腰痛と職業に関連はあるか

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター福谷直人 / 理学療法士 / 博士号(保健学) / 健康経営アドバイザー / 作業管理士 / VDT作業労働衛生教育インストラクター

デスクワーカーの女性の腰痛

(c)Andrey Popov - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 職業により、腰痛のなりやすさは異なる.
2. 業務中の身体負荷が腰痛発症の要因となる.
3. 業務内容は変えられないため、まずはセルフケアを!

一生のうち腰痛を経験する日本人は、約8割にものぼるほど、我々の生活に身近な症状です。
厚生労働省が実施している国民生活基礎調査においても、どの年代・性別問わず、ほぼ腰痛はTOP3を占めています。それでは、職業と腰痛にはどのような関連性があるのでしょうか。

腰痛の有訴率は職業により異なる

職場における腰痛に関する日本国内の疫学調査では、腰痛有訴率(症状を訴える割合)が40〜50%、腰痛の既往歴が70〜80%との報告が多く見られます。
研究の対象者が1,000名を超える規模の国内調査での職業別の腰痛有訴率は、下記のように報告されています。

■事務:42〜49%
■看護:46〜65%
■介護:63%
■運輸:71〜74%
■清掃:69%
■建設:29%

上記をみてわかるように、職業によって有訴率が大きく異なることが報告されています。これは、業種ごとの仕事中に必要とされる姿勢や身体負荷に影響されることが考えられます。

仕事中の姿勢や身体負荷は腰痛発症に関係するか?

こうした姿勢や身体負荷の影響は、遺伝子の影響を除き、純粋な姿勢や身体負荷などの環境の影響を検討するために、双子を対象に研究が行われることが少なくありません。

こうした研究の結果、腰痛の発生頻度と身体負荷との間には正比例の関係があることが報告されており、作業による腰痛の発症には、遺伝子背景よりも身体負荷の程度が重要であると考えられています。
さらに、身体負荷の大きい重労働が腰痛発症の危険因子であることは、一定の見解が得られています。

また、作業中の姿勢も重要であり、からだの前屈や捻りを伴う作業や、定期的に姿勢を変えることができない作業は、腰痛の発生頻度を増加させます。

まず始められることは何か

筋力強化、ストレッチ、有酸素運動を組み合わせたリハビリテーションは、慢性期(3ヶ月以上持続している場合)の非特異的腰痛(病院でレントゲンを撮っても原因が特定されない腰痛)に効果的であると報告されています。何か一つよりも、いずれかを組み合わせて実施することが推奨されています。

その中でも、特になかなか自主トレのようなことが行えない方は、帰宅時に1つ前の駅から歩いて帰るなど、日常の歩数を徐々に増やしていくことをお勧めします。歩行のような有酸素運動は、腰の組織の栄養や血流が改善することで回復機能が向上し、腰痛が改善されるかもしれません。

(福谷直人)


◆参考文献
An epidemiological study on occupational low back pain among people who work in construction.
J Nippon Med Sch. 2001 Aug;68(4):310-7.
[PMID:11505278]

Ambiguous relation between physical workload and low back pain: a twin control study.
Occup Environ Med. 2003 Feb;60(2):109-14.
[PMID:12554838]

Working hours spent on repeated activities and prevalence of back pain.
Occup Environ Med. 2002 Oct;59(10):680-8.
[PMID:12356929]

High physical work load and low job satisfaction increase the risk of sickness absence due to low back pain: results of a prospective cohort study.
Occup Environ Med. 2002 May;59(5):323-8.
[PMID:11983847]

A Systematic Review of the Effects of Exercise and Physical Activity on Non-Specific Chronic Low Back Pain.
Healthcare (Basel). 2016 Jun; 4(2): 22.
[PMID:27417610]

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