本来の腰の動きを理解して、腰痛を予防しよう!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター近藤 悟司 / 理学療法士 / Spine Dynamics認定療法士

腰の構造と腰痛

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【記事のポイント】
1.  腰はひねる動きが苦手な関節である
2. 胸と股関節はひねる動きを得意とする関節である
3. 胸と股関節をひねることで腰の負担を減らすようにしよう!

皆さんは腰を痛める時には、人はどういう姿勢になっていることが多いと思いますか?

普段、皆さんの周りにもぎっくり腰をしてしまったと話す人が多くいるかと思います。よくアニメや漫画なんかでは腰の骨が前後にずれるイラストが使われていたりしています。

ぎっくり腰をしたと聞いて、皆さんはどんな姿勢や動作を思い浮かべますか?今回は、腰は本来どのように動いていて、どういった動きが負担になってしまうのかについて触れていきたいと思います。

腰痛発症後の安静は効果がない?

腰を痛めてしまった時、皆さんはどのような対応をしますか?多くの方は湿布を貼って、安静にするという選択をされるかと思います。腰痛について調べたことがある方は既に知っていることかもしれませんが、最近の研究結果では腰を痛めてしまった場合、安静にするより動ける範囲で動くほうが良いと報告されています。

しかし、動ける範囲で動くと言ってもむやみに動いていいというわけではありません。腰に痛みを感じない程度の運動を少しずつ行っていかなくてはなりません。

そのためには、腰は本来どのように動いているのかを知っておく必要があります。腰の本来の動きを知っておくことで、腰痛を悪化させてしまうことを予防できます。

ヒトの関節についての基礎知識

まず、はじめに触れておきたいことが、ヒトの関節の動く方向と動く範囲は決まっています

人間には多くの関節があり、膝関節や肩関節などの大きな関節もあれば、指の骨などの細かい関節もあります。背骨は頚椎(首の骨)、胸椎(胸の骨)、腰椎(腰の骨)、仙椎(骨盤の後ろの骨)と分けることができ、それぞれに関節があります。

背骨は各部位ごとに形状が異なり、それぞれ動く方向と範囲が決まっており、頚椎、胸椎、腰椎それぞれが得意とする動きは決まっています。この動く方向が決まっているにも関わらず、関節に無理な動きや本来動くはずのない動きが加わってしまったり、動く範囲以上の動きが加わってしまうと関節は変形してしまったり、関節の軟骨や周囲の組織が傷つくことになってしまいます。

例えば、ひじは伸びきってしまうとそれ以上伸びることはできませんが、さらにひじが伸びる力が加わったら、ひじはどうなるでしょう?痛々しくてあまり想像したくありませんが、ひじは逆に曲がり、骨折してしまいます。

よく変形性膝関節症と診断され、関節の間が狭くなっている、軟骨が磨り減っていると医者に言われるということがありますが、これも膝が歩いている時や立ち座りをする時に膝に本来の動く範囲以上の動きが加わってしまい、負担がかかりすぎてしまった結果と言えます。

本来の腰の動きとは?

さて本題に移りますが、腰の骨の動きはどの方向に動くのでしょうか?大きく分けて腰の骨は


■ 前屈(前にかがむ)
■ 後屈(後ろに反る)
■ 側屈(カラダを横に倒す)
■ 回旋(カラダをひねる)

という動きをすることができます。

この中で腰の骨が得意とするのは前に屈む動きです。そして、最も苦手なのがカラダをひねる動きになります。腰の骨は立っている状態から前に屈む時に約50度動きます。それに対し、カラダをひねる時には約5度しか動きません。腰はひねることに非常に弱い関節ということがわかります。

「スポーツで腰を痛めやすいカラダの使い方とは?」でも説明しているように、よく野球のバッティングやゴルフのスイングなどで「腰をひねって打て」と表現されますが、これはあえて「腰に負担をかけろ」と言っているようなものです。

このような理由で腰をひねることは腰に良くないということがわかります。では実際に皆さんが今までぎっくり腰をしてしまったり、腰を痛めてしまった時のことを思い出してみてください。


■ 床に落ちたものを片手で拾おうとした時
■ 寝ている姿勢からカラダをひねりながら起きた時
■ 左側にある重い荷物を持ち上げて右に移した時
■ 横坐りした状態から立ち上がろうとした時
■ スポーツでカラダをひねることを勢いよくした時

いかかでしょうか?思い当たることはありませんか?

特に床のものを拾うとき、床のものを持ち上げるときなどは腰痛を訴える方が多いように感じます。
そのような際には以下の3つのポイントを参考にしてください。


①足を両足揃えること
②お尻を後ろに突き出すように屈むこと
③膝を曲げて足の力で持ち上げるようにすること

片手で拾う、どちらかの足が前に出ているなど左右非対称の動きになってしまう場合は、腰にひねる動きが加わっていまいます。なるべく、左右対称にするように足を揃える、両手を使うということが腰をひねる動きを予防してくれます

他にも腰をひねる動きは日常生活に多く潜んでいます。腰を痛めてしまったきっかけの動きを細かく思い返してみてください。もしかしたら腰をひねる動きを知らず知らずのうちにしてしまっているかもしれません。

この腰をひねる動きを理解して、普段の私生活から気をつけることで、腰に負担をかける頻度が少なくなり、痛めて傷ついてしまった組織が少しずつ治癒していくようになります。そうすれば腰を痛めてしまっても、自分自身で痛みのコントロールができるようになってくると思います。

胸と股関節の動きが腰の動きを助ける!

では、「この腰を捻らないようにすればいいのはわかったが、ひねる動きをする時はどうすればいいの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。

仕事上、どうしても腰をひねらなければならない時や、特にスポーツでは腰をひねる動きが多くあります。ここでポイントなのが、カラダをひねる動きを得意としている箇所である胸椎(胸の骨)と股関節を使うことです。

腰が5度しか捻る事が出来ないのに対し、胸の骨に至っては、胸の骨は30度捻る事ができます。また股関節は球関節という関節に分類されており、動きが非常に大きな関節になっています。この二つの関節の動きを維持しておくことが腰痛の予防にはとても重要になってきます。

まとめ

まとめると、腰は捻るという動きに非常に弱い構造をしていて、日常生活で腰を捻ってしまうような動きは多く存在しています。そしてこの腰が捻らないようにするためには捻る動きを得意としている胸の骨と股関節の動きを柔らかく維持しておくことが重要ということになります。

今回の記事を参考にしていただき、普段の生活の動きをもう一度見直して、細部まで注意してみてください。皆様が原因不明と思っている腰痛の原因が意外と見つかることがあるかもしれません。

(近藤悟司)

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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