片頭痛に対処するには薬だけでなくエクササイズも重要!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター松井洸 / 理学療法士

(c) goodluz - Adobe Stock

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【記事のポイント】
1. 片頭痛は頭の片側に生じるズキズキと脈打つ痛みが特徴
2. 耳の上辺りを通る神経(三叉神経)への刺激が原因とされるが、実際には様々なリスク要因が関与する
3. 対処法はストレッチやエクササイズ、ライフスタイルの見直しに加え、適切に薬を用いることが望ましい

片頭痛と言えば、誰でも知っている比較的馴染みのある言葉です。
平成28年の厚生労働省による国民生活基礎調査によると、男女合わせて約700万人もの方々が頭痛を感じていることが分かっています(参考文献①)。

また、日本で行われた4,000人を対象とした大規模な調査では、医師に片頭痛と診断された人は全体の8.4%との報告もあります(参考文献②)。しかし、片頭痛があっても病院に行っていない場合もあるため、実際に片頭痛がある人はかなり多いと考えられます。

そこで、本記事では、頭痛の中でも片頭痛の対処法について解説します。

片頭痛とはどんな状態?

そもそも片頭痛とは、頭の片側に生じるズキズキと脈打つような痛みが特徴です。

似たような頭痛として、緊張型頭痛と呼ばれるものがありますが、こちらは頭の両側に痛みを感じ、頭が締め付けられるような痛みが特徴です。

詳しい頭痛のタイプ別の原因と症状は、「【意外と知らない】あなたの頭痛の原因とは?」で解説していますので、ぜひご参照ください。

片頭痛の原因は耳の上あたりにある神経!

片頭痛の直接的な原因は、頭部の神経や血管が刺激されることと言われています(参考文献④)。

耳の上辺りに三叉神経(さんさしんけい)といって、顔や口の中、鼻の中などの感覚を感じるための神経があります。耳の上辺りから顔へ神経が伸びており、もちろん頭部にも伸びています。

三叉神経

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この三叉神経が、周りの筋肉や皮膚の緊張によって刺激されることが続くと、様々な化学物質が放出され、神経が炎症を起こします。その結果、血管は広がり神経を伝って頭痛が起こるとされています(参考文献⑤)。

また、神経がそうした刺激を受け続けると、わずかな刺激でも神経が興奮してしまうようになり、頭痛を引き起こします。さらに、それが脳へも伝わり、少しの刺激でも痛いと脳が思ってしまうように変化していきます(参考文献⑥)。

片頭痛のリスク要因

片頭痛を起こすリスク要因としては以下のようなものが挙げられます(参考文献⑦、⑧)。


■肩こり
■ ストレス
■ 疲労
■睡眠の過不足
■月経周期
■気温差
■アルコール
■臭い
■空腹
■低気圧

片頭痛のリスク要因の中でも、女性特有の月経周期、また低気圧と片頭痛の関係を以下に解説します。

女性特有の要因と片頭痛

国際頭痛学会によると、月経時の頭痛は、片頭痛の分類の中に含まれています(参考文献⑪)。月経と関連する片頭痛は、月経開始日から2、3日以内に起こる発作とそれ以外の時期に起こるものに分けられており、おおよそ月経中のどの時期にも片頭痛が起こる可能性はあります(参考文献⑫)。

また、片頭痛は妊娠可能年齢の女性に多く訴えがありますが、妊娠後期では60~80%の方で片頭痛発作が軽減すると報告されており、薬を使ってまで片頭痛の治療が必要な場合は少ないとされています(参考文献⑬、⑭)。

ですが、妊娠中で重症の片頭痛が起こった場合、安全性が確立されていない薬もあるため、病院で専門医に相談することが望ましいでしょう。

低気圧と片頭痛

「天気が悪くなったり、飛行機に乗ったりすると片頭痛が酷くなる」という経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

【徹底解説】気圧が下がると頭痛が強くなるのはなぜ?」では、気圧と頭痛の関係についてご紹介していますので、詳しく知りたい方はこの記事をご参照ください。

片頭痛の対処法は薬だけではない

片頭痛の対処法として薬を思いつく方は多いと思いますが、実はそれだけではありません。片頭痛に適切に対処するには、主に以下の3つを知っておくとよいでしょう。


■ ストレッチやエクササイズ
■ ライフスタイルの見直し
■ 薬を使う

ストレッチやエクササイズ

片頭痛の対策のひとつに、ストレッチやエクササイズが挙げられます。

ある研究では、首や肩周りの筋肉に対してストレッチや簡単な運動を取り入れることで、薬だけを利用するときよりも、痛みの強さ(特に側頭部の痛み)が減少し片頭痛の改善を体感しやすいことが分かっています(参考文献⑮)。

首の筋肉のストレッチ

<手順>
1.座ったまま、片手を床へ向かって伸ばす
2.片手を伸ばしたまま、首を反対側へ傾ける
3.そのまま10秒間保持する
4.反対側も同様に、それぞれ5回ずつ繰り返す

<ポイント>
・首は痛みを感じない程度に、気持ち良いくらいに伸ばす
・床へ伸ばす手は軽く脇を締めたまま伸ばす

首ストレッチ

(c) BackTech Inc.

