頭痛を後頭部に感じるのはどうして?その原因と対策について

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター松井洸 / 理学療法士

headache

(c) Aaron Amat - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 後頭部の頭痛は締め付けられるタイプと脈打つタイプに分けられる
2. 後頭部から首にかけての筋肉が緊張することで起こりやすい
3. 運動不足や睡眠不足、寝る時の姿勢などのライフスタイルも関係している

頭痛の原因には様々なものがあります。ご自身がどのタイプの頭痛かわからない方は「【意外と知らない】あなたの頭痛の原因とは?】」を参考にしてみてください。

頭痛の部位も前頭部、側頭部、後頭部など様々で、部位によってその原因や対策も異なります。今回は、その中でも「後頭部」の頭痛の原因と対策について解説します。

後頭部の頭痛の原因

あなたの後頭部の頭痛はぎゅーっと締め付けられるような痛み(緊張型頭痛タイプ)ですか?それともズキンズキンと脈打つような痛み(片頭痛タイプ)ですか?

実は、後頭部の頭痛にはこの2種類のうちの両方、もしくは一方が背景にあることが多いです。

どちらの頭痛も、血管周囲の神経を刺激することで痛みを起こす物質が放出されたり(参考文献①)、後頭部や首から肩にかけての筋肉が緊張してしまうことで頭痛が起こると考えられています。

後頭部の頭痛に繋がる要因には以下のようなものがあります。ご自分に当てはまるものがあればチェックしてみてください。


■背中が丸まった姿勢(猫背)や長時間の同じ姿勢
■仕事などで同じ動きや作業の反復
■長時間のパソコン作業などにによる目の酷使
■運動不足
■睡眠不足、寝すぎ
■ストレス

つづいて、それぞれの要因について詳しくみていきましょう。

猫背や長時間の同じ姿勢によって起こる後頭部の頭痛

デスクワークや長距離運転など、長時間同じ姿勢で座っていることが多いと、首や肩周りの筋肉が硬く緊張してきます。特に、後頭部の頭痛を感じる方の姿勢の特徴は、背中が丸くなり、頭が前に出ているような姿勢となっている場合が多いとされています(参考文献②)。

how to sit

(c) Back Teck Inc.

このような姿勢は特に高齢の方にも多いですが、若い方でもデスクワークやスマホを使用する時間が長いとこのような姿勢になりやすくなります。

ここで、簡単な頭痛のチェックをしてみましょう。下の写真のオレンジで囲ってある部分を押さえてみてください。

headache and muscle

(c) Back Teck Inc.

いかがでしたか?

頭痛を感じる方は、「頭蓋骨(ずがいこつ)や首・肩周りの筋肉」を押すと痛みを訴える方が頭痛を感じない方と比べて多く、筋肉の痛みが強いほど頭痛も強い傾向にあります(参考文献③)。

筋肉を押すと痛むのは、普段からその部分に負担がかかっており、筋肉が緊張することで筋肉内の血管が細くなり、それが長く続くと血流が悪くなって痛みを起こす物質や疲労物質などが溜まってしまうからです。

つまり、姿勢による筋肉への負担が頭痛を起こすということです。

後頭部の頭痛に関わる可能性のある主な筋肉は写真の中に挙げている5つです。

headache and muscle 2

(c) Back Teck Inc.

これらは後頭部から首、肩、背中にかけて位置する筋肉で、これらに負担がかかることによって、後頭部の頭痛を引き起こす可能性があります。

同じ動きによって起こる後頭部の頭痛

あなたは、仕事や普段の生活の中で繰り返しの作業や力仕事などをすることはありませんか?このような作業は、同じ筋肉を偏って使ってしまうことがあり、それによって首や肩周りの筋肉が硬く緊張してしまう可能性があります。

特に荷物を押したり引いたりするような動きは肩周りの症状を起こす可能性が高くなるとも報告されています(参考文献④)。

目の酷使による後頭部の頭痛

目の周りの筋肉は、おでこから後頭部にかけて帽子のようについている筋肉(後頭前頭筋)や、こめかみから耳まわりについている筋肉(側頭筋)に合わせて動きます。

headache and muscle 3

(c) Back Teck Inc.

