バレーボールで起きる腰痛の原因と対策とは!?

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター松井洸 / 理学療法士

volley ball

(c) Dziurek - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 腰痛が起こりやすいのは、スパイク、サーブ、レシーブ
2. 大きく分けると、胸椎と股関節の硬さが問題となりやすい
3. 胸椎と股関節が硬いことで、腰椎が動きすぎることで負担となる

この記事をお読みいただいている方々には、学生の頃からの延長でスポーツをされている方、趣味でされている方、健康のために新たに始めた方などいらっしゃると思います。

48ものスポーツにおける腰痛の有症率を調査した研究では、最高で94%もの有症率であり、バレーボールに関しては2ヶ月間の有症率が40%と報告しています。(参考文献①)

有症率に幅はありますが、バレーボールにおいても腰痛は一般的な疾患であると言えます。

今回は、スポーツの中でもバレーボールで起きる腰痛について、その原因と対策について解説します。

バレーボールのプレー中に腰痛が生じやすい動作と原因

バレーボールをされている方に腰痛を感じている方が多いということですが、実際プレーのどんな場面で腰痛が起こる可能性があるのか、腰に負担がかかりやすいのかを知っておく必要があります。

中でも腰に負担のかかりやすいプレーは以下の3つ。

  ■スパイク

  ■サーブ

  ■レシーブ

これらの動作でどのように腰に負担がかかるのか解説します。

スパイクの時に起こる腰痛と原因

スパイクを打つ時、体幹を大きく後方へ反らしながら、スパイクを打つ腕側にひねることで、その反動を利用して強いスパイクを打つことができます。

ここで必要なのは、体幹を支える背骨の中央部分にあたる胸椎(きょうつい)が十分に後方へ反ること、左右へひねることができるかどうかです。

(c) Back Teck Inc.

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胸椎が十分に反る、ひねることができないと、腰を支える腰椎(ようつい)という部分が過剰に反る、ひねって胸椎の動きを補います

本来は、胸椎と腰椎の両方が後ろ側へ反り、胸椎をひねることで、どちらか一方へ負担がかかりすぎないようになっています。

しかし、腰椎だけで反る、ひねる動きを繰り返すことで、腰椎、その周りの靭帯(骨と骨をつないで関節を支える組織)や筋肉に負担をかけることになり、その結果、腰痛に繋がります。

胸椎は腰椎と比べて、反る動き、ひねる動きの両方とも大きく動くことができます。

後方へ反る動きでは、胸椎が20~25°、腰椎が15°、左右へひねる動きでは、胸椎が30°、腰椎が5°とされています。(参考文献②)

このことからも、腰椎は反る動きとひねる動きに適した構造をしていません
胸椎の動きの硬さによって、腰椎に本来持っている動き以上の動きが求められると、腰痛に繋がるのです。

また、胸椎と腰椎の位置関係を見ると、胸椎から見た腰椎は言わば土台のような役割をもちます。
腰椎が筋肉の働きによって、安定することで土台としての役割が果たされ、胸椎が十分に動くことができます。

もし、この土台としての機能が不十分であったとしたら、土台がない胸椎は十分に動くことはできませんし、土台として働かない腰椎はグラグラと不安定で過剰に動いてしまう原因となります。

その状態で動くことが、腰痛の原因の1つになるのです。

サーブの時に起こる腰痛と原因

サーブもスパイクと同様に、胸椎の後ろ側へ反る動きとサーブを打つ腕側へひねる動きが必要になります。

これも胸椎の動きが不足することで、腰椎へ本来持っている動き以上の動きが求められた結果、その周りの靭帯や筋肉に負担をかけ、腰痛へ繋がります。

レシーブの時に起こる腰痛と原因

レシーブする時、腰を落として姿勢を低くし、ボールの下に入り込んでレシーブします。

ここで必要なのは、股関節が十分に曲がることができるかどうかです。
股関節が十分に曲がらないと、腰椎を過剰に曲げることで股関節の動きを補い、腰が丸まったような姿勢になります。

