更年期女性が悩む腰痛の原因と対策とは?

更年期女性における腰痛

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【記事のポイント】
1. 更年期障害と腰痛にはどのような関係があるのか
2. 更年期障害により骨粗鬆症になる!?
3. 更年期障害による腰痛のための対策

女性の方で、50歳前後になってカラダの不調を感じたときに、更年期障害なのでは?と不安に思ったことのある方は多いのではないでしょうか。

今回は、更年期障害とは何なのか、腰痛とどのような関係があるのかを解説します。また、それらの対策についても詳しく解説していきます。

そもそも更年期障害とは?

更年期障害とは、卵巣が役割を終えて、女性ホルモンの分泌量が減少し始める更年期に、月経が徐々に不規則になっていくことやホルモンバランスが大きく変化する影響により、心身に不快な症状がいろいろと現れる障害のことです。
平成28年の国民生活基礎調査では閉経期又は閉経後障害(更年期障害など)に、214,000人もの人が悩んでいるとされています。

症状の内容や重さは人によって様々ですが、女性の方なら多くの方が経験するものだと思われます。

不快な症状が何日か続いた後に治まり、また数日経ってから始まるといった具合に断続的に続きます。

更年期障害が続く期間はおよそ10年といわれています。時間の経過とともにホルモンバランスが整うことで症状は穏やかになり、徐々に発症期間が短くなったり、発症する間隔が長くなっていきます。

更年期障害で現れる症状は以下の通りです。
めまい、頭痛、肩こり、腰痛、耳鳴り、動悸、肌荒れ、ホットフラッシュ(肌のほてりやのぼせ)、発汗、手足の冷え、イライラや不安感などのメンタル低下、性欲低下、月経の異常など、多岐にわたります。

更年期障害と腰痛にはどのような関係があるのか

その中でも、今回は腰痛に焦点を当てて解説していきたいと思います。

更年期障害で起こる腰痛のメカニズムには、女性ホルモンであるエストロゲンが関係していると考えられています。エストロゲンには、自律神経を整えたり、代謝機能の維持、肌や髪の毛の調子を整える効果があります。

閉経によりこのエストロゲンの分泌量が減ることによって、腰痛を含む様々な更年期症状が現れます。

これに加えて、肥満の方や、姿勢が悪い方、日常生活の中で腰に負担のかかる運動や動作をしている方はさらに腰痛になりやすくなります。肥満であったり、姿勢が悪いだけでも腰への負担は大きくなります。そのため、腰に限界がくるまでの時間が早まってしまい、今までと同じように生活していても痛みや違和感を生じるようになってしまうのです。

では、更年期障害による腰痛はどのように判断すれば良いのでしょうか。
先に答えから述べると、この判断は容易ではありません
腰痛は様々な要因で起こります。そのため、なにが原因で腰に痛みを感じているかの判断は難しく、病院などの医療機関で原因を追求することがおすすめされます。原因がわからないまま、症状が長引くことで痛みが慢性化してしまうと、なかなか痛みがとれないことにもなりかねませんので、注意が必要です。

更年期障害により骨粗鬆症になる!?

前項でも説明したとおり、更年期障害には女性ホルモンであるエストロゲンが関係します。このエストロゲンは、骨密度(骨の丈夫さ)を保つことにも関係しています。更年期障害によってエストロゲンの分泌が減少することで、骨密度を保つための機能が低下し、骨がもろくなりやすくなってしまいます。骨密度が低くなってしまうと骨粗鬆症になる危険性も高くなります。骨粗鬆症になってしまうと、日常生活でのちょっとした姿勢の変化や動作などで骨が折れてしまリスクが高くなってしまいます。何気なく椅子にドンと座ったり、くしゃみなどによって腰の骨が折れてしまう恐れも出てきます。

また、「閉経後女性の腰痛は背骨の骨折を予測する」では、閉経後女性において腰痛のある人はない人に比べて背骨の骨折を起こす可能性が高かったというデータが示されています。

腰痛のある人の特徴としては、高齢、腰と股関節の骨密度が低い、もともと背骨の骨折があった人が多い、といったことが挙げられています。該当する方は注意が必要です。骨密度は、健診機関などで測定することが可能です。日常生活におけるリスクを把握するためにも、知っておくことをおすすめします。