そのため、パソコン作業などの目の酷使による眼精疲労によって、これらの筋肉に疲労が溜まり後頭部やこめかみに頭痛が起こる可能性があります。

運動不足による後頭部の頭痛

ある研究では、「運動不足」や「健康状態の低さ」が頭痛と関連していると報告されています(参考文献⑤)。

肩や首周りの筋肉をほぐしたりするだけでなく、普段からウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行うとよいでしょう。

睡眠不足、寝すぎによる後頭部の頭痛

睡眠不足や寝すぎが原因となることも言われていますが、寝起きに頭痛や肩こりを感じる方もいらっしゃいます(参考文献⑥)。

この原因として、寝ている時に首が一方にねじれていたり、枕の高さが合っていない可能性があります。こうなると、首や肩周りの筋肉が緊張し、それが後頭部の頭痛に繋がります。

寝る時の姿勢や枕の選び方については「肩こりに良くない寝方・おすすめの寝方を徹底解説!」や「その肩こり、枕が原因かも?自分にあった枕の選び方」で詳しく解説していますので参考にしてみてください。

ストレスによる後頭部の頭痛

ストレスに関しては、頭痛に繋がる可能性の高い要因の1つとされています(参考文献⑦)。
日々の生活の中でストレスに感じていることはありませんか?そのような方は、近年、ストレスに向き合う方法として注目されている「マインドフルネス」を実践してみるのもいいかもしれません。

具体的な方法は、「マインドフルネスの方法7選を学んで、腰痛を改善しよう!」で解説していますので、ぜひ生活の中に取り入れてみてください。

後頭部の頭痛の対策

つづいて、どのようにして後頭部の頭痛に対処したらいいのか、その具体的な方法をご紹介します。姿勢の改善、ストレッチや運動、薬の観点からそれぞれについて詳しくみていきましょう。

座っている姿勢の改善

普段の生活に取り入れやすい改善策に「座っている時の姿勢」があります。原因で紹介したように猫背で頭が前に出ているタイプの座り方の人は、写真のような姿勢をとってみてください。このときのポイントは「頭からひもで真っ直ぐに引っ張られるような意識」を持って体を伸ばすことです。

how to sit 2

(c) Back Teck Inc.

背中だけ伸ばそう、腰だけ伸ばそうと意識しすぎると、反り返ってしまい、余計に筋肉の緊張を高めてしまうこともあります。
反り返るのではなく「上から引っ張られる意識」がポイントです。

ただ、常に意識するというのも無理があるので、集中して作業している30分〜1時間は意識的に姿勢を保ち、少し休憩も挟んで再度姿勢を意識するなど、間に休憩を挟むことで集中力を持続しやすいです。

ストレッチや運動による対策

続いて、ストレッチや運動で後頭部の頭痛を予防・改善する方法についてご紹介します。

首の筋肉のストレッチ

<目的>
首周りの筋肉の緊張を和らげる

<手順>
1.片手を背中に当てる
2.背中に当てた手と反対側へ首を倒す
3.その位置で10秒保持
4.左右5回程度繰り返す

<ポイント>
・痛みがない範囲で行う
・背中に当てた手の側の肩は下へ下げるイメージを持つ

training 1

(c) Back Teck Inc.

背筋のトレーニング

<目的>
・弱くなりやすい背筋を鍛え、背中を伸ばす
・縮みやすい後頭部の筋肉を伸ばす

<手順>
1.仰向けとなる
2.肘を立てる
3.肘で床を押し、背中を反らすように力を入れる
4.10回程度繰り返す

<ポイント>
・あごは引いて行う
・息を吸いながら行う
・痛みが出ない範囲でゆっくりと行う

training 2

(c) Back Teck Inc.

