慢性腰痛における運動量の調整(ペーシング)の重要性

山下真司 / 理学療法士 / 修士号(医学)

慢性腰痛患者の運動量の変動(ペーシング)

(c) inueng - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 運動は腰痛において重要だが、運動をしてかえって腰を痛めてしまう人もいる。
2. 慢性の腰痛には、運動量の調整(ペーシング)が重要である可能性が明らかとなった。
3. 自分の状態に合わせて、運動量をうまく調整して、無理なく腰痛対策をしよう。

運動が腰痛において重要であることは言うまでもありません。しかし、運動が良いと聞いて、運動をしてみたら、腰を余計に痛めて、やっぱ運動はしない方が良いと思った経験はありませんか。

今回は、そんな方には打って付けの情報として「運動量のペーシング」についての研究結果、および、ペーシングのポイントについてご紹介いたします。ペーシングとは、簡単に言えば、自分の状態に合わせて運動量をうまく調整することをさし、腰痛をうまくマネジメントしていく上で重要な要素として考えられています。

活動の程度を段階別に分類して比較

この報告では、ニュージーランドの大学病院にある疼痛クリニックへ受診した慢性腰痛患者42名(男性17名,女性25名)が研究の対象となりました。このとき、慢性腰痛は6ヶ月間持続した痛みを経験したものと定義しました。そのうち、データに欠損などがあったものを除いた34名が解析対象となりました。

この研究では、対象者に電子日記を手渡しました。この電子日記は自動的に1日8回、連続7日間、ランダムな時間にアラートが鳴り、そのときの腰痛の程度と活動レベルを質問するシステムになっていました。

そのときに行っていた活動レベルは次の7つに分類して回答してもらいました。


■ 7:激しい運動
■ 6:運動
■ 5:サイクリング
■ 4:階段を登る
■ 3:歩く
■ 2:座っている
■ 1:横になっている

これら上記の項目との関連を確認するため、腰痛による日常生活の制限の度合いを調査しました。

運動量より、「運動量の調整」が重要かもしれない

解析の結果、平均した活動レベル(1日8回、7日間分の平均)では腰痛の機能障害の度合いと有意な関連を認めませんでした。一方、活動レベルの変動(直前の活動レベルとの差の平均)が大きいと、腰痛による日常生活の制限の度合いが大きくなるという関連を認めました。

この結果から、腰痛の対策には運動量を調整することも大切である可能性が示唆されました。

日中の運動量を調整してみよう

今回ご紹介した報告は、運動のペースを調整すること(ペーシング)が腰痛に影響している可能性が示されました。日頃から運動しているのに腰痛に悩んでいるという方は、運動のペースを見直して、調整してみるのも良いかもしれません。

ペーシングにおいて、良くないパターンは、「調子が良いからといって、いきなり激しい運動をして、その結果からだが痛くなり、運動は危険だと認識し、極端な安静をとってしまう」というのを繰り返すケースです。

では、実際にどのようにペーシングをしていけば良いのでしょうか?ペーシングにおいては、下記の3点が重要となります。


【ペーシング3つのポイント】
① 急に運動量を増やさず、無理のない範囲で徐々に増やしていくこと
② 適度な休憩を取り入れること
③ 運動で痛みが強くなっても、過度な安静をとらないこと(いわゆる筋肉痛であることも多い)

これらの点を心がけて、ご自身のペースで運動を続けてみてください。

(山下真司)


▼ 参考文献
タイトル:The disabling role of fluctuations in physical activity in patients with chronic low back pain.
雑誌名:Eur J Pain. 2009 Nov;13(10):1076-9.
[PMID: 19181547]

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