痺れのある慢性腰痛の予後に関わる要素とは?!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター鈴木祐介 / 理学療法士 / 修士号

神経根症の予後に関わる要素

(c) Sebastian Kaulitzki- Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 神経根が圧迫・刺激されることで、圧迫された側に痛みやしびれを生じる症状を、神経根症と呼ぶ。
2. 神経根症の経過の良し悪しは、発症時の様々な特徴に左右されていた。
3. 腰痛に対して悲観的にならずに、前向きな気持ちで腰痛と向き合うことが大切。

神経根症”という症状をご存知でしょうか?

これは、年齢を重ねることにより腰の骨が変形(椎間板の膨隆、骨のトゲの形成など)したり、腰の椎間板ヘルニアやすべり症などで、脊髄(せきずい)から分かれていく「神経根」という部分が圧迫・刺激されることで、圧迫された側の神経が支配している領域に、痛みやしびれが生じる症状です。

基本的には中高年に生じやすい症状ですが、スポーツや肉体労働など、腰を酷使している方の中には、比較的若い年齢から発症する方もいます。

それでは、神経根症により、片側の腰だけに痛みや痺れが出た場合、その症状の経過に特徴はあるのでしょうか?

今回ご紹介する研究では、発症後の神経根症の経過の良し悪しは、発症時の様々な特徴に左右される事が明らかとなりました。

発症後の神経根症の経過に影響する、発症時の要因とは?

この研究では、神経根症を発症し、どちらか一方に痛みやしびれを感じている患者116名を対象としました。

まず対象者には以下の項目を、自記式質問紙と実際のクリニカルテストにて調査しました。

自記式質問紙


■ 年齢や身長、体重、教育レベル、仕事の種類などの個人に関する情報
■ 痛みや痺れの有無やその強さ、持続期間、痛みや痺れによる日常生活の障害の有無など、痛みや痺れに関する情報
■ 腰痛に対する悲観的な考えの有無

クリニカルテスト


■ 脚の筋力
■ 膝蓋腱反射、アキレス腱反射などの深部腱反射
→深部腱反射とは、筋肉の腱(一般にスジ)を叩くことで、反射的に筋肉が収縮する現象。その反射の強さで、神経障害の程度が判定できる。

さらに、そこから52週後に、痛みや痺れに関する情報のみを再調査し、神経根症の発症後の症状の変化には、発症時のどの特徴が関与しているのかを調査しました。

神経根症の経過の悪さに影響した要因とは?

結果より、神経根症の経過の悪さには、発症時に高齢であることや、膝蓋腱反射・アキレス腱反射が減弱していることが関わっていました。

神経根症の経過の良さに影響した要因とは?

また、神経根症の経過の良さには、発症時に若年であることや、フルタイムで働いていること腰痛に対して悲観的な考え方を持っていないことが、要因として抽出されました。

神経根症の経過に影響する特徴から考えられること

今回の研究で抽出された神経根症の経過に影響する発症時の特徴として、発症時の年齢やクリニカルテストなどは、なかなか個人の対策に反映させることは難しいかもしれません。

しかし、神経根症の良好な経過に、腰痛に対する悲観的な考えを持っていないことが関与しているという結果に関しては、腰痛に対する考え方を変えていくことで対策することが可能です。

前向きな気持ちを持つことは”腰痛改善”に効果的?“の記事でもご紹介したように、腰痛に対するネガティブな考え方は、神経根症の経過のみではなく、腰痛に関する様々な要素に悪影響を及ぼします。

“病は気から”という言葉が存在するように、たとえ腰痛を抱えてしまっても、自分の腰痛は良くなるんだという前向きな気持ちを持つことが大切だと思われます。

(鈴木祐介)


▼ 参考文献
タイトル:Outcome prediction in chronic unilateral lumbar : prospective cohort study.
雑誌名:BMC Musculoskelet Disord. 2015 Feb 7;16:17
[PMID:25887469]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
  • *本サービスにおける医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではございません。そのため、本サービス上の情報や利用に関して発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。なお、診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関にて受診いただきますことをおすすめいたします。

あなたにあった腰痛予防があります!

腰痛予防マニュアル
無料ダウンロード 

腰痛といっても、人によってその原因も違えば、対策も変わってきます。その中でも特に職業は腰痛と密接な関係があります。そのため、職業ごとに適した対策をしていくことが重要となります。

  • デスクワークが多い人
  • 肉体労働が多い人
  • 立ち仕事が多い人
  • 運転をすることが多い人

それぞれの職業に合った対策を凝縮した『腰痛予防マニュアル』を早速ダウンロードして、今日から腰痛対策をはじめてみませんか?

メールアドレス



SNSで購読

こちらも読まれています