立ち仕事に伴う腰痛対策に下り斜面が効果的?!

山下真司 / 理学療法士 / 修士号(医学)

立ち仕事の腰痛対策に下り斜面

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【記事のポイント】
1. 斜面台に立つことで、腰痛症状の軽減につながる可能性が示された。
2. 一方で、足台を使用すると腰痛の軽減につながる可能性も示されている。
3. 症状や状況に応じてツールを使い分けてみよう。

立ち仕事をしていると、腰が痛くなるという話を多く耳にします。その対策として、姿勢を変えたり、ストレッチをしてみたり、いろいろと工夫されている方も多いのではないでしょうか。そんな中、今回は立ち仕事をしているときに腰の負担を軽くする方法として、斜面台を使った手段をご紹介します。

75分間の姿勢観察を2回実施

対象者は、過去に腰痛になったことがない18-35歳までの男女17名としました。
背骨や腰、骨盤にマーカーを取り付け、三次元動作解析を用いて75分間姿勢を観察しました。姿勢は下記の2つを評価しました。なお、この2つの姿勢は別日に評価し、2つの姿勢の評価は2日以上の間隔が空けられました。


■ 平地に立った姿勢
■ 斜面台に両足を乗せた姿勢(傾斜16度、かかと側が上)

また、対象者は評価中、パソコンのタイピングの課題を行いました。その際、テーブルに腕を着けて体重を逃がさないこと、および足を交差させないことを注意してもらいました。
腰痛の評価は、100mmの線を表示し、視覚的に評価しました。線の左端を「痛みなし」、線の右端を「耐え難い痛み」としました。痛みの評価は7.5分ごとに行いました。

斜面台を使うと腰痛が軽減!

対象者17名のうち、9名の腰痛症状が平地姿勢で確認されました。
しかし、この9名が斜面台に立つと、平地姿勢と比較して痛みの増加が緩やかでした。
また、平地姿勢で腰痛症状が確認された9名が斜面台に立つと、痛みの最大値が低くなることが分かりました。

斜面台を使うことによる姿勢への影響

三次元動作解析を使用した結果、斜面台の姿勢だと股関節の屈曲角度(ももを上げる方向)が大きくなり、重心がやや後方に偏移することが明らかとなりました。

筆者らは三次元解析の結果から、普段の姿勢と異なる姿勢を取ることで、姿勢の矯正を促しているかもしれないと述べています。また、股関節の屈曲角度が増大したことにより、お尻の筋肉を効率よく使用することができるため、腰への過剰なストレスを軽減できるかもしれません。

症状や状況に合わせて使い分けを

今回の結果では、平地姿勢で腰痛症状がある人が斜面台に立つと、腰痛症状が軽減する可能性が示されました。

しかしながら、過去に紹介した「立ち仕事による腰の負担を減らすためには足台を活用しよう!」では同じような姿勢での腰痛に対する影響を検討していますが、その効果は得られませんでした。結果に相違があった理由として、どちらの研究も対象者の人数が少なかったことなど考えられます。そのため、確固たる結論をこの研究だけで述べることは難しく、さらなる研究の蓄積が必要です。

実際に、スロープなどの斜面を活用したり、足台を使用する際は、一度試して、症状が軽くなるかを確認してから、取り入れることをお勧めします。

(山下真司)


▼ 参考文献
タイトル:Standing on a declining surface reduces transient prolonged standing induced low back pain development.
雑誌名:Appl Ergon. 2016 Sep;56:76-83.
[PMID: 27184314]

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