腰痛の原因は筋肉の疲労やハリ!?その痛みを和らげる2つのポイント!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター諸麥友博 / 理学療法士 / 第1種衛生管理者 / 作業管理士

デスクワーカーの女性の腰痛

(c)Andrey Popov - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 筋肉のハリや疲労が腰痛の原因となる.
2. 筋肉への理解を深めることで痛みを和らげるコツがわかる.
3. 『長時間同じ姿勢を続けないこと』『股関節を柔軟性を保つこと』が重要.

腰の痛みをなんとかしたくて、いろいろ試してはいるけどあまり改善しない。。。とお悩みの方は、その原因として、あなたの腰痛のタイプにあった最適な対策が行えていないかもしれません
実は、腰痛にはタイプがあり、タイプにあった対策を行わないと逆に腰痛が悪化してしまうことさえあります。
本日は、多くの方の原因となっている筋肉のハリや疲労が原因である”筋・筋膜性腰痛”に関して、その概要と対策をお伝えしていきます。

筋肉のハリや疲労が腰痛の原因に

家事で腰痛

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長時間のデスクワークや前屈みでの家事仕事、同じ姿勢での作業により腰の筋肉に負担を強いると、どうしても腰の筋肉が緊張してしまい硬くなります(柔軟性の低下が生じる)。それにより筋肉やそれを覆う膜(筋膜)の損傷が起こりやすくなり、起こしてしまった際には炎症となり痛みを感じるようになります。また、筋肉が硬いことで血行不良になりやすく痛みを感じやすいような状態に陥ってしまいます。
このように腰の筋肉が疲労することにより起こる腰痛のことを“筋・筋膜性腰痛”といいます。

痛みを和らげるために筋肉への理解を深めよう!

では、筋・筋膜性腰痛の場合、どのような対策が効果的なのでしょうか。ここではまず筋肉について解説したいと思います。それぞれの構造や仕組みを理解することで腰痛を和らげるための助けになります。

筋肉の構造について

腰痛に対する筋膜リリース

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筋肉の構造を細かく見ると上図のようになっています。
筋肉には、それを覆うように”膜(Fascia)”が存在します。これを筋膜と呼びます。筋膜を介して筋肉と筋肉がつながっているため、筋肉に硬さがあると、筋膜を通して、その隣の筋肉にまで悪影響が出たりすることがあります。

筋肉には役割がある

関節が動く際、各部位の筋肉は2つの役割をバランスよく果たしています。
その役割とは、『メインで働く筋肉(主動作筋)』『サポートとして働く筋肉(拮抗筋)』です。
力こぶをいれるときを想像してみてください。

上腕二頭筋

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肘を曲げるときに力こぶになる筋肉(上腕二頭筋)が”主動作筋”、力こぶの裏側になる二の腕の筋肉(上腕三頭筋)が”拮抗筋”となります。主動作筋は縮まるほうで“力源”になる役割があり、拮抗筋は伸びるほうで“制動”という役割があります。関節を動かすときには、必ずこの主動作筋と拮抗筋がバランスよく働いています。
力こぶの例で再び説明しますが、もし、一方の筋肉しか働かない、つまり力こぶになる筋肉だけしか働かないとすると、肘の関節が勢いよく、かつ大きく動き過ぎてしまい、肘の怪我に繋がるかもしれません。そのため、肘を動かす速度を拮抗筋である二の腕の筋肉が微調整しながら、必要なだけの力加減で正しく関節を動かしているのです。

この関係を腰の筋肉に当てはめると、腰の筋肉は主に“制動”という役割を担います。姿勢を保つために、長い時間力(チカラ)を出し続けないといけません。そのため疲労が溜まりやすく、硬くなりやすいという特徴があります
硬くなることで筋肉や筋膜自体が損傷しやすくなります。また、筋肉が疲労していると、血流も悪くなりやすくなります。血流が悪くなるということは筋肉を動かす際には、酸素が必要なのですが、その栄養源の酸素が行き届かなくなり、かつ、酸素は筋肉に溜まった老廃物を持っていく作用もあるので、その機能を果たしにくいという悪循環に陥ります。これにより、より重だるさに似た痛みを感じやすい状態となります。

