている状態から解放される睡眠時間が短ければ尚更です。

このような方が腰のヘルニアになってしまうのは、これだけ腰に対して偏った生活をしているわけですから、何も不思議ではなく、必然の結果と言えるでしょう。

この仕事内容が立ち仕事や中腰を多くとる仕事などで、ヘルニアになるか、脊柱管狭窄症になるか変わってきますが、仕事などの生活環境が大きく関わってくるのは間違いありません。

この年代の腰痛で重要なことは、仕事内容を変えることができればベストではありますが、なかなか職場のマンパワーや立場上難しい場合は、現在の仕事をしつつ、自分の体をうまくケアしていかなければなりません。

そのためには適切な運動やストレッチをうまく生活に取り入れ、睡眠時間をしっかりと確保しなければなりません。

仕事で同じような姿勢をとり続け蓄積された、腰への負担を解放する時間をとるように心がけましょう。

50・60代以降の腰痛は今までの負担の結果がもたらす

仕事が引退に徐々に近づき、余生を楽しもうとした矢先、腰痛に悩まされてしまう。50代、60代以降の世代は、今までの生活の負担が腰の骨の変形や椎間板の変性として現れてきます

腰の骨にも関節があり、その間には軟骨があります。膝の関節と一緒で、腰の骨の軟骨も負担により徐々に削れて、変形していきます。

残念ながら、この変形を治すには手術しかありません。しかし、「レントゲンの異常所見と腰痛は一致するのか?」でも紹介したように、変形=腰痛ではありません。腰の骨が変形していても、腰痛がない方はたくさんいます。

では何が重要か?それは筋力を落とさないことと、栄養をしっかりとることです。

年を重ねるにつれて、運動を習慣としてなければ、筋力は徐々に衰えます。筋力が衰えば、筋肉で体を支えれなくなる分、骨や関節、椎間板に負担がかかります。

そして筋力が落ちるとともに、骨ももろくなっていきます。食事の摂取量も減っていきますので、体の栄養も不足になりがちです。そうなれば、圧迫骨折といったいつの間にか骨折に発展しかねません。

そのために改善策として、まずはウォーキングなどの有酸素運動を生活に取り入れ、不足になりがちな、たんぱく質やビタミンなど栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。

ウォーキングは1日30分を心がけましょう。

食事はたんぱく質含むお肉や、ビタミンD、カルシウムといった栄養素をとるようにしましょう(参考資料:腰の関節を丈夫に保つために摂取すべきものとは!?腰痛と関わるビタミンを摂取できる食材とは!?

特にお肉は脂が多く、胃もたれしたり、噛むのに時間がかかるため、徐々に摂取することが少なくなってしまいますが、そのような場合は調理方法を工夫してみるのも良いのではないでしょうか?

(近藤悟司)

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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