本来は、股関節と腰椎の両方が十分に曲がることで、腰を落として姿勢を低くすることができます。

しかし、腰椎だけで腰を落とす動きを繰り返すことで、腰椎、その周りの靭帯や筋肉に負担をかけることになり、腰痛に繋がります。

床の物を拾う時の股関節と腰椎の関係を調査した研究では、股関節の硬さがある方では、ない方と比べて、腰椎が大きく動いていたと報告しています。(参考文献③)
このことは、股関節の硬さによって腰椎が過剰に動く可能性があることを示しています。

レシーブ動作においても、股関節に硬さがある場合は腰椎が過度に動いてしまう可能性が考えられます。

また、股関節の安定性が低いことも腰椎が過剰に動いてしまう要因の1つです。

股関節が曲がるためには、関節自体が筋肉によって安定していることが必要です。
筋肉は安定性に関わるものと、動きを作るものに分けられ、関節を安定させる筋肉の働きが不十分だと、動きを作る筋肉も十分に働くことができません。

つまり、股関節の安定性が低いことで、股関節の曲げる動きが十分にできないと、結局腰椎でその動きを補うことになり、腰痛の原因の1つになります。

腰痛を解消、予防するための対策

ここでは、腰痛を解消するために必要な動きや安定性を高めるための運動をいくつかご紹介します。

胸椎の反る、ひねる動きを出す運動

<方法>
1.四つ這いとなる
2.片手を頭に置く
3.肘が天井を向くように背中をひねる
4.元に戻す
5.3~4を左右10回ずつおこなう

<ポイント>
・息を吸うのに合わせてひねる
・戻すときは息を吐く
・骨盤、腰は左右へぶれないように注意する

(c) Back Teck Inc.

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腰椎の安定性を高める運動

<方法>
1.仰向けになる
2.両手を天井へ向けて突き出し、両膝を曲げて足を持ち上げる
3.その姿勢のまま5秒キープする
4.10回繰り返す

<ポイント>
・腰が反らないように、軽くみぞおちを丸める
・呼吸は止めずにおこなう

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股関節の柔軟性を高める運動

<方法>
1.肩幅より広く足を開いて立つ
2.手を膝に置き、腰を落とす
3.その姿勢で10秒キープする

<ポイント>
・肩はすくまないように注意する
・内もも、裏ももが伸びている感じがあれば良い

(c) Back Teck Inc.

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肩関節の安定性を高める運動

<方法>
1.椅子にすわる
2.手の甲を内ももに当てる
3.足は動かさずに手の甲で内ももを軽く押す
4.5秒押して力を抜く
5.10回繰り返す

<ポイント>
・肩がすくまないように注意する
・強く押さずに軽く押す

(c) Back Teck Inc.

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腰痛ベルト(コルセット)を用いた対策

腰痛の対策の1つとして、コルセットがありますが、こちらは痛みの改善にはあまり効果は認められないものの、腰痛による日常生活の制限を改善する効果は可能性として示されています。(参考文献④)

コルセットに関しては、「腰痛ベルト(コルセット)は効果あるのか?正しい付け方も徹底解説!」で詳しく解説しています。

まとめ

今回はバレーボールで起こる腰痛とどんな運動をしたら良いのかを解説しました。

バレーボールをしたいけど、腰痛で思うようにできないという方は、是非参考にされてください。

(松井 洸)


▼ 参考文献①
タイトル:Prevalence of Back Pain in Sports : A Systematic Review of the Literature.
雑誌名:Sports Med.2017 Jun;47(6):1183-1207.doi: 10.1007/s40279-016-0645-3.
[PMID: 28035587]
▼ 参考文献②
タイトル:筋骨格系のキネシオロジー
出版:医歯薬出版株式会社 p.303-310
▼ 参考文献③
タイトル:Movement coordination of the lumbar spine and hip during a picking up activity in low back pain subjects.
雑誌名:Eur Spine J. 2007 Jun; 16(6):749-58. Epub 2006 May 20.
[PMID: 16715308]
▼ 参考文献④
タイトル:Lumbar supports for prevention and treatment of low back pain.
雑誌名:Cochrane Database Syst Rev. 2008 Apr 16;(2):CD001823.
[PMID:18425875]

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