50代に多い腰痛の原因と対策

50代の腰痛の原因と対策

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【記事のポイント】
1. 50代は徐々に関節や椎間板が変形してくる年代
2. 50代の人は運動習慣が身についていなく、肥満の割合が高い
3. 更年期障害がもたらす女性の腰痛

腰痛は年代ごとにその特徴が少しずつ異なります。それでは、50代の腰痛にはどのような特徴があるでしょうか?

50代になると、カラダの骨や関節は徐々に加齢変化を起こしていきます。
今回は50代の腰痛の原因や対策について解説していきます。

身体の骨や関節が徐々に加齢変化を起こす

50代になってくると腰の椎間板が薄くなったり、関節の軟骨がすり減ってきたりと加齢変化が徐々に起こってきます。

この加齢変化は人によっての個人差があり、その人の生活環境や運動頻度などでも大きく変わってきます。この加齢変化を予防して、進行を遅くすることはできますが、若い頃と全く同じ状態に維持することは難しいでしょう。

しかし、この予防や進行を遅くすることが全く無意味というわけではありません。
50代以降の腰痛はいかに、腰の骨や関節の状態を健康に保ち、筋力を衰えさせないかということが重要になってきます。

それは50代以降の60代、70代と続く余生に大きく関わってきます。定年退職をして、現役世代を退いた後の人生を楽しく過ごすためにも、50代の頃からの腰痛予防はとても重要です。

50代は生活習慣の見直しが重要!

50代の人は運動不足が多い!

厚生労働省の国民健康・栄養調査結果の概要によると、50代の人は運動習慣(ここでの運動習慣は、週2回以上、1回30分以上、1年以上、少し息が弾む程度の運動を継続していること)がある割合が他の年代と比較して少ないことが報告されています。

それとは逆に60代以降は運動習慣が身についている人の割合が高くなります。50代に人は運動習慣があるものは22.1%に対し、60代の人は37.3%となっています。これはおそらく50代の人は働いていて、運動に割く時間が取りにくい背景があることが考えられます。

運動習慣は腰痛において重要な要素であり、数多くの研究において、運動の有効性が示されています(詳しくは「腰痛を予防するために必要な運動とは」をご覧下さい)。その運動が不足しがちな50代は腰痛になりやすい年代と言えるかもしれません。

50代の人は肥満が多い!

また50代は40代についで肥満の割合が高くなっています

肥満と腰痛の関係はまだ明らかな関連までは分かっていませんが、いくつかの研究において、肥満と腰痛の関係を示唆する報告もあります。

肥満が腰のクッションに与える影響」の記事で説明されているように、肥満がある人の腰の椎間板は薄くなっていることがわかっています。椎間板の厚さは腰椎椎間板ヘルニアや腰椎椎間板症といった腰痛にも繋がる可能性があるため、注意が必要です。

また体脂肪が腰痛にも影響しているという報告もあります。「体脂肪が多いと腰痛が悪化する!?」の記事ではBMIが5kg/m2、ウエスト周囲径10cm、体脂肪量10kgといった比較的大きな体の変化が腰痛に影響していると報告されています。

体重が気になって、腰に悩んでいる方はこれを機に、ダイエットをしてみるのも良いかもしれません。

50代男性は腰痛対策に禁煙を!

日本たばこ産業株式会社(JT)の調査によると、特に30〜50代の男性の喫煙率が高く、35%前後を推移していることが分かっています。

喫煙が腰痛とどう関係あるの?って思った方も少なくないと思います。無理もありません。

しかし、過去に行われた質の高い40の研究の結果をまとめた結果、喫煙者は非喫煙者よりも腰痛の発症リスクが1.3倍高くなることが報告されています(詳しくは「喫煙者は腰痛のリスクが高い!?喫煙と腰痛の意外な関連性」をご覧下さい)。

喫煙をしていて、腰痛に悩んでいる方は、腰痛をきっかけに、禁煙あるいは減煙に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?

椎間板が薄くなることが腰痛の原因?

腰の骨や関節が徐々に加齢変化を起こしてくることを説明しました。その中でも、多くの人に認められるものが椎間板の厚さが薄くなることです。

この椎間板は腰の骨と骨の間に存在していて、身体の衝撃を和らげるクッションの役割があります。

この椎間板が薄くなることにより、椎間板の後ろに存在する神経を刺激したりして痛みを誘発します。

椎間板が薄くなっているということは、腰が曲がりやすい姿勢を多くとっている可能性があるため、姿勢や、腰の筋肉、股関節や胸椎(胸の高さにある背骨)などの他の関節の硬さなど色々な視点からカラダを見直していく必要があります。

しかし、必ずしも「椎間板が薄くなる=腰痛」というわけではありません
レントゲンの異常所見と腰痛は一致するのか?」でも説明しているように、薄くなっていても、後ろの神経には触れていなかったりすることもあるため、痛みが出現しないケースもあります。

椎間板が薄くなる原因と対策

椎間板が薄くなる原因は代表的なもので「腰が曲がりやすい動きをよくする」、「腰の骨の反りが少なくなる」といったものがあります。

腰が曲がりやすいことに関しては、日々の仕事で長時間の座り作業や中腰姿勢をとっている人に多く見受けられます。
この2つの動きをよくする人は、骨盤がしっかり立てれるようにすることを意識しましょう。

