指の柔らかい人は妊娠後期・産後に腰痛を発症しやすい?!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター鈴木祐介 / 理学療法士 / 修士号

指の柔らかさと妊娠後期・産後の腰痛

(c) ucchie79 - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 関節弛緩性とは、関節の動く範囲が正常よりも広い状態をいう。
2. 妊娠初期に指の関節が柔らかい(関節弛緩性がある)人は、妊娠後期・産後の腰痛リスクが増加していた!
3. 産後の腰痛を予防するためにも、関節弛緩性を持つ方は、腰のインナーマッスルを鍛えることが大切!

『関節弛緩性』という言葉をご存知でしょうか?これは関節の動く範囲が正常よりも広く、関節に付いている靭帯(一般に腱やスジといわれている部分)が正常よりも緩い状態をさします。
妊娠期には、分娩時に胎児が産道を通りやすくするために、リラキシンという靭帯を弛緩させる作用をもつホルモンの分泌が促進されます。しかしその反面、腰・骨盤まわりの安定性が低下します。
そこで今回は、関節弛緩性が妊娠後期および産後の腰痛と関係しているのかどうかについて検証した研究をご紹介します。調査の結果、妊娠初期に、指の関節が柔らかい(関節弛緩性を有している)方は、産後に腰痛を発症しやすいと報告されました。

指の柔らかさと産後の腰痛との関係性とは?

この研究では、200人の妊婦を対象としました。対象者には妊娠11週 (妊娠初期)、24週(妊娠中期)、36週(妊娠後期)、産後13週のタイミングで、自己記入式のアンケートと関節弛緩性(薬指の関節の柔らかさ)を評価するクリニカルテストを実施しました。

クリニカルテストでは、薬指を他動的に外に曲げた際の、薬指と人差し指との間の角度を計測し、その角度が大きいほど、関節弛緩性(薬指の関節の柔らかさ)が強いと定義しました。

また、アンケートで聴取した項目は以下の情報です。


■ 年齢や身長、体重など、個人の特徴に関する情報
■ 妊娠期間や回数など、妊娠に関する情報
■ 腰痛の有無やその程度など、痛みに関する情報

そして、対象者間のデータを比較・解析し、関節弛緩性と産後の腰痛との関係性を調査しました。

指の柔らかさは産後の腰痛と関連していた!

調査の結果、妊娠初期における指の開く角度を、妊娠中から産後まで3ヶ月以上継続する腰痛を持つ方、持たない方、の両者で比較したところ、腰痛を持つ方は44.1°であったのに対し、腰痛を持たない方は39.7°となっていました。
つまり、腰痛を持つ方は、持たない方よりも、妊娠初期における指の開く角度が4.4°大きくなっており、指の柔らかさは産後の腰痛と関連していることが分かります。

妊娠初期の指の柔らかさは、妊娠後期・産後の腰痛を発症するリスクが増加した

また、妊娠後期・産後の腰痛を発症するリスク要因を解析したところ、妊娠初期で指の関節が柔らかかった人は、1.15倍、過去の出産回数が多い方は3.24倍、産後の腰痛を発症するリスクが増加していました。すなわち、妊娠初期で指の関節が柔らかい人は、妊娠後期・産後の腰痛を発症するリスクが高いと考えることが出来ます。

妊娠後期・産後の女性の腰痛を予防するために出来ることとは

指の関節が柔らかいということは、全身の関節が緩い傾向にある(関節弛緩性)ことを示しています。つまり、関節を固定している靭帯の緩みが生じていたり、関節を補強している筋肉が弱いことが考えられ、それが原因となり、妊娠後期や産後に腰痛を発症しやすいと思われます。
今回の研究では、特殊な機械を用いて指の柔らかさを測定し、関節弛緩性の有無を判断をしていましたが、関節弛緩性の有無は、東大式全身関節弛緩性テスト(参考文献内の図1を参照)でも簡単に判断することが出来ます。

7項目のうち、4項目以上可能な場合(左右両方ずつ。片方のみの場合は0.5と判断)、関節弛緩性ありと判断します。

産後の腰痛を予防するためにも、まずは自分の関節弛緩性をチェックし、ありと判断された場合には特に腰痛のリスクが高いため、早期からの腰のインナーマッスル(お腹周りや背中の筋肉)を鍛えることが重要となります。

(鈴木祐介)

この記事はいかがでしたか?

より皆さまに適した記事をお届けするために、アンケートにご協力ください。

質問① あなたの体の悩みを解決するために、どのような行動をとれば良いかわかりましたか? *

質問② 家族や友人があなたと同じように悩んでいた場合、この記事を勧める可能性はどのくらいですか? *

質問③ あなたは現在、医療従事者として働いていますか? *


▼ 参考文献
タイトル:Finger joint laxity, number of previous pregnancies and pregnancy induced back pain in a cohort study.
雑誌名:BMC Pregnancy Childbirth. 2014 Feb 6;14:61
[PMID:24507564]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
  • *本サービスにおける医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではございません。そのため、本サービス上の情報や利用に関して発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。なお、診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関にて受診いただきますことをおすすめいたします。

あなたにあった腰痛予防があります!

腰痛予防マニュアル
無料ダウンロード 

腰痛といっても、人によってその原因も違えば、対策も変わってきます。その中でも特に職業は腰痛と密接な関係があります。そのため、職業ごとに適した対策をしていくことが重要となります。

  • デスクワークが多い人
  • 肉体労働が多い人
  • 立ち仕事が多い人
  • 運転をすることが多い人

それぞれの職業に合った対策を凝縮した『腰痛予防マニュアル』を早速ダウンロードして、今日から腰痛対策をはじめてみませんか?

メールアドレス



SNSで購読

こちらも読まれています