背中の筋肉のエクササイズ

<手順>
1.座ったまま、両手と肘を合わせる
2.そのまま上下に腕を動かす

<ポイント>
・肘がつかない場合、なるべく腕が平行になるようにする

背中ストレッチ

(c) BackTech Inc.

胸の筋肉のエクササイズ

<手順>
1.座ったまま、両手を真っすぐに天井に向かって突き出す
2.そのまま二の腕が床と平行になるように肘をおろす
3.1~2の動きを繰り返す

<ポイント>
・肘をおろす時は肘が90度になるようにする
・肘はなるべく体の真横にくるようにする
・背中は天井へ伸びるようなイメージで真っすぐ保つ

胸ストレッチ

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ライフスタイルの見直し

普段の生活の中で、何気なく行っていることが片頭痛へ影響を与えている場合があります。
以下の項目に当てはまるものがないかチェックしてみてください(参考文献⑦、⑧、⑯、⑰)。


■ 目を酷使している(スマホ、パソコン、テレビを見る時間が長い)
■ 長時間同じ姿勢を取ることが多い
■ 仕事などで同じ動きや作業の反復が多い
■ストレスを感じることが多い(職場のサポートが少ない、仕事量が多い、など)
■運動不足
■睡眠不足、寝すぎ

目を酷使する、同じ姿勢を取ることが多い、同じ動きや作業の反復などは、休憩をこまめに挟み、目、首や肩周りの筋肉へ負担がたまらないように予防することがポイントです。

ストレスに関しては、まずは何が自分にとってのストレスとなっているのかを考え、自分と向き合う時間を取ることが必要です。
自分自身、何がストレスと感じているかを気づいていない場合があるので、まずはそれに気づくことがポイントです。

ストレスと頭痛の関係と対策については「ストレスは頭痛の原因のひとつ!根拠に基づいて適切に対処しよう」で解説していますので、ご参照ください。

また、ご自身が感じる頭痛とライフスタイルとの関連を知るには、頭痛ダイアリーと呼ばれるものを用います。頭痛が起こった日、時間帯、程度などを毎日記録することで頭痛との関連を見るものです。

さらに、月経期間とも照らし合わせることで、頭痛と月経との関連も見ることができます。こちらはご自身で簡単にでき、もし症状が悪化して病院を受診する際には、医師に正確な情報を伝える手助けにもなるので、気になる方は一度試してみると良いかもしれません。

頭痛ダイアリーの用紙は、日本頭痛学会のホームページからダウンロードすることができます。
http://www.jhsnet.org/dr_medical_diary.html

薬を使う

片頭痛の対処法として、運動やライフスタイルだけでなく、薬も並行して利用するのが望ましいです(参考文献③)。ただし、むやみに薬を使いすぎるとかえって頭痛を悪化させてしまうことがあるため、薬を使用する際には用法・用量を守り、適切に使用することが大切です。

頭痛が比較的軽度~中等度の場合は抗炎症薬と呼ばれる薬を用います。中等度~重度の場合や抗炎症薬が効果なかった場合はトリプタンと呼ばれる薬が用いられます。片頭痛の発作が多い場合は、予防的に抗うつ薬、抗てんかん薬を用いることもあります。

ただ、妊娠中の場合は薬がリスクとなる可能性もあるため、服薬に関しては専門医に相談の上、服薬することをお勧めします。

受診した方が良い場合

片頭痛には重篤な病気が関わっている場合もあります。以下の症状に当てはまる場合は緊急性が高い場合があるため、当てはまる場合は神経内科を受診し専門医の指示を仰ぐことをお勧めします(参考文献⑱)。


■ 突然の頭痛
■今まで経験したことのない頭痛
■いつもと違う頭痛
■頻度と強さが増していく頭痛
■50歳以降に初発の頭痛
■手足のしびれや脱力感を伴う頭痛
■がんや他の病気を持っている場合
■精神的な症状がある場合
■発熱を伴う頭痛

