デスクワークに伴う肩こりには肘置きを上手く活用しよう!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター山下真司 / 理学療法士 / 修士号(医学)

肩こりに対する肘置きの効果

(c) naka - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. デスクワーク環境によって、肩こりや首の痛みといった症状が発生しやすい。
2. 肘置きを用いることで、身体の負担が軽減し、肩こりなどの症状が抑えられる可能性が示された。
3. ご自身のデスクワーク環境を確認し、肘置きや肘を休めるスペースを確保してみよう。

仕事中に、肩こりや首の痛みといった身体の症状に悩まされるデスクワーカーの方は、多いと思います。何かしら対策をしようと試みても、なかなか改善されない方も多いのではないでしょうか?

最近では、快適にデスクワークをするためのグッズが多く開発されてきています。手首の負担を軽減するクッションや、ボール型のマウス、縦に握る形のマウスなどがあります。また、肩こりの負担を軽減する目的で、デスクに設置するタイプの肘置きなども開発されています。

では、どのようなものを導入すれば、肩こりなどの症状を軽減できるのでしょうか?今回は、中でも肘置きとマウスの効果を検証した研究をご紹介いたします。

トレーニングとマウス、肘置きを比較

この研究の対象者は、ヘルスケア企業のカスタマーサービスセンターに勤務するオペレーター182名といたしました。この方々は、週に20時間以上勤務しており、看護師かヘルスケアの資格を有していました。また、対象者のうち、63名の方が、肩こりや腕の痛みなど、何かしらの症状を有していました。

対象者はランダムに次の4群に割り付けられました。

■ 作業中の姿勢トレーニングのみ
■ 作業中の姿勢トレーニング+ボール型のマウスの使用
■ 作業中の姿勢トレーニング+肘置きの使用
■ 作業中の姿勢トレーニング+ボール型のマウスと肘置きを両方とも使用

ボール型マウスとは、ボールを転がすように動かすことで、画面上のカーソルを移動させることができる特殊な形をしたマウスのことを指します。

そのうえで、毎週末に肩や首、腕の痛みの程度を0から10点の11段階で確認し、1年間(52回)にわたって調査を行いました。

肘置きを取り入れた場合、発生率が50%も軽減?!

解析の結果、トレーニングのみを行う場合と比較して、肘置きを取り入れた場合、新たに肩こりや首の痛みが発生するリスクが約50%下がることが分かりました(ハザード比:0.49)。

一方で、ボール型マウスを使用した場合、トレーニングのみを行う場合と比較して、肩こりや首の痛みが発生するリスクが下がる傾向がありましたが、統計学的に差があるとは言えませんでした

肘置きを用いると、腕の重さが軽減されるため、肩への負担が減り、このような結果になったのではないかと筆者らは述べています。

元々あった肩こりや首の痛みも軽減?!

さらに、肘置きを使用した場合、元々あった肩こりや首の痛みといった症状が、1年後には軽減している可能性が示されました。

一方で、ボール型マウスを使用した場合、調査開始時と比較して症状が軽減される傾向がありましたが、統計学的に差があるとは言えませんでした

費用対効果も良い?!

今回の研究で使用した肘置きは、75ドル(当時の日本円で約8000円)でした。当時の調査で、肩こりや首の痛みによる損害賠償請求額は1.44%であり、1人あたりの損害賠償請求額の平均は11,540ドル(当時の日本円で約1,243,000円)でした。

これらの情報から、投資収益率(ROI: Return on Investment)は10.6ヶ月と計算されることが分かりました。

今回の研究の限界と注意点

今回の研究の注意点として、効果判定に痛みの程度を用いていますが、これらのグッズを使用する際には、使いやすさなども重要です。使いづらいと心理的な負担が増え、肩こりなどの症状を悪化させる可能性もあります。

実際に今回の研究では、ボール型マウスを使用した群で4名、肘置きを使用した群で1名、双方を使用した群で5名の方が、グッズの使いづらさを訴えました。実際にグッズを使用する際には、使いやすさなども考慮したほうが良いでしょう

また、先ほどお伝えした投資収益率(ROI)の計算では、従業員の生産性や経費などの間接費は考慮していませんので、ROIを過小評価してしまっている可能性があります。

肘置きや肘をおけるスペースを確保しよう!

今回の結果から、肘置きを使用した場合に肩こりや首の痛みが発生しにくくなり、症状が軽減される可能性が示されました。この結果から、肘を置ける環境を整えることが大切であると言えるでしょう。

すぐに肘置きを導入することが難しいという方は、下の図のようにデスク上に肘を十分に置けるスペースを確保すると良いでしょう。

肩こりに対する肘置きの効果

(c) Back Teck Inc.

また、肘置きの高さが合っていない場合も良くありません。肘置きの高さは、腕をだらんと下ろした時の肘の高さになるように調整しましょう。

なお、今回の研究で、ボール型マウスの効果も効果的である可能性がありましたが、統計学的な差はありませんでした。もしかしたら、使用者が使いやすいと感じているか否かといった心理的な要因が関連しているかもしれません。大事なのは、ご自身の作業に適したものを使用することでしょう。

今回の結果を参考に、ご自身の作業環境を見直してみてもいいかもしれませんね。

(山下真司)


▼ 参考文献
タイトル:A randomised controlled trial evaluating the effects of two workstation interventions on upper body pain and incident musculoskeletal disorders among computer operators.
雑誌名:Occup Environ Med. 2006 May;63(5):300-6.
[PMID: 16621849]

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