痛みを和らげるための2つのポイント

ここでは筋・筋膜性腰痛が疑われる場合に、どのようにすれば“コントロール”できるかについて簡単なポイントを2つお伝えします。

ポイント①:長時間の同じ姿勢を避ける

デスクワークの腰痛

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ヒトは同じ姿勢でいることが苦手な生き物です。極端な例でお話しします。いまあなたが椅子に座っているとしたら、背筋がまっすぐに伸びた綺麗な姿勢で10分間動かないでくださいと言われたら維持できるでしょうか。綺麗な姿勢をしていると、腰痛も防ぐことができると思われがちですが、綺麗な姿勢よりも大切なのは、適当なタイミングで姿勢を変えることです。車の運転中はずっと座っているように思いますが、知らない間に、誰でもお尻の位置や角度をずらしたりして、姿勢の変換を無意識にしています。

学生時代を思い出してもらうと、全校集会などで校長先生が前でお話しされているのを聞いているときに、休めの姿勢で右足に体重をかけたり左足に体重をかけなおしたりを繰り返し行っていませんでしたか。このような適当なタイミングで姿勢を変換することが、腰痛の予防につながります。このように、姿勢を変えることで筋肉の疲労のリセットにもなるからです。しかし、仕事の都合上なかなか姿勢を変えられないという意見をお聞きすることがあります。そのような課題でお悩みの方はデスクワーク中心の方か、販売員などの立ち仕事の方でしょう。それぞれの注意点をお伝えしておきます。

デスクワークなどの座り仕事が中心の方へ

デスクワークでの腰痛

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A) VDT(Visual Display Terminals)作業(いわゆるパソコンを用いた作業のこと)における労働衛生管理では、一連続作業時間(同じ作業を連続でする時間)は1時間を超えないようにし、“連続作業と連続作業の間に10〜15分の作業休止時間を設けること”とされています。この“作業休止時間”とは、労働基準法上使用者に付与が義務づけられた「休憩時間」とは別のことを意味しているので、注意が必要です。同一の連続作業をやめ、身体を休める時間を作ることで結果的に身体を痛めにくく業務効率も高くすることにもつながります(コピーを取りに行くなどでも可)。
B)  椅子の背もたれを上手に使うことも重要です。腰痛でお悩みの方は、背もたれと自身の背中の間にクッションを入れることをオススメします。クッションを入れることで腰の筋肉の緊張がほぐれて負担軽減につながります。

立ち仕事が中心の方へ

立ち仕事と腰痛

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A) もしお客様の接客などでカウンター越しに同じ場所に立ち続ける場合であれば、足もとに高さ10cmほどの台を置き、交互に足を乗せるだけで腰の負担軽減につながります。実際に行ってみると、腰の重だるさが軽減することを実感できるでしょう。
B) 腹筋や背筋の筋力(パワー)ではなく、体幹筋力の”持久力”が大切になってきますので、自宅やジムで体幹のインナーマッスルが鍛えられるような運動(下の動画参照)をお勧めします(『立つ時間が長くなると、なぜ腰が痛くなるのか!?』を参照)。

ポイント②:股関節の柔軟性を保つこと

“股関節”は腰のことを理解する上でとても大切です。
腰が痛くなる人は膝も痛くなる、または膝が痛くなる人は腰も痛くなると聞いたことがありませんか?
これは股関節の負担を腰や膝が負うことで痛める方が多いからです。『腰痛の原因になっている意外な場所とは!?』で説明している通り、股関節が原因で腰痛になることも少なくありません。
そのため、股関節の柔軟性を高めるためのストレッチを積極的に実施することをオススメします。

筋・筋膜性腰痛による痛みを和らげるためには、筋肉についての理解を深め、上記で解説した簡単な2つのポイントをご自身の日常生活の中で意識してみてくださいね。

(諸麥友博)


▼参考文献
タイトル: Back muscle fatigue of younger and older adults with and without chronic low back pain using two protocols: A case-control study.
雑誌名: J Electromyogr Kinesiol. 2015 Dec;25(6):928-36. doi: 10.1016
[PMID: 26542483]

タイトル:Passive hip range of motion is reduced in active subjects with chronic low back pain compared to controls.
雑誌名:Int J Sports Phys Ther. 2015 Feb;10(1):13-20.
[PMID: 25709858]

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