慢性腰痛の人は日常生活で腰がうまく使えなくなっている!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター山下真司 / 理学療法士 / 修士号(医学)

男性の腰痛

(c) fizkes - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 長い間腰の痛みに悩んでいる方は、腰を動かすのが怖いと感じるかもしれない。
2. 慢性腰痛を抱えた人は、日常生活上の複雑な動きをする際に、腰の動きが鈍くなることが分かった。
3. 可能な動作から少しずつ身体を慣らしていき、腰の本来の動きを取り戻していこう!

長い間腰痛に悩まされている方の中には、普段の日常生活で腰をひねる動きや急激な動きを行うのが怖いと感じる方がいらっしゃるかもしれません。

では果たして、慢性的な腰痛があると、日常生活での身体の動かし方に違いが生じるのでしょうか?

今回は、このような疑問に注目した研究をご紹介いたします。

加速度計を用いて24時間の活動をモニタリング

この報告は3ヶ月以上続く腰痛を持った17名の成人と、健康な18名の成人を対象に行われました。

日中の活動は加速度計を背中に取り付けて測定しました。この加速度計は12個のセンサによって背骨の動きを詳細に測定することができます。対象者はこの加速度計を装着した上で、普段通りの生活を1日過ごしてもらいました。

また、アンケート用紙を用いて日中にどのような活動をしていたか記載してもらいました。

活動は30分ごとに区切って解析を行い、日中の活動を以下のように分けた上でどの時間にどのような動きをしていたのか比較検証しました。


■ 睡眠している時間
■ 座っている時間
■ ウォーキングしている時間
■ 自転車に乗っている時間
■ 立っている時間
■ 食事している時間
■ 横になっている時間
■ その他の活動を行っている時間
■ 特定不能(様々な活動を行っている時間)

 

慢性腰痛の人は腰の動きが悪くなっている可能性がある!

解析の結果、腰痛を持った対象者では、健常者と比較して、腰を複雑に動かせていないことが明らかとなりました。この結果は、より難しい動きを必要とする際に顕著に見られました。

この結果から筆者らは、背骨の動きが必要になる動作のときこそ、腰痛を持った人の動きは痛みが生じないよう腰を固めて身体を動かそうとしているのではないかと考察しています。

腰を固めて活動をするのは良くないこと?

慢性腰痛の人は、腰を固めて活動をする傾向にありましたが、「腰痛を悪化させないためには、腰を固めて活動することは良いことなのでは?」と思う方もいるのではないでしょうか。

日常的に腰を固めて活動をしつづけてしまうと、腰の筋肉や関節が硬くなり、本来持っている腰の機能が低下してしまいます。また、腰を固めた状態が続くと、腰の筋肉が硬くなり、血流が低下し、痛みを感じる物質が蓄積されることで、さらに痛みが悪化する悪循環に陥ってしまいます。

そのため、過度に腰をかばおうと、腰を固めて生活することは、腰痛対策の上ではオススメされません。

徐々に背中の動きを慣らしていこう

今回の結果を受けて、今後どのようにしていけば良いか対策法を1つご紹介します。

結論から言うと腰を過保護にかばうのではなく、徐々に腰の動きを取り戻していくことが腰痛対策において 、とても大切です。だからと言って、怖いものは怖いですよね。いきなり、腰を曲げて重い物を持つような作業をする必要はありません。

まずは日常でよく行う動作をリストアップし、難易度順にリストアップしてみると良いでしょう。そして、あまり怖くない動作から少しずつ始めていき、慣れてきたら徐々に次のレベルに上げていきましょう。

例えば、10kgの物を持ち上げる動作でも、そこに行き着くまでに、何も持たずに持ち上げる動作をまねるところから、軽い重さのものを持ち上げていくといった具合です。その他にも、身体をゆっくりと少しだけひねる、ほんのちょっとだけ背中を反らすといった動作を通して徐々に背中の動きを慣らしていくことが、腰の動きは少しずつ改善していきます。

意識的な動きに慣れてくると、自然と日常生活での動きにも変化が出てくるでしょう。

(山下 真司)


▼ 参考文献
タイトル:People with low back pain show reduced movement complexity during their most active daily tasks.
雑誌名:Eur J Pain. 2019 Feb;23(2):410-418. doi: 10.
[PMID: 30246275 ]

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