腰痛について「考えない」は逆効果!思考の抑制は痛みを増加させる!

思考の抑制と痛みの関係

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【記事のポイント】
1. 痛みについて考えないようにすると、痛みが強く感じられる。
2. 痛みについて考えないようにすると、痛みについて考える頻度が多くなる。
3. まずは、自分が紛らわそうとしている考えや気持ちの存在に気づくことから。

「痛みについて考えないようにしよう」
そんなふうに、腰痛や腰痛への不安を無理に紛らわそうとする方も多いのではないでしょうか。

痛みについて考えないようにすると、痛みに対する不安は和らぐかもしれません(過去記事:「腰の痛みをコントロールする簡単な方法とは?」

しかし、そうすることで痛み痛みについて考える頻度は減少するのでしょうか?
今回は、痛みについて考えないようにすることで、痛みや痛みに関する考えの減少に繋がるかどうかを検討した研究をご紹介します。

痛みに関する考えや気持ちを抑制することの効果は?

この研究では、健常な大学生70名(女性40名、男性30名)に対し、2~4℃の氷水に1分間片腕を浸して痛みを感じてもらう実験を実施しました。

なお、このうち36名は、「これ以上痛みに耐えられない」「痛みはもっとひどくなる」など、痛みについて悲観的なことを頻繁に考えてしまう傾向にある人、残り34名はそうした傾向がない人でした。

各傾向を持つ参加者は約半数ずつ、以下のいずれかの条件に割り振られました。
そして、実験者から、のちに氷水に手を浸けることを聞かされたのち、実験までの9分間を次のように過ごすよう指示されました。


条件1:“考えない”条件
この条件の参加者は、この後氷水に手を浸すことを考えないよう指示されました。

 
条件2:“何でも考えてOK”条件
この条件の参加者は、何でも自由に考えて過ごすよう指示されました。

 

こうした指示の後、両条件の参加者は、氷水に手を漬けるまでの9分間、頭に浮かんだことをすべてノートに記述しました。そして、その後1分間氷水に手を浸し、20秒ごとに痛みの強さを11段階で評価しました。

この研究ではまず、条件によって、参加者が感じる痛みの強さに違いがあるのかどうかを調査しました。
また、参加者がノートに綴った内容をもとに、条件の違いと、氷水に手を浸す前に痛みについて考えた頻度、痛みの強さの関係についても調査しました。

考えないようにすると、痛みが強くなる

研究の結果、氷水に手を浸して40秒と60秒の時点では、両条件の参加者が報告した痛みの強さに差は見られませんでした。

しかし、20秒の時点においては、条件1の“考えない”条件の参加者のほうが、条件2の“何でも考えてOK”条件の参加者に比べ、痛みをより強く感じることが明らかとなりました。

考えないようにすると、さらに痛みについて考えるようになる

また、参加者が綴ったノートの内容から、痛みについて悲観的なことを頻繁に考えてしまう傾向がある参加者では、条件1の“考えない”条件のほうが、これから自分が経験するであろう痛みについてより頻繁に考えてしまうことが明らかとなりました。

痛みについて考えない → 痛みについてより考えてしまう → より痛く感じる

今回の実験では、条件による違いが痛みの強さと関連していました。しかし、この条件の違いと痛みの強さの関連をみる際に、痛みについて考えた頻度を考慮した上で解析を行うと、条件の違いと痛みの関連はなくなってしまいました。

この結果は、条件1のように痛みについて”考えない”ようにすることが、痛みについて考える頻度を増やし、その結果、感じる痛みの程度を強めてしまう、という経路がある可能性を示しています。

まずは抑えている考えや気持ちに気づくことから

今回の研究から、痛みについて考えないようにするという策は、痛みや痛みに関する考えの減少には、かえって逆効果である可能性が示されました。

ちなみに、このように“考えないようにすると反対に考えてしまう”現象は、うつ病などの気分障害や不安障害といった精神障害でも見られ、「思考抑制のリバウンド効果」と呼ばれています。

まずは、どんな考えや気持ちも無理に抑えようとせず、痛みや痛みに伴うネガティブな感情にも目を向けてみることが重要と言えそうです。

(坂野朝子)


▼  参考文献
タイトル:Thought suppression, catastrophizing, and pain.
雑誌名:Cogn Ther Res. 1997 Oct;21(5):555-68.
[DOI: https://doi.org/10.1023/A:1021809519002]

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