腰痛になったら安静にすべきか

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター福谷直人 / 理学療法士 / 博士号(保健学) / 健康経営アドバイザー / 作業管理士 / VDT作業労働衛生教育インストラクター

ソファーで腰痛に悩む男性

(c) Andrey Popov - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 腰痛は特異的腰痛と非特異的腰痛の2つに分類される.
2. 腰痛になっても普段の活動性を維持した方が良い.
3. 痛みの強い場合は、痛み止めなどで適切な対処をした上で活動性を維持していきましょう.

腰痛になり、医師に受診すると『しばらく安静にして、様子をみましょう』と言われるイメージは、どなたでもできるのではないでしょうか。
医学は常に進歩しており、今の常識は、将来は非常識になっているかもしれません。
それと同様で、過去に常識と思われてきた内容も、今では実は否定されているということも少なくありません。
最近、腰痛に安静は大敵だ!!という記事も多くありますが、科学的にはどのように言われているのでしょうか。

腰痛は2タイプに分かれる

腰痛は一概に一つにはできず、大きく分けると、画像所見などで原因の特定が可能な特異的腰痛と、特定が困難な非特異的腰痛に分類されます。
腰痛の対策に関しても、この特異的腰痛と非特異的腰痛では、異なるためまず自身がどちらに該当するのかが重要です。

特異的腰痛の診断には、医師にかからなければいけません。一方で、非特異的腰痛に関しては、診断が確定することは難しいですが、一つの目安として神経症状(お尻や足の痛みや痺れ)を伴わないことが一つの条件となります。また医師を受診して、特異的腰痛であることを否定されれば、自動的に非特異的腰痛である可能性が高いということになります。

腰痛でも痛みに応じて活動性を維持した方が良い

これまで、ベッド上安静は腰痛に対する治療手段として広く行われていましたが、近年では、『安静の効果は低い』とするエビデンスレベルの高い報告が多く出てきています。
近年の研究報告において、下記の結論が示されています。

■男女問わず、16〜80歳の急性腰痛(発症から4週間未満、または慢性腰痛が悪化してから4週間未満のもの)を対象にした場合、非特異的腰痛に対しては、ベッド上安静が痛みに応じた活動性維持よりも、痛みの程度と身体機能の面でより劣っている(高いエビデンス)。
■しかし、これに対して、神経症状(座骨神経痛)を伴う腰痛の場合は、ベッド上安静と痛みに応じた活動性維持の間には、痛みの程度および身体機能の面で差がほとんどない、または全くない(中等度のエビデンス)。

普段の活動性を維持することで休職期間が短くなる

職業に起因する腰痛(職業性腰痛)に関しては、以下の項目に高いエビデンスが認められています。

■急性の痛みがあっても、なるべく普段通りの活動性を維持することは、より早い痛みの改善につながり、休業期間の短縮と、その後の再発にも効果的である。
■休業する期間が長ければ長いほど、職場復帰の可能性は低くなる。

さらに医師や理学療法士などから構成された専門家チーム(フィラデルフィア委員会)は、『急性腰痛の場合、通常の日常生活を継続することは、ベッド上安静に比較して痛みの軽減・休業期間の短縮・身体機能の改善でより優れている』と結論付けています。

急に腰痛になったら

ぎっくり腰は”魔女の一撃”とも表現されるほど、痛みが強いことが多く、生活上の活動性も制限されます。さらに、痛みへの恐怖や不安感から、極力動かずに安静でいようとすることも多いかもしれません。このようにあまりにも痛みが強い場合には、まずは医師に受診し、適切な処置(注射や痛み止めの薬など)で痛みを抑さえたうえで、できる範囲で日常生活レベルの活動をしていくようにしましょう。

”安静はダメ”ということでは一切なく、”痛みに応じて活動性を維持すること”が最重要なのです。痛みが強い時期は、医師に相談し、痛みをコントロールしながら、日々の活動性を維持していくことが最良の選択かもしれません。

(福谷直人)


▼参考文献
The updated cochrane review of bed rest for low back pain and sciatica.
Spine (Phila Pa 1976). 2005 Mar 1;30(5):542-6.
[PMID:15738787]

Occupational health guidelines for the management of low back pain at work: evidence review.
Occup Med (Lond). 2001 Mar;51(2):124-35.
[PMID:11307688]

Philadelphia Panel evidence-based clinical practice guidelines on selected rehabilitation interventions for low back pain.
Phys Ther. 2001 Oct;81(10):1641-74.
[PMID:11589642]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
  • *本サービスにおける医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではございません。そのため、本サービス上の情報や利用に関して発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。なお、診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関にて受診いただきますことをおすすめいたします。

あなたにあった腰痛予防があります!

腰痛予防マニュアル
無料ダウンロード 

腰痛といっても、人によってその原因も違えば、対策も変わってきます。その中でも特に職業は腰痛と密接な関係があります。そのため、職業ごとに適した対策をしていくことが重要となります。

  • デスクワークが多い人
  • 肉体労働が多い人
  • 立ち仕事が多い人
  • 運転をすることが多い人

それぞれの職業に合った対策を凝縮した『腰痛予防マニュアル』を早速ダウンロードして、今日から腰痛対策をはじめてみませんか?

メールアドレス



SNSで購読

こちらも読まれています