私の腰の椎間板ヘルニア、手術するべき?手術を検討する際のポイント

腰の椎間板ヘルニアで手術を考慮する際のポイント

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【記事のポイント】
1. ヘルニアが見つかったため、即手術はちょっと待った!
2. 痺れの部位を鑑別する「神経根ブロック注射」
3. 便、尿の調節がうまく行かなくなった場合は、早めの手術が必要!

病院でヘルニアが見つかり、症状がひどい場合、「このままだと歩けなくなるんじゃないか?」、「仕事に復帰できなくなるんじゃないか?」など不安に思い、手術を考えたことはありませんか?しかしヘルニアは手術が必要な場合とそうでない場合があります。

今回はヘルニアが見つかってから手術になるまでの流れと、どういったヘルニアが手術が必要なのかを説明していきたいと思います。

ヘルニア発見=手術ではない!

病院でヘルニアが見つかった場合、まず頭によぎることは手術が必要かどうかだと思います。多くの方が医師にヘルニアと言われた際に、診察で直接確認するかと思います。しかし、診察では時間が短く、直接確認できなかったり、湿布や薬で様子を見るように言われてしまい、不安に思うこともあったのではないでしょうか?

しかし、残念なことにヘルニアが見つかって、それが手術が必要かどうかを即座に判断することはとても難しいです。

なぜかというと、腰痛の基礎知識でも述べてあるように、腰痛の85%は非特異的腰痛という、原因が特定できない腰痛だからです。

その人が感じている痛みや痺れが本当にヘルニアから来ているものなのかどうか、はっきりわかっていない状態で、手術を行うことは極めて危険です。
手術はギャンブルではありません。その人に手術を行うことで、症状が良くなるという根拠がなければなりません。

そのため、腰のヘルニアに対して手術をすることで、その人の症状が良くなるということを示すための検査を入念に行う必要があります。それからでも、手術を決断するのは、遅くはありません。

ヘルニアの手術と保存療法について以下の記事で詳しく書いていますので、ご一読ください。
ヘルニアに対する手術と保存のシステマティックレビュー
(ヘルニアの手術と保存療法を比較し、1〜2年後にその効果に大きな違いが見られなかった)
ヘルニアが自然消滅するケースがあること
(ヘルニアのタイプによって、自然消滅する場合がある)

まずは保存療法からスタート

腰のヘルニアと診断された後、まず治療の第一選択となるのは「保存療法」です。保存療法というのは、整形外科領域では出血を伴わない治療のことで、リハビリテーション(理学療法)物理療法電気療法薬物療法などが含まれます。

簡単に言ってしまえば、薬や注射を投与しつつ、リハビリテーションで様子を見るということです。

この保存療法を一定期間実施したにも関わらず、症状に変化が全く見られない、もしくは痛みや痺れが悪化しているといった場合には、手術を考慮する必要があります。

過去の調査によると、この症状に変化が見られない人の約2~5割の人が手術の適応となったと報告されています。

リハビリテーションや薬、注射を実施していても、痛みや痺れに全く変化が見られない場合は、手術を検討してみても良いでしょう。

痺れの原因は神経が圧迫されている、それって本当に?

多くの方が腰の手術を考えるきっかけになるのは、脚に広がる痺れではないでしょうか?
この痺れる感覚が、生活に支障をきたすようになってくると、すごく不安になるかと思います。

この痺れは非常に厄介です。なぜ厄介かというと原因の特定が難しいところにあります。

多くの場合は脚に痺れがあれば、腰の神経からという事を考え、MRIを撮影します。
そしてこのMRIで脊髄神経が圧迫されている像が確認されれば、その神経が圧迫されていることが原因とされるでしょう。

しかし、この圧迫されている神経の箇所と症状が出ている身体の部位が異なる場合があります。そうなってしまうと、その神経が圧迫されていることが痺れと痛みの原因なのか?と疑問が出てきてしまうわけです。

腰から出ている脊髄神経は、何本にも枝分かれして、脚の方に分布しています。そのため、腰の神経の何番目が圧迫されていれば、どこに症状が出るかということもわかっています。(例えば、腰の骨の4番目と5番目が圧迫されれば、すねの外側〜足の甲にかけて、すねの内側〜親指にかけて痺れが出現する)

神経根ブロック注射で原因を特定する!

このような場合に、原因をはっきりさせるために用いるものがブロック注射です。このブロック注射にはいくつか種類がありますが、その中に「神経根ブロック注射」というものがあります。

この神経根ブロック注射は、神経から脳に伝わる信号を麻痺させて、痛みの信号を遮断させるというものです。

神経根ブロック注射をMRIで圧迫されている神経に打ち、症状が緩和すれば、それはその神経が圧迫されていることが原因でしょう。しかし、あまり効果がなかった場合には、原因はそこではないのかもしれません。

こういったケースがあるために、腰痛は原因が特定できない非特異的腰痛が85%にもなってしまっています。

トイレの調節ができなくなったら危険!?

腰のヘルニアは早期に手術が必要かどうかを判断することは難しく、すぐに手術をすることは危険であると説明してきました。

しかし、1つ例外があります。

それは尿や便の調節ができなくなる排尿障害、膀胱直腸障害が症状として見られる場合です。この症状が見られるヘルニアを馬尾症候群と言います。

日本整形外科学会/日本脊椎脊髄病学会の腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドラインによると、この馬尾症候群を伴う腰のヘルニアは発症後早期に手術を行うことが望ましいとされています。

研究によっては発症後48時間以内に手術を行うことで、その後の回復が良いと報告もされていますし、発症時間よりその排尿障害と膀胱直腸障害の重症度によって、手術のタイミングは異なってくるという報告もされています。

まだ手術を行うタイミングについては一定の見解が得られていないことが現状ですが、この馬尾症候群の有無に関しては、注意が必要です。もし、そのような症状がある場合は、早急に近医を受診し、治療方針を医者と相談すると良いでしょう。

まとめ

まとめると、手術を検討するポイントは、


■ 一定期間の保存療法を行っても全く効果がない、もしくは症状が進行している場合
■ MRI画像から神経の圧迫が確認され、ブロック注射の効果が認められた場合
■ 排尿障害、膀胱直腸障害がある場合

手術は簡単に決めるものではありません。症状を無くして欲しいから、手術をして欲しいというのは、非常に安易で危険です。その後の生活に支障を及ぼしてしまう可能性もあります。

近くの医者や大きな病院で適切な検査を行い、医者としっかり相談した上での決断をおすすめします。

(近藤悟司)


▼ 参考文献
タイトル:腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン 改訂第2版
監修:日本整形外科学会 日本脊椎脊髄病学会

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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