どのような腰痛に牽引は効果的か

治療院の風景

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【記事のポイント】
1. 腰痛患者全般において、牽引療法が有効である可能性は低い.
2. 坐骨神経痛を伴う場合の牽引療法の効果は、一定した見解は得られていない.
3. 牽引療法は複合的アプローチの一つとして行った方が良い.

腰痛で医療機関を受診すると、腰を引っ張る機械<牽引装置>で引っ張りましょうか。と医師に処方されることも少なくないと思います。昔から、腰痛患者の治療には、この牽引療法が使用されてきましたが、果たしてどのような腰痛のときに有効なのでしょうか。

牽引療法とは

持続的に牽引する(引っ張る)ことによって筋肉の緊張を取除いたり、骨折や脱臼などを整復する治療法のことです。整形外科分野の疾患に広く応用され、特に腰痛症や骨折に対して用いられています。腰痛の牽引療法では、上体を固定しておいて骨盤帯で腰椎に牽引力を働かせることにより、痛みの軽減をはかる骨盤牽引が行われることが多いと思います。

腰痛患者全般に牽引が有効である可能性は低い

腰痛を大きく2つのタイプに分けると、純粋に腰痛だけがある方と、坐骨神経痛というお尻周辺の痛みや痺れ感を伴っている方がいます。この研究では、両者を対象者に含め、腰痛持ち全般に効果があるかどうかを調査した質の高い研究をまとめ、本当に腰痛に牽引療法が効果的かを検証レビューしました。
2206例の腰痛患者に対して牽引が実施された結果、単独療法としての腰の牽引は、プラセボ(ニセの牽引に似せただけの治療法)と比較して、3か月後および12か月後の痛みの程度・身体機能・欠勤などすべての内容に関して、明らかな違いがないことを示す質の高い根拠が存在し、腰痛持ち全般に対する腰の牽引は有効である可能性は低いということが明らかになりました。

坐骨神経痛を伴う腰痛の場合の効果はいまだ不明

一方で、坐骨神経痛を有する腰痛持ちに対象を限定すれば、効果的かもしれないという報告もいくつかあり、まだ効果的か効果が見込みにくいのか、一定の見解は得られていないのが現状で、さらなる調査が必要とされています。

腰の牽引で気を付けることは

慣習的に整形外科では、この腰の牽引を使用することが多いと思います。そして、上記のようなエビデンス・情報は存在しますが、本人が「腰が楽になる」という方も数多くいらっしゃいます。そのような場合は、同じ負荷での牽引は継続しながら、牽引療法”だけ”ではなく、ほかの運動などと組み合わせるとより効果的かもしれません。一方で、腰痛で腰を牽引した後に、違和感を覚えたり、痛みが強くなるタイプの腰痛もあります。そのため、もし牽引後にそのような異常を感じたら、気軽に医療機関のスタッフに相談しましょう。

(福谷直人)


▼参考文献
Traction for low back pain with or without sciatica: an updated systematic review within the framework of the Cochrane collaboration.
Spine (Phila Pa 1976). 2006 Jun 15;31(14):1591-9.
[PMID:16778694]

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