あなたの腰痛、どんな経過を辿る?5年間の研究結果から

野澤 涼 / 理学療法士 / 修士号

5年間腰痛患者を追跡した研究

(c) beeboys - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 腰痛患者の症状の変化を5年間追跡した。
2. 患者によって腰痛の変化に違うパターンが見られた。
3. いくつかの要因が、腰痛の変化のパターンに影響していた。

長引く腰痛。これは多くの人が悩む、日常生活の動きを制限してしまう問題です。

もしあなたが腰痛に悩んでいて、今後自分の腰痛は良くなるのか?このままいつまでも続いてしまうのか?どのようなことに気をつけたら腰痛の軽減につながるか?気になりませんか?

今回、これまでにない5年という長期間にわたって腰痛の変化を調査した研究が発表されましたので、紹介いたします。

腰痛発症から症状を5年間追跡してみると・・・

今回の研究の対象は、2004年9月から2006年4月までに腰痛の発症が原因でイギリスにあるクリニックを受診した18歳から60歳の患者の中で、初診から5年後追跡調査ができ、プラスその後継続した6ヶ月の追加調査のうち、少なくとも続けて3ヶ月フォローアップとして症状に関するアンケートをすることのできた281名を対象としました。

アンケートの内容は、下記の通りです。


【痛みに関する情報】
■ 痛みの強さ
■ 痛みの継続時間
■ 腰痛による日常活動の制限の有無
■ 精神的な状態(痛みに対する受け入れとその対処、不安や落ち込み、動くことへの恐怖心、痛みによる社会活動への参加の制限)


【痛み以外の社会的、職業的な情報】
■ 年齢・性別
■ 教育レベル(16歳までまたはそれ以上の教育を受けている、日本でいう義務教育までの教育かそれ以上)
■ 社会的地位(高い:経営者、専門職、中間管理職、自営業 低い:監督業務、工業系の職業、ほぼまたは完全なルーティンワーク)
■ 仕事の有無(またフルタイムかパートタイムか)

5年後の時点で痛みはどうなっている?

5年にわたる追跡調査とその後最低3ヶ月の追加調査の結果、下記の4つの腰痛の経過のパターンがあることが明らかとなりました。


① 痛みが全く無いまたは時々弱い痛みがある(28%)
② 継続して弱い痛みがある(47%)
③ 継続して強い痛みがある(21%)
④ 痛みの強さが変化する(4%)

5年後の痛みを予測できる要因とは?

さらに今回の研究では、5年後の腰痛のパターンが③や④になりやすい人の初診時における特徴も明らかにしました。


■ 社会的地位が低かった
■ 普段感じる痛みが強かった
■ 痛みによって将来深刻なことが起きるのではないかと考えていた
■ 感情表現が少なかった
■ 痛みが長引くだろうなという感覚があった
■ 痛みに対して自分でコントロールできるという意識が欠如していた
■ 受け身の対処(活動をしない、休んでいる)をしていた

気持ちの持ちようと日々の活動で未来の痛みは変化する!!

今回の結果のように、痛みが長引くんだろうなあと思っている人であったり、日々の生活において、活動を制限したり、まったくしなくなってしまう人ほど、その後の痛みが強いという結果が見られました。

腰痛になったら、不安であれば、医師や医療従事者と相談した上で、毎日の活動量は決めましょう。しかし、ご自身で必要以上に活動を制限しすぎず、痛みがあったとしてもマイナスにとらえすぎないことも、その後の腰痛の回復においては重要です。これれを念頭に置いた上で、日々の生活を過ごすようにしましょう。

回復過程の中で痛みとのつきあい方を知るということも重要な要素になってくると思います。そのような時に『腰痛があるから動けない|動くことへの恐怖心と身体活動の関係』の内容もご覧ください。

(野澤涼)


▼ 参考文献
タイトル:Trajectories and predictors of the long-term course of low back pain: cohort study with 5-year follow-up.
雑誌名:Pain. 2017 Nov 3.
[PMID: 29112007]

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