片頭痛には薬だけに頼らない対策をしよう

今回は片頭痛とはどのような頭痛を指すのか、片頭痛の原因、対処法まで解説しました。
この記事で紹介したように、片頭痛の対処法は薬だけではなく、エクササイズ、ストレッチやライフスタイルの見直しも重要になります。
痛みが強くなった際には、今回の内容を参考に対処していただき、少しでも頭痛を和らげることにつながれば幸いです。

(松井 洸)

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▼ 参考文献①
タイトル:平成30年国民生活基礎調査(平成28年)の結果から グラフでみる世帯の状況
雑誌名:厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)
URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h28.pdf
▼ 参考文献②
タイトル:Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey
雑誌名:Cephalalgia. 1997 Feb;17(1):15-22.
[PMID: 9051330]
▼ 参考文献③
タイトル:慢性頭痛診療ガイドライン 79-82
URL:http://www.jhsnet.org/guideline.html
▼ 参考文献④
タイトル:Contemporary concepts of migraine pathogenesis
雑誌名:Neurology. 2003 Oct 28;61(8 suppl 4):S2-8.
[PMID: 14581652]
▼ 参考文献⑤
タイトル:The neurobiology of vascular head pain
雑誌名:Ann Neurol. 1984 Aug;16(2):157-68.
[PMID: 6206779]
▼ 参考文献⑥
タイトル:Bendtsen L:Central sensitization in tension-type headache–possible pathophysiological mechanisms
雑誌名:Cephalalgia.2000 Jun;20(5):486-508
[PMID: 11037746]
▼ 参考文献⑦
タイトル:Precipitating factors in migraine : a retrospective review of 494 patients
雑誌名:Headache. 1994 Apr;34(4):214-6
[PMID: 8014037]
▼ 参考文献⑧
タイトル:Level of physical activity,well-being,stress and self-rated health in persons with migraine and co-existing tension-type headache and neck pain.
雑誌名:J headache pain.2017 Dec;18(1):46.doi:10.1186/s10194-017-0753-y.Epub 2017 Apr 18.
[PMID: 28421374]
▼ 参考文献⑨
タイトル:The prevalence of diet-induced migraine.
雑誌名:cephalalgia 1984 Sep;4(3):179-83.
[PMID: 6498931]
▼ 参考文献⑩
タイトル:Trigger factors of migraine and tension-type headache : experience and knowledge of the patients.
雑誌名:J Headache Pain 2006 Sep;7(4):188-95. Epub 2006 Aug 11
[PMID: 16897622]
▼ 参考文献⑪
タイトル:国際頭痛学会・頭痛分類委員会:国際頭痛分類第2版(ICHD-Ⅱ). 日本頭痛学会誌 2004;31(1):13-188.
URL:http://www.jhsnet.org/gakkaishi/jhs_gakkaishi_31-1_ICHD2.pdf
▼ 参考文献⑫
タイトル:Characteristics of menstrual vs non-menstrual migraine
雑誌名:Headache 1992 Apr;32(4):197-202
[PMID: 1582840]
▼ 参考文献⑬
タイトル:course of migraine during pregnancy and postpartum : a prospective study
雑誌名:Cephalalgia. 2003 Apr 23(3):197-205
[PMID: 12662187]
▼ 参考文献⑭
タイトル:headache and migraine during pregnancy and puerperium : the MIGRA-study
雑誌名:J Headache Pain. 2011 Aug;12(4):443-51. doi: 10.1007/s10194-011-0329-1. Epub 2011 Mar 26
[PMID: 21442333]
▼ 参考文献⑮
タイトル:Additional Effects of Physical Therapy Protocol on Headache Frequency, Pressure Pain Threshold, and Improvement Perception in Patients With Migraine and Associated Neck Pain : A Randomized Controlled Trial
雑誌名:Arch Phys Med Rehabil 2016 Jun;97(6):866-74. doi: 10.1016/j.apmr.2015.12.006. Epub 2015 Dec 21
[PMID: 26718237]
▼ 参考文献⑯
タイトル:Musculoskeletal physical outcome measures in individuals with tension-type headache:a scoping review
雑誌名:Cephalalgia.2013 Dec;33(16):1319-36
[PMID: 238042859]
▼ 参考文献⑰
タイトル:the triggers or precipitants of the acute migraine attack
雑誌名:cephalalgia.2007 May;27(5):394-402.Epub 2007 Mar 30
[PMID: 17403039]
▼ 参考文献⑱
タイトル:Diagnostic testing for migraine and other primary headaches
雑誌名:Neurol Clin. 2009 May;27(2):393-415. doi: 10. 1016/j.ncl.2008.11.009
[PMID: 19289222]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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