更年期障害による腰痛のための対策

では、更年期障害による腰痛を防ぐためにはどのような対策が有効なのでしょうか。
3つの観点から解説していきます。

対策その1|栄養

更年期障害の症状を栄養面で軽減するために考慮すべきポイントとして、以下のものが挙げられます。


■ ホルモンバランスを整えること
■ 自律神経を整えること

ホルモンバランスを整えるためには、減少しがちなエストロゲンの分泌を促してくれるビタミンEを多く含んだアーモンドや落花生がおすすめです。

自律神経を整えるためにはビタミンB1を多く含む豚肉や玄米、ビタミンB12を多く含むシジミやアサリ、レバーがおすすめです。

また、豆乳や豆腐、納豆に多く含まれる大豆イソフラボンには、エストロゲンと同じ作用があり、更年期障害の症状が軽減できる可能性があります。

さらに、骨粗鬆症による骨の脆さを栄養で補うためにはカルシウムやビタミンDが重要になります。

日本人は、1日のカルシウム摂取量が必要摂取量の最低限にも満たないと言われているため、意識的に摂取することがおすすめされます。

チーズやヨーグルトなどの乳製品、大豆製品、ひじきなどの藻類、魚介類、小松菜や大根の葉などの野菜類はカルシウムが豊富なため、進んで食べるようにしましょう。

飲み物で摂取する場合は、牛乳がおすすめです。カルシウム豊富な牛乳であれば1日に摂取するおすすめの量は、およそ200mlです。200mlの中にカルシウムが約230mg含まれているので、コップ1杯ほどの量で十分ということになります。「腰痛に効くおすすめの飲み物とは?」でも説明していますので、ぜひご覧ください。

ビタミンDは、鮭やヒラメなどの魚介類、きくらげに多く含まれます。飲み物で含まれているものは少ないので、魚介類などから摂取するようにしましょう。「腰痛と関わるビタミンを摂取できる食材とは!?」でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

対策その2|運動

更年期障害に伴う腰痛の改善において、運動も効果的な手段の一つです。

全身運動であるウォーキングやジョギングを行うことで、普段使わない腹筋やお尻の筋肉も働かせることができます。運動によって代謝機能を高め、肥満解消を図るとともに、姿勢を整えるための一助にもなります。

ちょっと視点は変わりますが、ある研究では、中強度の有酸素運動30分を週3回16週することによって更年期症状の一つであるホットフラッシュが軽減されたとの報告もあります(参考文献①)。

また、前項でもおすすめしたビタミンDは、日光に当たるだけでも体内で作り出されます。そのため、外に出て、太陽の光を浴びながら15〜20分のウォーキングやジョギング、ラジオ体操などの運動を実施することをおすすめします。

対策その3|漢方

残念ながら、現時点で漢方薬が更年期障害に効果的であるという信頼できる質の高いエビデンスはなく、更年期特有の腰痛に対して漢方が効果的とは言えません(参考文献②)。

ただし、更年期症状に関係なく、一般的な腰痛においては、効果があるかもしれないとされる漢方薬がいくつか存在します(ライオンゴロシ、セイヨウシロヤナギ、キダチトウガラシ)。漢方薬は、自然のものを用いて作られているため、一般的にカラダへの負担も少ないことから、医師と相談の上で検討してみるのもよいかもしれません。(詳しくは「漢方薬は腰痛に効果的か」をご覧ください。)

まとめ

更年期障害により現れる症状は、50歳前後になれば多くの女性が経験するものです。腰痛を伴う場合は、なにが原因で痛くなっているのかをつきとめて正しい対策を実施することが大切です。

更年期障害の症状や腰痛を和らげるために、運動や食事など、健康によい生活を心がけましょう。

(諸麥 友博)


▼ 参考文献①
タイトル:Exercise training reduces the acute physiological severity of post-menopausal hot flushes.
雑誌名:J Physiol. 2016 Feb 1;594(3):657-67.
[PMID: 26676059]
▼ 参考文献②
タイトル:Chinese herbal medicine for menopausal symptoms.
雑誌名:Cochrane Database Syst Rev. 2016 Mar 15;3:CD009023.
[PMID: 26976671]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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