急性腰痛に対する脊椎マニピュレーションの効果 ー最新の知見からー

坪井大和 / 理学療法士 / 修士号(保健学)/ 日本学術振興会 特別研究員 / メディア編集長

急性腰痛に対する脊椎マニピュレーションの効果

(c) Monet - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 脊椎マニピュレーションは腰痛にある程度の効果が期待できた。
2. 治療に伴う健康被害として、重大な被害は報告されなかった。
3. 急性腰痛治療の一つとして効果が期待できるが、不適応の腰痛もあるので、注意が必要である。

発症してまもない急性腰痛に対する治療には様々ありますが、その一つに脊椎マニピュレーション(脊椎とはいわゆる背骨をさします)という治療手技があります。脊椎マニピュレーションとは簡単に言えば、徒手的に関節の位置を整えることで、動きを改善する治療手技の一つです。

しかし、急性腰痛に対して、この脊椎マニピュレーションが効果があるのか、あるとしたら効果はどの程度なのか、ネガティブな結果を引き起こすリスクはないのか、という部分は明らかになっていませんでした。

そこで今回は、有名医学ジャーナルJAMAにて、これまで報告されてきた研究結果をまとめた論文が掲載されましたので、その結果をご紹介します。

方法

今回の研究では、2011年1月〜2017年の2月の間に公開された、脊椎マニピュレーションの急性腰痛(発症後6週以内)への効果を検討した研究が検索されました。そのうち、ある一定の基準を満たした質の高い研究(ランダム化比較試験)のみがまとめられました。

効果の指標として、痛みの程度、日常生活の制限のレベルが用いられました。合わせて、脊椎マニピュレーションにより健康被害(有害事象)が起きていないかが検討されました。

なお、脊椎マニピュレーションの効果は、偽の脊椎マニピュレーションや通常の治療をした時と比較されました。

脊椎マニピュレーションによって急性腰痛が改善した!

最終的に26の研究結果についてまとめられました。

そのうち、15の研究(1711人)の結果から、脊椎マニピュレーションをすることによって、痛みが改善したと報告されました(中等度のエビデンスレベル)。

また、12の研究(1381人)の結果から、脊椎マニピュレーションをすることによって、日常生活の制限レベルに改善がみられたと報告されました(中等度のエビデンスレベル)。

なお、過去の研究との比較から、痛みの改善度合いの大きさは、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)と同程度の効果であったことがわかりました。

脊椎マニピュレーションに伴う健康被害はあるのか?

今回対象となった研究において、深刻な健康被害は報告されませんでした

しかし、50-67%の対象者において、痛みの増悪、筋肉の硬直、頭痛といった軽微な健康被害が報告されました。

脊椎マニピュレーションも一つの選択肢

今回の研究結果から、脊椎マニピュレーションは急性腰痛に対して、ある程度の効果は期待できることが明らかとなりました。

日本では脊椎マニピュレーションは病院や整形外科クリニックなどで理学療法士、治療院で柔道整復師、カイロプラクターなどの専門職によって実施されます。

急性腰痛になった際の、一つの対策として脊椎マニピュレーションが候補にあっても良いかもしれません。しかし、骨折や腰椎すべり症など、脊椎マニピュレーションの治療を受けるべきではない方も中にはいますので、専門職の方と十分に相談を行なった上で治療を受けるといいでしょう

(坪井 大和)


▼ 参考文献
タイトル:Association of Spinal Manipulative Therapy With Clinical Benefit and Harm for Acute Low Back Pain: Systematic Review and Meta-analysis.
雑誌名:JAMA. 2017 Apr 11;317(14):1451-1460
[PMID: 28399251]

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