坐骨神経痛に対する手術は、どの程度の効果が望めるか!?

監修者京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター坪井大和 / 理学療法士 / 修士号(保健学)/ 日本学術振興会 特別研究員 / メディア編集長

お尻の痛みを感じる女性

(c)Maridav- Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 腰椎椎間板ヘルニアによって坐骨神経痛が生じることがある.
2. 治療方法には、”手術療法”と”保存療法(手術以外の治療法)”がある.
3. 長期的に見ると、”手術療法”と”保存療法”の効果に違いはないかもしれない.

Ernia del disco

腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板(上図の青い部分)という背骨の間にあるクッションがつぶれて、その中にあるゼリーのような物質(上図のグレー色の部分)が神経(上図の黄色部分)などに触れることで、お尻や足に痛み等の坐骨神経痛という症状がでる病気です。

現在の治療方法としては、つぶれた椎間板や飛び出したゼリー状の中身を除去する”手術療法”と、リハビリテーションや神経のブロック注射、運動などを行う”保存療法(手術以外の治療法)”に分かれます。保存療法は、体への負担が少ないことから、まずは保存療法を継続しながら経過を観察し、必要があれば手術療法になるケースがが多いです。もちろん、できることなら、誰でも手術はしたくないものです。

今回は、ヘルニアで生じた坐骨神経痛に対する”手術療法”と”保存療法”の治療効果を比較した研究をご紹介します。

”手術療法”と”保存療法”の効果を比較

2009年までに公開された腰椎椎間板ヘルニアにより生じた坐骨神経痛に対する”手術療法”と”保存療法”の効果を比較した研究が検索され、ある一定の基準を満たした5つの研究結果がまとめられました。
治療の効果の評価には、痛み、身体機能、主観的な回復の程度、仕事を病欠した日数が用いられました。

早い段階での”手術療法” vs. ”保存療法”でしばらく様子を見て、必要なら”手術療法”

1つの研究では、早い段階で手術をした場合と、できる限り保存療法で様子を見て、必要なら手術をした場合の効果を比較しました。
その結果、早い段階で手術をした場合では、坐骨神経痛が早期に回復していました。しかし、1〜2年後の時点において、その効果(痛みの程度や身体機能など)の違いは見られませんでした

”手術療法” vs. ”通常の保存療法”

3つの研究では、”手術療法”と”通常の保存療法”の効果を比較していました。
そのうちの質の高い1つの研究においては、治療して1〜2年後の時点において、”手術療法”と”通常の保存療法”の効果に、明らかな効果の違いは認められませんでした

今回の結果から、手術をした場合と手術をせずに保存療法を受けた場合での、長期的な効果に違いは見られませんでした。明らかな違いがないとすれば、仕事でお休みをとれない時期などもあるため、薬で痛みをコントロールしながら、自身の状態に最適な運動を継続することで、しばらく様子を見てみるのも良いかもしれません。もちろん、実際の治療方針に関しては、かかりつけの整形外科医の先生に、現在の生活スタイルや仕事との兼ね合いを踏まえ、相談してみることをお勧めいたします。

(坪井大和)


▼参考文献
Surgery versus conservative management of sciatica due to a lumbar herniated disc: a systematic review.
Eur Spine J. 2011 Apr;20(4):513-22.
[PMID: 20949289]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
  • *本サービスにおける医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではございません。そのため、本サービス上の情報や利用に関して発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。なお、診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関にて受診いただきますことをおすすめいたします。

あなたにあった腰痛予防があります!

腰痛予防マニュアル
無料ダウンロード 

腰痛といっても、人によってその原因も違えば、対策も変わってきます。その中でも特に職業は腰痛と密接な関係があります。そのため、職業ごとに適した対策をしていくことが重要となります。

  • デスクワークが多い人
  • 肉体労働が多い人
  • 立ち仕事が多い人
  • 運転をすることが多い人

それぞれの職業に合った対策を凝縮した『腰痛予防マニュアル』を早速ダウンロードして、今日から腰痛対策をはじめてみませんか?

メールアドレス



SNSで購読

こちらも読まれています