腰のすべり症であのリスクが2倍に!?

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター坪井大和 / 理学療法士 / 博士号(保健学)/ 日本学術振興会 特別研究員 / メディア編集長

すべり症と腰痛の関連

(c) Syda Productions - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 腰のすべり症があると、腰部脊柱管狭窄症になるリスクが2倍になる.
2. 腰のすべり症があっても、腰痛がない場合が多い.
3. すべり症がある方は、症状がない段階からでも対策をしておくことが推奨される.

腰の”すべり症”を聞いたことはあるでしょうか。背骨は複数の骨が連結した構造をしていますが、すべり症とは背骨のある部分で連結がずれてしまい、骨の位置が前方に滑ったような状態をさします。すべり症は、骨の位置が滑って変わることで、神経や関節に悪影響を及ぼすことがあります(下図の右側)。

すべり症の病態

(c) vonuk – Fotolia.com

それでは、この”すべり症”になると、具体的に、どのような症状が出るのでしょうか。
和歌山県立医科大学によって行われた最新の研究によって、すべり症がどのような症状と関連するのかが検討されました。

すべり症と腰痛等との関連を調査

今回の研究には、40-93歳の平均年齢67.3歳の938人(男性:308人, 女性630人)が参加しました。
腰のすべり症は画像診断を用いて、5%以上のずれと定義されました。
また、腰部脊柱管狭窄症(様々な背骨や椎間板などの異常により神経が圧迫され、足のしびれなどを生じる病気)という疾患は医師による診察(両足の症状)およびMRIを用いて診断されました。また、合わせて腰痛の有無も聴取されました。
聴取したデータをもとに、すべり症と”腰部脊柱管狭窄症”および”腰痛”の関連が検討されました。
また、すべり症の部位数と腰部脊柱管狭窄症の関連も検討されました。

すべり症の症状とは

参加者の15.8%(男性:13.0%, 女性:17.1%)にすべり症があることがわかりました。
さらに、すべり症がある人は”腰部脊柱管狭窄症”を有している可能性が2倍高いことがわかりました。
しかし、すべり症があってもなくても、腰痛を有している確率に違いはありませんでした

すべり症の数

また、すべり症の数(腰の背骨のうち、いくつの骨が滑っているか)と腰部脊柱管狭窄症の有無に関連は認められませんでした。

腰部脊柱管狭窄症へと悪化させないために

今回の研究から、すべり症は腰部脊柱管狭窄症とは関連していても、腰痛との関連が少ない可能性が示されました。
本研究結果のように、すべり症は腰痛という明らかな症状を認めないことも多いため、自覚がしにくい病気と言えます。
しかし、症状がないが故に、すべり症を放置したままにしてしまうと、将来的に、足のしびれや筋力低下を引き起こす腰部脊柱管狭窄症へと発展してしまう可能性も考えられます。
すべり症は日常生活での姿勢の改善や腰回りの筋力強化、股関節のストレッチなどにより悪化を予防できる可能性がありますので、早めからの重症化予防としての対策を行うことをオススメします。
現時点で足やお尻付近にしびれがあるという方は、まずは最寄りの医療機関の専門医に相談することをオススメします。

(坪井大和)


▼参考文献
タイトル:Association of Lumbar Spondylolisthesis with Low Back Pain and Symptomatic Lumbar Spinal Stenosis in a Population-based Cohort: The Wakayama Spine Study.
雑誌名:Spine (Phila Pa 1976). 2016 Oct 24.
[PMID: 27779607]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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