腰痛患者の悪性腫瘍や骨折を予測するレッドフラッグ徴候

鈴木祐介 / 理学療法士 / 修士号

レッドフラッグの腰痛のスクリーニング(悪性腫瘍や骨折)

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【記事のポイント】
1. 腰痛には重篤な脊椎の病気を診断するための危険信号(レッドフラッグ徴候)が存在する。
2. いくつかのレッドフラッグ徴候に当てはまる場合、腰痛の原因が骨折や悪性腫瘍の可能性がある。
3. 自分の腰痛が複数のレッドフラッグ徴候に当てはまりそうだと感じたら、近隣の病院を受診することがオススメ。

日本人の80%が一度は経験すると言われている腰痛ですが、その大半は危険性の高いものではありません。しかし、割合としては少ないですが、腰痛の中には悪性腫瘍や骨折など、危険な病気が原因となって起きているものもあります

そこで、腰痛をお持ちの方が病院を受診された際、医師の診断において最も重要なことは、重症な脊椎の病気(悪性腫瘍や骨折など)を見逃さないことです。

その危険信号(レッドフラッグ徴候)として確認される項目は、


・発症年齢 <20歳 または >55歳
・特に決まった時間や動きに関係の無い腰痛
・胸部痛
・癌(悪性腫瘍)、ステロイド治療、HIV感染の既往
・栄養不良
・原因の分からない体重減少
・広範囲の足のしびれや痛み
・発熱

などが挙げられています。

病院の医師はこれらのレッドフラッグ徴候の有無を注意深く問診し、診断しているのです。

今回は、これらのレッドフラッグ徴候が存在することで、悪性腫瘍や骨折をどの程度正確に診断出来るのかをまとめた最新の知見をご紹介します。

悪性腫瘍や骨折とレッドフラッグ徴候との関係性

この研究では、悪性腫瘍や骨折とレッドフラッグ徴候との関係性を調査した医学論文を検索し、質の高い論文のみをまとめることで、レッドフラッグ徴候が存在することで悪性腫瘍や骨折をどの程度正確に診断出来るのかを調査しました。

調査の結果、一定の基準を満たした質の高い研究14本がまとめられました。

骨折に関与するレッドフラッグ徴候

調査の結果、骨折に関与するレッドフラッグ徴候として、下記の4つがあげられました。また、それらレッドフラッグ徴候が存在する場合の骨折の検査後確率(ある集団のうち、検査によってどれだけ疾患を持っている者が発見される可能性があるかを示す確率)も算出されました。

    • 高齢であること:9%
    • 長期間のステロイド薬の服用:33%
    • 重症の外傷の有無:11%
    • 打撲や擦り傷の有無:62%

さらに、発症年齢が高齢であることや重症の外傷が有ること、長期間ステロイドを服用していることなど、複数のレッドフラッグ徴候に該当する場合は、脊椎骨折の検査後確率が増加することも認められました(検査後確率:90%)。

悪性腫瘍に関与するレッドフラッグ徴候

一方、悪性腫瘍に関与するレッドフラッグ徴候として、悪性腫瘍の既往があることが抽出され、その場合の悪性腫瘍の検査後確率は33%と算出されました。

もしレッドフラッグ徴候に当てはまりそうな場合は病院の受診を

腰痛は多くの方が経験するもの疾患であり、前述のように多くの腰痛は危険性の高いものではありません。そのため、日常生活の支障が及ぶような痛みでない限りは病院を受診するということは少ないかもしれません。

しかし、ただの腰痛であっても、その裏には悪性腫瘍や骨折などの重大な疾患が潜んでいる可能性があることも認識しておくことも大切です。

もし、上記レッドフラッグ徴候に複数当てはまりそうな場合には、一度近隣の整形外科病院を受診してみてはいかがでしょうか。

(鈴木祐介)


▼ 参考文献
タイトル:Red flags to screen for malignancy and fracture in patients with low back pain: systematic review.
雑誌名:BMJ. 2013 Dec 11;347:f7095.
[PMID: 24335669]

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