体脂肪が多いと腰痛が悪化する!?

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター山下真司 / 理学療法士 / 修士号(医学)

体脂肪と腰痛の関係

(c) ayaka_photo - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 体重の増加は健康に害を及ぼすだけでなく、腰の負担も大きくする。
2. オーストラリアの研究グループより、体脂肪と腰痛が関連している可能性が示された。
3. 体脂肪が多い=体重が重いとは限らないが、減量は腰痛改善に効果的かもしれない。

体脂肪という言葉はダイエットをする上ではよく聞く言葉です。カラダの体脂肪は、体重計と似た、体組成計で簡単に測ることができます

体脂肪が多い状態(肥満)は、様々な健康被害を引き起こします。今回はオーストラリアの研究チームが実施した体脂肪と腰痛の関連を調査した研究をご紹介いたします。

オーストラリアの10年以上のデータから

今回の研究では、オーストラリア在住の25歳以上の方を対象としました。調査開始時に確認できた11247名のうち、腰痛に関するアンケートの回答の有無等を考慮し、最終的に5058名を対象となりました。

腰痛に関するアンケートでは、痛みの強さや痛みの頻度などを100点満点で評価されました。その上で、アンケートの回答点数が0点だった方を「腰痛無し」、1-50点だった方を「軽度腰痛あり」、51-100点だった方を「重度腰痛あり」と分類されました。

体組成(体重、体脂肪量、除脂肪量 [筋肉量])は、バイオインピーダンス法(体内に電流を流して推定する方法)により計測しました。なお、体組成の測定には日本製(タニタ社:TBF-105)の機器が使用されました。

体組成の大きな変化と腰痛の強度が関連

以下の結果が得られました。

男性では、5kg/m2のBMIの増加、10%の体脂肪率の増加が、軽度および重度の腰痛と関連していました。

女性では、5kg/m2のBMIの増加、10cmのウエスト周囲径の増加、10%の体脂肪率の増加、および10kgの体脂肪量の増加が、軽度および重度の腰痛と関連していました。

また、女性では、除脂肪量(筋肉量)が10kg増加すると、重度の腰痛のリスクが下がる可能性が示されました。

体組成の大きな変化と腰痛に伴う日常生活の制限が関連

以下の結果が得られました。

男性では、5kg/m2のBMIの増加、10kgの体脂肪量の増加が、腰痛に伴う日常生活の制限と関連していました。

女性では、5kg/m2のBMIの増加、10cmのウエスト周囲径の増加、10%の体脂肪率の増加、および10kgの体脂肪量の増加が、腰痛に伴う日常生活の制限と関連していました。

解釈は慎重に・・・

今回の報告から、BMIや体脂肪量といった体組成が腰痛に影響していたことが明らかとなりました。しかし、今回示された結果には、注意点がございます。

今回の結果は、BMIが5kg/m2、ウエスト周囲径10cm、体脂肪量10kgというように、体格、体組成の比較的大きな変化に着目しています。そのため、多少の変化による腰痛への影響がどの程度あるかは今回の結果からは分かりません

また、日本の腰痛診療ガイドラインでは、肥満と腰痛との間には、明確な関係があるとは言えないとされています.ただ今回の報告のほかにも、減量による腰痛の改善は散見されていますので、この機会に高脂肪食を控えた食事、有酸素運動や筋力トレーニングなどを取り入れたダイエットを始めてみるのも良いかもしれません。

(山下真司)


▼ 参考文献
タイトル:Fat mass and fat distribution are associated with low back pain intensity and disability: results from a cohort study
雑誌名:Arthritis Res Ther. 2017 Feb 10;19(1):26
[PMID: 28183360]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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