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【記事のポイント】
1. 生理時に起こる腰痛の仕組み(リラキシンとプロスタグランジンについて)
2. 病院受診が必要な腰痛は?
3. ピルで月経をコントロールする!
生理時の腰痛でお悩みの方は多くいらっしゃるかと思います。
生理は女性には必ずあるもので、普段とは違う急激なホルモンバランスの変化が起こります。この急激なホルモンバランスの変化によりカラダの状態が変化し、腰痛を感じるようになってしまいます。
今回は生理時に起こるカラダの反応とそれに伴う腰痛のケアの仕方として、ピルについて説明していきたいと思います。
生理時に起こる腰痛の仕組み
生理時には急激なホルモンバランスの変化が起こります。このホルモンの中に、リラキシンとプロスタグランジンというホルモンが存在しています。このホルモンが腰痛に関係していることが考えられています。
リラキシンというホルモンは骨盤の関節を緩め、骨盤を開きやすくし、経血を促す作用があります。このリラキシンは関節を緩める(靭帯を緩める)作用があります。そのため、関節の靭帯による安定性が低下してしまうため、関節を安定させるものが筋肉しかなくなり、筋肉にかかる負担が大きくなってしまいます。その結果、腰の周りの筋肉が硬くなり、腰痛に発展してしまいます。
次にプロスタグランジンというホルモンがあります。このホルモンは主には子宮の収縮に働きますが、加えて痛みを増強させ、痛みを感じやすくてしまう作用があります。
月経不順や骨盤内の血行不良があると、経血が滞ってしまいます。そこでこのプロスタグランジンが過剰に分泌され、経血をスムーズにしようとする反応が起こります。この過剰分泌によって、痛みが増強され、腰痛を感じやすくなってしまいます。
病院受診が必要な腰痛
生理に関連する腰痛の内、病院受診が必要な腰痛として、内臓の異常からくるものがあります。
⑴子宮内膜症
⑵子宮筋腫
⑶卵巣嚢腫
子宮、卵巣に異常がある場合は異常の3つの病気の可能性があります。腰痛に加えて、
■ 過多月経
■ 排便痛、排尿痛
■ 不正出血
■ 頻尿
■ 下腹部痛
などの他の症状が複合する場合は、一度病院で精査してもらうことをお勧めします。
またその他の内臓の病気として右側のみに腰痛を感じる場合は肝臓、すい臓、上行結腸、虫垂炎の病気が疑われ、左側のみに腰痛を感じる場合は胃、膀胱、脾臓の病気が疑われます。
これらの内臓からくる腰痛の特徴としては、腰を曲げたり、反ったりといった腰が痛い明確な動きもなく、常に痛みを感じているか、1日の中でも不定期に痛みが出現することです。
腰痛の原因がわからなく、痛い動きもはっきりしなく、カラダに何か異変が生じてる場合は病院受診をお勧めします。
ピルで月経をコントロールする
女性の生理は仕事の疲れや運動過多などの身体的ストレスと、寝不足や職場や学校での対人関係のストレスなどの精神的ストレスの影響を大きく受けます。
ストレスを感じると月経の時期が不定期であったり、経血の量が一定でなかったり、正常な生理が起こらなくなってしまいます。
生理が正常でなければ、先程説明したホルモンの過剰分泌が起こり、本来のホルモンバランスが崩れてしまいます。
この生理が定期的に起こり、一定の日にちで終わる正常な状態に維持しておくことが、腰痛の予防にもつながります。
これらの対策として産婦人科ではピルの処方が勧められています。ピルと聞くと、避妊薬と言う印象が強いですが、今ではピルは生理をコントロールするものとして認知されてきています。
海外のアスリートは、試合でベストなパフォーマンスを発揮するために、試合と生理がかぶらないようにピルでコントロールしています。日本でもオリンピックに出場した選手が、ピルを服用することで子宮内膜症の症状押さえ込み、試合に出場し、結果を出すことができています。
海外だけでなく、日本でも子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患に対するケアが進歩してきています。副作用の問題や、いろいろなイメージから抵抗がある方も多くいらっしゃるかと思いますが、現在ではピルを含む産婦人科の治療もいろいろと選択肢があります。
もし、何らかの理由で生理が正常でなく、カラダに不調がある場合は、一度産婦人科の受診をしてみてもいいかもしれません。そこで産婦人科医と治療方針を相談して、ご自身のカラダのケアをしていけると良いのではないでしょうか?
(近藤悟司)
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