骨盤を立てる(前傾)動きを邪魔する筋肉が、お尻の筋肉(殿筋群)と太もも裏(ハムストリングス)の筋肉です。
これらの筋肉は日頃からストレッチをして、柔軟な状態を保っていた方が良いでしょう。

■ お尻の筋肉のストレッチ

■ 太もも裏のストレッチ

次に腰の骨の前弯(前に凸のカーブ)が少なくなることに関して説明していきます。腰の骨は本来、横から見るとCの字にカーブしています。
このCの字になっているのは、体にかかる衝撃を緩衝するためで、車でいうサスペンションの役割を担っています。

そしてこのCの字を保つためには体幹と下半身の筋力が重要になってきます。
筋力が落ちて、筋力で支えられなくなると、人は骨をまっすぐ棒のようにして、衝撃を緩衝しようとします。

この腰の骨がまっすぐになった状態で、上下方向の衝撃が加わることで、椎間板は徐々に薄くなっていきます。

この背骨の機能を維持するためには、背筋と腹筋、下半身では骨盤を立てる筋肉(腸腰筋)を鍛えると良いでしょう。

■ 腸腰筋トレーニング

腸腰筋を鍛えるトレーニングを紹介します。

①レッグレイズ
姿勢:仰向け
方法:足を両方伸ばした状態から、そのまま両足を90度持ち上げて、おろします。
(この時、腰が床から浮かないように注意しましょう!腰痛の原因になります!)
回数:8〜15回 × 2~3セット

レッグレイズ

(c) BackTech Inc.

レッグレイズ

(c) BackTech Inc.

②ニーレイズ
姿勢:仰向け
方法:膝を曲げて、足を立てた状態から、両膝を持ち上げて、おろします。
回数:8〜15回 × 2~3セット

レッグレイズ

(c) BackTech Inc.

レッグレイズ

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これら二つの方法は腸腰筋に直接負荷をかけることが期待できますが、やり方によっては腰痛を感じてしまう人もいます。

足を持ち上げた時に、腰が床から浮いてしまう人は、回数を続けると腰の筋肉を痛めてしまう可能性があるため、これらのトレーニングは負荷が高すぎます。

そのような方は以下の方法で実施してください。

③スタンディングニーレイズ
姿勢:立位
方法:立った状態で、股関節90度、膝関節90度曲げた状態まで脚を持ち上げます。この持ち上げた時に腰が曲がらないように注意しましょう。
回数:8〜15回×2~3セット

レッグレイズ

(c) BackTech Inc.

レッグレイズ

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もしこの方法でも腰が痛くなる場合は、この運動を座った状態で実施しましょう。

女性の更年期障害がもたらす腰痛

更年期障害は一般的には、閉経後に女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が低下することで起こると言われており、主な症状としてほてり、多汗、むくみ、めまい、耳鳴りなどがあります。

このエストロゲンの分泌量が低下することで、自律神経の活動が乱れ、交感神経優位の身体の状態になり、全身の筋肉が緊張し、血流が悪くなります

これが腰の筋肉にも生じることで女性の更年期特有の腰痛となりえます。痛みは、ズキズキするような痛みではなく、重くて鈍いような痛みを感じるのが特徴的です。

また直接腰痛とは関係ありませんが、エストロゲンの分泌量の低下に伴い、骨粗しょう症を発症する可能性があります。骨粗しょう症になれば、腰椎椎体圧迫骨折(腰の骨の椎体という部分が三角形に潰れてしまう骨折のこと)を発症するリスクが高くなり、これに伴い腰痛を生じることがあります。

この更年期障害を伴う腰痛の対策として、運動が効果的であることが過去の研究において示されています。具体的には、ピラティスと理学療法士による治療を組み合わせた場合、慢性腰痛が1年後においても改善していたと報告する研究や、1時間のグループエクササイズを週3回、計10回(1ヶ月)行うことで、パンフレットを配布された人よりも、閉経後女性における腰痛が明らかに改善したとの報告をした研究があります。

また骨粗しょう症の予防として骨を丈夫にする栄養素(ビタミンC、ビタミンD、カルシウム)を取っておくことも重要です。(詳細は「食べる物も大切!腰痛予防・改善の食事のポイントとは?」、「腰痛に効くおすすめの飲み物とは?」をご覧ください)

まとめ

50代の腰痛は徐々に加齢変化が起こってくることが一つの原因となりえますが、それが全てではありません。60代、70代と今後の余生をより充実したものにするために、50代の頃から運動習慣を身につけ、腰痛予防をしていくことをお勧めします。

(近藤悟司)


▼ 参考文献
タイトル:Short- and long-term effects of a six-week clinical Pilates program in addition to physical therapy on postmenopausal women with chronic low back pain: a randomized controlled trial.
雑誌名:Disabil Rehabil. 2016;38(13):1300-8.
[PMID: 26474232]

タイトル:Efficacy of group-adapted physical exercises in reducing back pain in women with postmenopausal osteoporosis.
雑誌名:Aging Clin Exp Res. 2014 Aug;26(4):395-402.
[PMID: 24338597]

タイトル:Relationship between vitamin D deficiency and chronic low back pain in postmenopausal women.
雑誌名:Curr Rheumatol Rev. 2013;9(1):63-7.
[PMID: 25198368]

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