慢性的な痛みの改善に適切な運動量はあるのか?

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター山下真司 / 理学療法士 / 修士号(医学)

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【記事のポイント】
1. 運動は慢性的な痛みに効果的であるが、適切な運動量の目安までは明確にならなかった.
2. ただ、運動の頻度が増えると、慢性的な痛みは改善しやすい可能性が示唆された.
3. 無理のない範囲から運動をはじめて、少しずつ運動の頻度を増やしていこう!

市販の痛み止めを飲むとき。

ウラのラベルで「1回〇錠」という記載をみなさん確認すると思います。お薬を飲む量は、厳しい臨床治験などを通して厳格に決められているのです。

一方で、「慢性腰痛に対する有酸素運動や筋力トレーニングの効果|6つの研究の知見から」でもお伝えしたように、腰痛などの慢性的な痛みに対して運動を定期的に行う事で痛みの程度が改善すると言われています。

では、運動はどのくらい行えば良いのでしょうか?今回はこの疑問について調査をした研究の知見をご紹介いたします。

過去の論文をまとめて結果を再検証

この報告では慢性的な痛みに対する運動の効果について検証した過去の論文を集め、再度解析を行う手法を用いました(メタ解析という研究手法)。この際、以下の条件を満たした論文だけに絞って収集しました。


■ 3ヶ月以上続く慢性的な痛み
■ 18歳以上の成人
■ ランダムに対象者を介入群(運動)とそのままの群(コントロール群)に割り付けた報告(ランダム化比較試験という研究手法)

その結果、最終的に75本の論文を解析に使用しました。

解析では、1週間あたりの運動の回数、運動した時間、ならびに運動による痛みの改善効果を調べました。

首の痛みには運動の継続期間が長いほど効果的?!

解析の結果、運動の継続期間が長ければ長いほど、運動によって首回りの痛みの程度が改善することが示されました。

具体的には、数週間の短期的な運動では効果が見られませんでした。一方、運動を2ヶ月以上続けることでその効果が得られることが分かりました。

なお、今回は首回りの痛みの程度の他に変形性関節症や腰痛などの痛みについても同様に検証しましたが、運動の頻度や運動の継続期間と統計学的に関連は見られませんでした。

1週間あたりの運動頻度が多いほど良い?

更なる解析の結果、運動時間と運動の継続期間を統計学的に一定にした場合、1週間あたりの運動頻度を増やすほど、運動による効果が得られやすい可能性が示されました。

しかしながら、運動の継続期間と運動頻度を一定にした場合、1回あたりに実施する運動時間を増やしても効果はさほど変わらないことが分かりました。

また同様に、運動頻度と1回あたりに実施する運動時間を一定にした場合も、運動の継続期間を増やしても効果はさほど変わらないことが分かりました。

適切な運動量はまだ不透明

今回ご紹介した報告の結果から、首回りの痛みに関しては、運動の継続期間が長ければ長いほど効果的である可能性が示されました。ただ、運動の頻度や運動時間がどの程度が最適という、具体的な目安までは、今回の研究結果からは分かりませんでした。

しかし、運動時間・継続期間を統計学的に一定にして解析した場合、運動の頻度を増やすことで慢性的な痛みに効果的である可能性が示されました。もしかすると、身体を動かす頻度を増やしてあげることが、痛みの軽減に繋がるのかもしれません。

一方で、過去に紹介した「慢性腰痛における運動量の調整(ペーシング)の重要性」では、慢性的な痛みの中でも特に悩まれる方の多い「腰痛」に対して、運動量の調節(ペーシング)が大切であることをご紹介しました。

そのため、運動習慣のない人は、まずは無理のない範囲から、運動量や頻度を調整するようにしましょう。慣れてきたら、運動の頻度を増やすと良いかもしれません。

(山下真司)


▼ 参考文献
タイトル:Exercise-induced hypoalgesia: A meta-analysis of exercise dosing for the treatment of chronic pain.
雑誌名:PLoS One. 2019 Jan 9;14(1):e0210418.
[PMID: 30625201]

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