新腰痛対策マインドフルネスによくある3つの誤解|臨床心理士が解説

腰痛対策「マインドフルネス」によくある3つの誤解

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【記事のポイント】
1. マインドフルネスとは何か?
2. マインドフルネスについてよくある3つの誤解
3. マインドフルネス実践中にも意識しておきたいこと

最近、巷でよく耳にする「マインドフルネス」。
NHKでも特集が組まれるほど、日本でも、マインドフルネスへの関心が高まっています。
(「NHKスペシャル シリーズ・キラーストレス」「まる得マガジン」)

海外では腰痛治療にも取り入れられており、その有効性が示されています(詳しくは、マインドフルネス vs. 認知行動療法 vs. 通常ケア -慢性腰痛対策の費用対効果の比較-「マインドフルネスの腰痛に対する効果-最新の知見から-」)。

しかし、せっかくのマインドフルネスも、正しく理解し実践しなければ意味がありません
やり方を間違えると、逆効果になることもあります。

マインドフルネスとは何なのか、どうすれば腰痛の改善に役立つのか。
マインドフルネスを実践する前に、そのポイントを確認してみましょう。

マインドフルネスとは何か?

マインドフルネスと聞くと、瞑想や座禅など、仏教的なものをイメージする方も多いかもしれません。
そのイメージのとおり、もともとマインドフルネスとは、パーリ語のサティ(Sati)を英訳したものであり、古来より東洋で実践されてきた心身との向き合い方に由来しています。

現在広く行われているマインドフルネスは、そうした伝統的な概念や技法と、現代の心理学研究を通して蓄積された、人の認知機能に関する知見が組み合わされて誕生しました。

こうした経緯を経て生まれたマインドフルネスの定義がこちらです。


“ある特別な方法で注意を払うこと:意図的に、いまこの瞬間に、判断することなしに”
(Kabat-Zinn, 1994, p.4)

つまり、マインドフルネスとは、過去や未来に思いをめぐらせることなく、その瞬間、瞬間に、目の前にある物事や自らの考えや気持ちに集中して注意を向ける取り組みといえます。

マインドフルネスでよくある3つの誤解

上記のような定義のマインドフルネスですが、誤解も多いのが実情です。
今回は、よくある3つの誤解とともに、マインドフルネスの本来の特徴を解説していきたいと思います。

誤解1:マインドフルネスとは、受動的になることである

マインドフルネスの定義としてよく耳にするのが、「すべての事象をあるがままに受け入れる」というものです。

これは間違いではありませんが、「受け入れる」という表現から、マインドフルネスが、ただリラックスして、ぼんやりと何かを待ち構えている状態と理解されることがあります。

しかし、定義からもわかるように、マインドフルネスとは、本来非常に能動的な活動です。

マインドフルネスのエクササイズには、瞑想のように身体を動かさないものもあります。
しかし、そのようなエクササイズを行うときでも、頭の中では絶えず何らかの対象に注意を向け続ける必要があることを忘れないでください。

誤解2:マインドフルネス=ヨガ・瞑想・座禅である

マインドフルネスを促すエクササイズの代表的なものに、ヨガ、瞑想(メディテーション)、座禅があります。

しかし、マインドフルネス=ヨガ、瞑想、座禅を行うこと、ではありません
こうしたエクササイズは、あくまでもマインドフルネスの実践を手助けするものにすぎません。

重要なのは、良い・悪いの評価を行うことなく、特定の物事に対して注意を向けたり、注意の対象をあるものから別のものへと素早く切り替えたりすることができるようになることです。
そうした状態を導く方法であれば、それが必ずしも、ヨガ、瞑想、座禅である必要はありません。

実際に、マインドフルネスを促す治療プログラムでは、食事や歩行など、日常的な行動に注意を向けるエクササイズが取り入れられています。

エクササイズの形態にとらわれず、そのエクササイズによって、実際に自分の注意力を高めることができているかどうかを重視してください。

誤解3:マインドフルネスとは、ポジティブな物事に注意を向けることである

人は誰しも、ポジティブなものに目を向けたくなるものです。
楽しいこと、美しいものは、私たちの生活に活力や癒しを与えてくれます。

しかし、マインドフルネスを実践する際には、ポジティブな物事ばかりでなく、ネガティブな物事、たとえば、腰痛を引き起こす恐れのある物事、それに対する恐れや不安、過去への後悔、将来への不安などにも注意を向けることが必要です。

ネガティブな物事が頭に浮かぶと、人は不快な気持ちになります。
そして、部屋からゴミを出すように、そうした考えを綺麗さっぱり消したくなります。

しかし、不快だからといって、それについて考えないようにしたり、前向きに考えようとしたり、あるいは、気を紛らわせようと他の物事を考えたりすると、かえって、そうしたネガティブな物事を考えてしまい、むしろ痛みが長引く可能性があります(詳しくは、「腰痛について「考えない」は逆効果!思考の抑制は痛みを増加させる!」)。

ネガティブな考えや気持ちが頭に浮かんだときは、「ああ、いま自分にはこんな考えがあるんだな」「あ、こんな気持ちも出てきた」と、それらに注意を向けてください。
そして、それらをじっくりと観察し、どんな考えや気持ちなのかをつぎのように言葉にしてみてください。


自分はいま、「腰痛の大変さを誰にもわかってもらえなくて、とても悲しい」と思っている…
自分はいま、「動くと痛みはもっとひどくなるかもしれない」と思っている…
自分はいま、「腰痛のために、以前と同じようには働けなくなるのではないか」と思っている…

頭の中で言葉にするだけでも良いですが、はじめは紙に書いたほうが、自分の気持ちや考えがよりはっきりするかもしれません。
こうして、頭に浮かんだ気持ちや考えから目をそらそうとせず、ただ注意深く眺めてみましょう

このようにネガティブな気持ちを無理に消そうとせず、心理的に少し距離を置いたところから、ただ観察して、それだけにとらわれないことが重要なポイントです。

専門的には、これは「距離をとること(distancing)」と呼ばれますが、これこそが、マインドフルネスが目指していることなのです。

マインドフルネス実践中も常に意識して!

近年、マインドフルネスという名称は一般的になりつつありますが、メディアの中には、その定義や特徴を正しく伝えきれていないものも多く見られます。

少なくとも、マインドフルネスは、決して良い気持ちになるものでも、嫌な気分を紛らわせるものでもありません

マインドフルネスを実践しているときも、この点を常に意識し、自分がネガティブな考えや気持ちを消すためにマインドフルネスを利用していないか、確認するようにしましょう。

(坂野朝子)


▼ 参考文献
Kabat-Zinn, J. (1994). Wherever you go, there you are: Mindfulness meditation in everyday life. New York: Hyperion.

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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