90%もの理学療法士が腰痛を経験!?そのリスク要因とは!?

理学療法士と腰痛

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【記事のポイント】
1. 理学療法士は、業務上、腰痛になりやすい職業である.
2. 90%もの理学療法士が、働き出してから腰痛を感じている.
3. リスク要因は「女性であること」「患者と接する時間が長いこと」「配属(脳神経外科であること)」であった.

腰痛は、業務上疾病(特定の業務に従事していることによってかかる、もしくはかかる確率が非常に高くなる病気の総称)という項目の中で第1位を占めており、仕事の業務内容によっては、腰痛のリスクも変わることが報告されています。腰痛の治療方法にはいくつもありますが、その一つに理学療法士によるリハビリテーションがあります。普段は理学療法士は腰痛患者をリハビリテーションで改善をサポートする側ですが、理学療法士自身も、前かがみの動作の繰り返し、前屈、立位での長時間の作業など、腰痛になりやすい姿勢や動作を頻回にしているため、腰痛を発症するリスクが高い職業といえます。

そこで今回の研究では、サウジアラビアのRiyadhという地域における理学療法士を対象に、業務上の作業に関連する腰痛を持っている割合、及びリスク要因を検討しました。その結果、『女性であること』『患者と接する時間が長いこと』『配属が脳神経外科であること』が、腰痛のリスク要因であると報告されました。

リハビリの専門職;理学療法士の腰痛を調査

理学療法士協会の600人の会員を対象に、研究に関わる説明を、各病院の掲示板にポスターを貼ったり、オンラインを通して行いました。対象者には、自己記入式オンラインアンケートを送付し、基本情報、理学療法士として働く前と後の腰痛の状態、仕事の環境、日々の活動への影響など30項目を評価しました。特に、各質問は仕事の環境、腰痛の悪化、理学療法士としての業務への影響に主眼をおいた内容で構成されました。

今回の研究の解析対象になる基準として毎日1時間以上患者と接していること、かつ、アンケートの全項目に回答していることが挙げられました。

協会会員600名にアプローチをかけた結果、502名(84%)がオンラインアンケートに回答し、かつ、解析対象の基準に該当していました。その中の、195名(39%)は女性で、307名(61%)は男性でした。368名(73%)は、サウジアラビア出身でしたが、国籍による腰痛の訴えの頻度の違いは認められませんでした。

さらに、対象者502名の学位はそれぞれ、学士281名(56%)、修士131名(26%)、博士55名(11%)で、専門は脳神経外科119名(23%)/整形外科141名(28%)/循環器32名(6%)/小児48名(9%)/一般診療108(21%)/その他54名(11%)という属性でした。

90%もの理学療法士が働き出してから腰痛を感じている

全般的な健康状態についても調査し、90%の対象者が、糖尿病や関節炎、循環器疾患などの病気を有していないことが分かりました。一方で、103名(20%)の者が、理学療法士として働く前から腰痛を有していたことが明らかになりました。

しかし、450名(90%)もの人が、理学療法士として勤務を開始してから腰痛を感じていることが明らかになりました。その中でも37%の人が、慢性的な腰痛に悩まされていることが分かりました。さらに、140名(31%)の人が、日常生活に支障が出ていました。

腰痛が生じやすい条件とは

整形外科で働く141名の中の43名(30%)が、脳神経外科で働く119名の中の84名(71%)が痛みの強い重度の腰痛に悩まされていました。さらに、整形外科では腰部のみの症状であるものの、脳神経外科では腰痛の他に殿部、太もも、足先に症状を感じている者が多いことが明らかになりました。

痛みの強い重度の腰痛に悩まされている中でも、男性は16%、女性は37%と、女性の方が多いことが分かりました。一方で、女性と比べて、男性は腰痛を感じている期間が長いことが明らかになりました。

理学療法士が患者と接する時間に関しては、227名(45%)が週に30時間以下でした。この患者と接する時間が長ければ長いほど、重度の腰痛に悩まされていることが分かりました。

業務上リスクが多い仕事である認識と自身の腰痛予防を

普段は腰痛患者の治療を行う病院やクリニックなどの保健衛生業では、他の業種と比較して、腰痛の発生率が高いと報告されています。看護師や介護士の腰痛に関する報告はこれまでに多くされていますが、リハビリテーションの専門職である理学療法士も同様に、腰痛の訴えが多い職業であることが明らかになりました。

本研究の結果から、理学療法士の腰痛のリスク要因として、『女性であること』『患者と接する時間が長いこと』『配属(脳神経外科であること)』が抽出されました。配属先によって患者の自立レベルが異なるため、特に脳神経外科は介助量が多いことが腰痛にも関わっていることが考えられます。

理学療法士は体の専門家であるものの、業務上は体を屈めたり、捻ったりなど、腰痛になるリスクが高い姿勢や動作を行う頻度が高いため、自身の腰痛予防も視点に入れながら業務に当たることが必要だと考えられます。

(福谷直人)


▼ 参考文献
タイトル:Work-Related Low Back Pain Among Physical Therapists in Riyadh, Saudi Arabia
雑誌名:Workplace Health & Safety
[doi: 10.1177/2165079916670167]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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