睡眠障害(不眠症)が慢性腰痛の改善を遅らせる?!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター山下真司 / 理学療法士 / 修士号(医学)

睡眠障害と慢性腰痛の関係性

(c) naka - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 睡眠障害は、ストレスや疲労を蓄積するなど、心身への様々な悪影響がある。
2. 睡眠障害が慢性腰痛の回復に影響している可能性が示された。
3. 慢性腰痛のある人は、睡眠を見直してみるのも一つかもしれない。

皆さんは睡眠にトラブルを抱えていませんか?睡眠トラブルは、ストレスや疲労の蓄積など、心身への様々な悪影響があると言われています。

特に、終電近くまで残業を余儀なくされている人や夜勤をしていて生活リズムが乱れやすい人にとっては、睡眠のトラブルは身近な悩みかもしれません。

今回ご紹介する研究では、睡眠障害が慢性腰痛の改善を遅らせる可能性について、調査されました。

慢性腰痛患者の6ヶ月後を調査

今回の研究では、慢性疼痛クリニックに通院していた682名の慢性腰痛患者が対象となりました。

調査開始時に、睡眠の質を質問紙で評価しました。この質問紙は、睡眠時間、睡眠効率、睡眠障害の有無、睡眠薬使用の有無といった7つの項目をそれぞれ0~3点で示し、合計で5点以上だった対象者を「睡眠障害あり」としました。

また、調査開始時と6ヶ月時点で、痛みの強さ、不安、抑うつなども調査しました。

慢性腰痛の回復は調査開始時と比較して、6ヶ月後に、完全に回復した、以前よりすごく良い、以前より良い、変わっていない、さらに悪い、非常に悪いの6段階で確認しました

その上で、完全に回復した、以前よりすごく良い、以前より良いと回答した対象者を「腰痛回復群」、変わっていない、さらに悪い、非常に悪いと回答した対象者を「未回復群」とし、その後の解析を行いました。

睡眠障害を改善すれば慢性腰痛も改善する?!

調査の結果、以下の事が明らかとなりました。


■ 調査開始時に睡眠障害が無く、6ヶ月後に睡眠障害が生じた場合:慢性腰痛の回復が遅れる
■ 調査開始時に睡眠障害があり、6ヶ月後も睡眠障害が持続している場合:慢性腰痛の回復が遅れる
■ 調査開始時に睡眠障害があったが、6ヶ月後には改善した:慢性腰痛の回復が見込める

つまり、睡眠障害を生じると、慢性腰痛の回復が遅れ、逆に睡眠障害が改善すると、慢性腰痛も改善されるという結果が示されました。

睡眠はなぜ慢性腰痛に影響するのか?

睡眠が腰痛に及ぼす影響は複雑で、未だ解明されていません。現在のところ、睡眠、疲労、心理面(うつ病、不安)との関係があるのではないかと言われています。

睡眠を改善して、慢性腰痛も改善しよう!

過去にご紹介した報告では、急性腰痛が睡眠障害と関連していましたが、今回の結果から、睡眠障害は慢性腰痛とも関連する可能性が示されました。

睡眠障害には、以下のように様々なタイプがあります。


■ 寝ようと思ってもなかなか寝つけず、1時間以上も布団の中で寝返りをうちながら時間がどんどん過ぎてしまう(入眠困難)
■ 2~3時間おきに目が覚めてしまい連続して眠ることが出来ない(中途覚醒)
■ うとうとと夢を見てばかりで、寝ているのかどうか分からず熟睡感がない(熟睡困難)
■ 寝つけるものの2~3時間しか眠れず、早朝に目が覚めてしまう(早朝覚醒)

みなさんは、これらの中から当てはまるタイプがありましたか?

今回の結果から、慢性腰痛に加え、睡眠にもトラブルを抱えているという方は、睡眠を改善することで、慢性腰痛を改善できるかもしれません。

まずは十分な睡眠時間の確保、寝る前のスマホ利用を控える、マインドフルネス(瞑想)、自分に合った寝具選び、適度な運動、アロマなどで、睡眠の改善を図ってみてはいかがでしょうか。

それでも中々治らないという方は、睡眠クリニックや睡眠外来を受診してみるのも一つかもしれません。

(山下真司)


▼  参考文献
タイトル:Persistent and developing sleep problems: a prospective cohort study on the relationship to poor outcome in patients attending a pain clinic with chronic low back pain.
雑誌名:Pain Pract. 2017 Apr 18.
[PMID: 28423222]

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