動脈硬化は腰痛と関係しているのか!?

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター山下真司 / 理学療法士 / 修士号(医学)

動脈硬化と腰痛の関係

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【記事のポイント】
1. 腰痛の中には、血管の病気に伴って生じるものもある。
2. しかし、現時点では腰痛とアテローム性動脈硬化症に明確な関連があるとは言えない。
3. 動脈硬化は、食事や有酸素運動、禁煙で予防しよう!

「動脈硬化」という言葉を一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか?

動脈硬化は、文字どおり「血管が硬くなること」を表します。血管が硬くなることで血液がうまく流れにくくなり、心臓病や脳卒中など、様々な病気を引き起こしますが、意外にも、腰痛の原因になるのではないかという仮説も存在します。

そこで今回は、過去の論文をまとめることで、アテローム性(動脈の壁にお粥のような塊ができた状態)の動脈硬化と、腰痛との関連を検討した報告をご紹介いたします。

仮説をもとに2人の研究者が過去の論文を統合

この報告では、お腹の大動脈、もしくは大動脈から枝分かれした細い血管が詰まることで、骨と骨を支えている椎間板などに血液が行き渡らなくなり、その結果、腰痛につながるのではないか、という仮説を元に検証されました。

主要な医学文献データベースを用いて、動脈硬化と腰痛の関連を検討した過去の論文が検索されました。その結果、4つのサイトから全部で408の論文が見つかりました。最終的に、ある一定の基準を満たした26の論文の結果についてまとめられました。

動脈硬化と腰痛の関連を裏付ける十分な証拠はなかった

26の論文をまとめた結果、アテローム性の動脈硬化が腰痛と関連しているという、明確な結論を導くための証拠は不十分でした。

過去の論文の中で、「腰痛との関連があった」としているものには、過去に心臓や血管の病気をした人や、心臓病の危険因子(高血圧や脂質異常症など)を持っている人などが含まれていました。

一方、「関連がなかった」としている過去の論文には、冠動脈と呼ばれる心臓を栄養している血管が詰まる病気(冠動脈疾患)を発症した人や、高血圧や脂質異常症を持っている人などが含まれていました。

腰痛との関連はなくても予防すべき生活習慣病

今回の報告から、現在のところ、動脈硬化と腰痛との関連を導くには、証拠は不十分であることが分かりました。

しかし、腰痛との関連が全くないわけではありません。特に、動脈硬化が原因で発症する病気の一つである「腹部大動脈瘤」は、腰痛症状を伴うことがあると言われています。「血管性腰痛」という言葉があるように、血管の病気が腰痛につながることは少なくありません。

さらに、腰痛に関連しないとしても、「動脈硬化」は心疾患や脳血管疾患のリスクとなります。動脈硬化の主な原因は、過剰なLDLコレステロール(悪玉コレステロール)です。一方、HDLコレステロール(善玉コレステロール)は動脈硬化を防ぐ役割をもちます。

動脈硬化の対策には、適切な運動や食事、禁煙などの生活習慣の改善が必要となります。
以下にそれぞれのポイントを簡単にご紹介します。

適度な有酸素運動

善玉コレステロールは、適度な運動で増加すると言われています。そのうえで、動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、1日30分以上の運動を週3回以上、もしくは週180分以上の運動を推奨しています。まずはウォーキングなどの軽い有酸素運動から始めてみることをお勧めします。

悪玉コレステロールを抑制する食事

悪玉コレステロールを下げる食品として、「不飽和脂肪酸」や「食物繊維」を多く含んだものが注目されています。

■ 不飽和脂肪酸を多く含む食品:青魚(サンマ、イワシ、アジ、サバなど)
■ 食物繊維を多く含む食品:野菜や海藻など

禁煙

動脈硬化症があり、かつ、喫煙をしている場合、喫煙をしていない場合よりも死亡リスクが上昇することが報告されています。そのため、特に喫煙していて、動脈硬化症がある場合には、直ちに禁煙しましょう。そうでない場合でも禁煙は重要です。

上記3つの生活習慣改善のポイントを解説しました。中には、生活習慣の改善だけでは、改善しにくい方もいると思います。その他の手段として、薬物による治療も存在します。医師と十分に話し合った上で、治療方針を決定すると良いでしょう。

(山下真司)


▼ 参考文献
タイトル:Does Ischemia Cause Low Back Pain? A Systematic Review.
雑誌名:PM R. 2017 Apr 28. pii: S1934-1482(16)31118-2.
[PMID: 28461227]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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