背骨をひねる運動

<目的>
丸くなりやすい背中部分の背骨を伸ばす

<手順>
1.四つ這いで片手を頭の上に置く
2.頭に置いた手側に体をひねり、天井を見るようにする
3.10回程度行う

<ポイント>
・肘が天井を向くように意識する
・腰ではなく、背中からひねるように意識する
・床についた手は、肩がすくまないように脇を軽くしめる

training 3

(c) Back Teck Inc.

後頭部の頭痛に関する薬物治療

薬による治療は、炎症や痛みを抑える作用のある消炎鎮痛剤がメインになります。ただし、副作用として、胃腸が荒れる、貧血気味になる可能性もあるため、薬の過使用には十分に注意する必要があります。

頭痛がひどく、漢方やお薬を実際に使う場合には、神経内科を受診してひとりひとりに応じた処方をもらうようにしましょう。

注意するべき後頭部の頭痛

後頭部の頭痛には重篤な病気が背景にあることもあり、注意するべき場合があります。
慢性頭痛の診療ガイドラインによると、以下の症状に当てはまる場合は緊急性が高い場合があるとされており、当てはまる場合は神経内科を受診して専門医の指示を仰ぐのが良いでしょう(参考文献⑧)。


■突然の頭痛
■今まで経験したことのない頭痛
■いつもと違う頭痛
■頻度と強さが増していく頭痛
■50歳以降に初発の頭痛
■手足のしびれや脱力感を伴う頭痛
■がんや他の病気を持っている場合
■精神的な症状がある場合
■発熱を伴う頭痛

もし、いずれかに当てはまる場合は、自分で判断せずに速やかに受診することを強くお勧めします。

まとめ

今回は後頭部の頭痛について解説しました。今回の記事で紹介した原因の中に、ご自身に当てはまるものはありましたか?後頭部の頭痛でお悩みの方は、ご自分の症状を起こす原因を理解し、記事内で挙げた対策を実践してみてください。

(松井 洸)


▼ 参考文献①
タイトル:The neurobiology of vascular head pain
雑誌名:Ann Neurol. 1984 Aug;16(2):157-68.
[PMID: 6206779]
▼ 参考文献②
タイトル:Forward head posture and neck mobility in chronic tension-type headache: a blinded, controlled study.
雑誌名:Cephalalgia. 2006 Mar;26(3):314-9.
[PMID: 16472338]
▼ 参考文献③
タイトル:Muscle renderness and pressure pain thresholds in headache. A population study.
雑誌名:Pain 1993. Feb ;52(2):193-9
[PMID: 8455967]
▼ 参考文献④
タイトル:Are pushing and pulling work-related risk factors for upper extremity symptoms? A systematic review of observational studies
雑誌名:Occup Environ Med. 2014 Nov;71(11):788-95. doi: 10. 1136/oemed-2013-101837. Epub 2014 Jul 17
[PMID: 25035115]
▼ 参考文献⑤
タイトル:Level of physical activity,well-being,stress and self-rated health in persons with migraine and co-existing tension-type headache and neck pain
雑誌名:J headache pain.2017 Dec;18(1):46.doi:10.1186/s10194-017-0753-y.Epub 2017 Apr 18.
[PMID: 28421374]
▼ 参考文献⑥
タイトル:An unfavorable lifestyle and recurrent headaches among adolescents : the HUNT study
雑誌名:Neurology. 2010 Aug24;75(8):712-7. doi:10. 1212/WNL.0b013e3181eee244. Epub 2010 Aug 18
[PMID: 17403039]
▼ 参考文献⑦
タイトル:the triggers or precipitants of the acute migraine attack
雑誌名:cephalalgia.2007 May;27(5):394-402.Epub 2007 Mar 30.
[PMID: 17403039]
▼ 参考文献⑪
タイトル:慢性頭痛の診療ガイドライン2013
URL:http://www.jhsnet.org/GUIDELINE/gl2013/gl2013_main.pdf

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