妊娠中の女性の腰の骨のカーブと姿勢の特徴

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター鈴木祐介 / 理学療法士 / 修士号

妊婦の腰のカーブと姿勢

(c) 大和 吉沢 - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 妊娠中の女性は、お腹が大きくなるにつれて、背中の姿勢が変化していく。
2. 妊娠中の女性は、腰の骨の後ろへのカーブと仙骨の後ろへの傾きが大きくなっていた。
3. 妊娠中の女性は、腰の負担を減らすためには、腰周りやお腹周りの筋力をつけることが大切かもしれない。

妊娠中の女性は、お腹の胎児が大きくなるにつれて、身体の重心の位置が変わり、それに伴って姿勢も変わっていきます。

姿勢と腰痛には密接な関係がありますが、この関係は、姿勢が急激に変わる妊娠期においては、特に看過できない問題となります。

今回は妊娠中の女性の背骨のカーブと姿勢の変化にはどのような特徴があるかについて調査を行った研究についてご紹介します。

妊娠中の女性の背骨のカーブと姿勢変化の特徴とは?

この研究では、妊娠17〜34週の女性15名と、妊娠中でない女性10名を対象としました。
対象者にはそれぞれ、以下の方法で姿勢計測・解析が行われました。


■ 立位姿勢中の、背中から足までの姿勢を横からカメラで撮影し、その姿勢をコンピューターで解析
■ 背骨のカーブの度合いを、特殊な機械を用いて計測

そして、対象者における、姿勢の変化、背骨のカーブの変化を比較し、妊娠中の女性と妊娠中でない女性の姿勢の特徴を解析しました。

妊娠中の女性は、腰椎の後方へのカーブと仙骨の後方への傾きが大きくなっていた

調査の結果、妊娠中の女性は、妊娠中でない女性と比較し、腰の骨の後ろへのカーブと仙骨の後ろへの傾きが大きくなっている傾向が明らかになりました。

今回の妊婦の姿勢変化の原因は以下のように考えられます。妊娠によりお腹が大きくなると、身体の重心が前方に移動していきます。この前方への重心移動を、腰の骨(下図の黄色の部分)の後ろへのカーブと、仙骨(下図の白色の部分)の後ろへの傾きを大きくすることで、重心を身体の中心に戻したと考えられます。

背骨のカーブの図

(c) 7activestudio – Fotolia.com

姿勢の変化の腰への影響とは?

それでは今回の結果をどう解釈したら良いのでしょうか?通常の人の背骨は上の図のようにS字様のカーブを描いています。このS字様のカーブを作ることによって、背骨にかかる負担を分散しています。

しかし、今回の結果から、妊婦の方は、このS字様のカーブのオレンジと白色の部分のカーブの程度が減少していました。これにより背筋や腰のクッションである椎間板、腰の靭帯にストレスがかかり、腰を痛めてしまう可能性があります。

妊娠中の姿勢変化による、腰へのストレスに対して出来ること

今回の研究は、比較的少人数でかつ、腰痛などを抱えていない妊娠中の女性を対象とした研究なので、この結果が直接、妊娠中の女性における腰痛の対策につながるわけではありません。

しかし、腰の骨が後ろへカーブし、仙骨が後ろへ傾いているということは、正常な姿勢と比べ、より腰に負担がかかりやすい状態であると考えられます。

妊娠中の姿勢変化による、腰の関節の負担を減らすための対策として、腰周りやお腹周りの筋肉を使って、姿勢をコントロールすることが有効かもしれません。

(鈴木祐介)


▼ 参考文献
タイトル:Spinal curvature and characteristics of postural change in pregnant women.
雑誌名:Acta Obstet Gynecol Scand. 2012 Jul;91(7):856-61.
[PMID:22429046]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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