あなたの肩こりを慢性化させる原因とは?

松井洸 / 理学療法士

肩こりの原因

(c) Minerva Studio - Fotolia.com

【記事のポイント】
1.肩こりの原因には、筋肉、ストレス、仕事内容、個人の影響がある。
2.闇雲に対策するのではなく、本質的な肩こりの原因を理解することが大切!

肩こりと言えば、腰痛と並んでとても多い症状の1つです。

肩こりを良くしたいという思いから、筋トレやストレッチなどをやってはみるものの、中々効果が得られない…。気がつくと、数ヶ月、数年もの長い期間にわたって、肩こりに悩んでいる。こんなことも珍しくはないのではないでしょうか?

なかなか肩こりが改善しないのは、そもそもの肩こりの本質的な原因について理解できていないからかもしれません。そこで本記事では、様々な観点から、肩こりの原因についてご紹介します。

肩こり発生の原因

肩こりの原因はどのようなものが挙げられるのでしょうか。
大きく分けると以下の4つのような要因があります。


① 筋肉による影響
② ストレスによる影響
③ 仕事内容による影響
④ 個人のもつ特性による影響

これらが複合的に合わさった結果、肩が重い、だるい、痛いなどの症状を感じるのです。
肩こりの原因を順に詳しく見ていきましょう。

① 筋肉による影響

肩こりの筋肉の状態は大きく以下の2つに分けられます。


・一部の筋肉を使いすぎ、緊張して硬くなっている
・筋肉の伸び縮みを感知するセンサーの働きが弱くなっている

以下に順に説明していきます。

1つ目は、一部の筋肉を使いすぎているということ。

そもそも、肩こりとはどういった状態かと言うと、一部の筋肉が持続的に緊張した状態が慢性化し、痛みや重い、だるいなどを感じる状態です。その結果、筋肉が硬く緊張し、血行が悪くなることで、疲労物質や痛みを起こす物質が停滞します。

肩こりになりやすい筋肉として以下のものが挙げられます。


・胸の大胸筋(だいきょうきん)、小胸筋(しょうきょうきん)
・肩の外側にある三角筋(さんかくきん)の前側
・腕の力こぶができる部分に当たる上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)
・首の付け根から肩の上側にある僧帽筋(そうぼうきん)の上部繊維
・首から肩甲骨の上側にある肩甲挙筋(けんこうきょきん)
・肩甲骨の内側にある菱形筋(りょうけいきん)

使いすぎてしまう要因としては、長時間同じ姿勢での作業、同じ動作を繰り返すなどが挙げられます。

私たち人間は、生活の中で体の前側で手を使って作業をすることが多いです。現代では、パソコンやスマホの普及で特にその傾向が強くなっています。体の前側で手を使うと、胸や腕の前側の筋肉を主に使い、反対に背中側の筋肉はあまり使いません。

よく使う筋肉は緊張が高くなり、使わない筋肉は伸ばされて弱くなります。その結果、普段から一部の筋肉は緊張が高い状態のままとなり、肩こりを感じるようになります。

2つ目は、筋肉に備わっているセンサーの働きが弱くなっているということ。

筋肉の動きは、縮むこと、緩むことの2つです。力こぶを作るようにぐっと力を入れると、筋肉は縮みます。力を抜くと、縮んだ状態から全体的に緩んだ状態となります。力を入れると、血管が筋肉に圧迫され、細くなります。力を抜くと、圧迫された血管は解放されて、太く広がります。

本来であれば、筋肉の縮みすぎを感知する腱紡錘というセンサーが働き、縮みすぎると緩むように反応しますが、肩こりの方はこのセンサーの働きが弱いために、肩周りの筋肉が縮みすぎても緩まず、力が抜けにくい状態になっています

センサーの働きが弱くなる要因としては、特定の筋肉を使いすぎていること、反対の動きを持つ筋肉をあまり使っていないことが挙げられます。肩をすくませる筋肉に対して、肩を下げる、脇をしめる筋肉を働かせることで、センサーの働きが整ってきます。

② ストレスによる影響

生活の中で何らかのストレスを感じることがあると、肩まわりの筋肉の緊張が高まり、肩こりが生じやすくなります。ある研究の報告によると、ストレスが高いと、肩こりを含めた首〜腕の痛みのリスクが2.33倍になることが明らかとなっております。不安が高いことも、同じくリスクを高めるという結果が得られました(参考文献①)。

ストレスを感じる要因としては、仕事量が多い職場の同僚や上司のサポートが少ない高いレベルの仕事を要求される精密さを要求される仕事である職場に対する満足度が低いなどが挙げられます(参考文献②)。

これに対しては、運動や趣味などの自分なりのストレス解消法を見つけたり、自分の仕事の優先順位を整理したり、周りのサポートをうまく使うことで対策をしていきましょう。

③ 仕事内容による影響

コンピュータを使用するデスクワークも肩こりの要因の1つです。デスクワークの中でも、モニターの位置の高さ、正面にないこと、体に近い位置でのマウスやキーボード操作が特に問題として挙げられます(参考文献③, ④)。

モニターなどの位置が高すぎると、目線は上を向き、顎が上がって首から頭が前に出るような姿勢となります。さらに、高さがあると肩がすくむような姿勢になりやすいため、首の付け根から肩の上側にある僧帽筋上部繊維が疲れやすくなります。

反対にモニターの位置が低すぎても、目線は下を向き、首から頭が前に出るような姿勢となってしまいます。また、低いと背中も丸くなるため、僧帽筋上部繊維に加えて、首から肩甲骨上側につく肩甲挙筋と肩甲骨内側にある菱形筋が疲れやすくなります。

モニターの位置が左右のどちらかに設置されていると、そちらを一定の方向を向いた状態での作業となるため、左右どちらかの筋肉ばかりに負担がかかり、肩こりや痛みを生じる可能性が高くなります。

体に近い位置でのマウスやキーボード操作は、肘が浮いたままの状態となってしまい、腕の重さを支えるために僧帽筋上部繊維や肩の外側にある三角筋の前部繊維が働きっぱなしで疲れやすくなります。

それぞれ筋肉を使いすぎた結果、肩こりに繋がります。

また、肩まで手を挙げるような作業をする必要があること、そのような動きを繰り返す仕事内容であることが肩こりを感じる要因として明らかとなっています。

予防的な観点から、デスク周辺環境の調整もしていきましょう。具体的には「座りすぎによる腰痛を防ぐデスクワーク環境の整え方!」にて腰痛も含めた環境調整のポイントを記載しています。

④ 個人のもつ特性による影響

過去に首や肩のこりや痛みを経験したことがある場合、何もない方と比べて、肩こりを発症しやすくなります(参考文献⑤)。

また、性別による影響もあり、女性は男性に比べて肩こりを含めた首の痛みを発症しやすいと報告されています(参考文献⑤)。その要因としては、男性に比べて筋肉量が少なく、筋力・筋持久力が低いことがあり、慢性的な首や肩の筋肉への負担に対する耐久性が低いことが挙げられます。

病院を受診した方が良い肩こりの原因

もし、現時点で日常生活に支障をきたすなど、症状が肩こりだけにとどまらない場合は、まずは整形外科を受診して医師の指示を仰ぐことをお勧めします。
具体的には、以下のような症状に当てはまる場合は受診を検討してください。


・じっとしていても痛い
・肩を動かすと痛い
・腕や指に痺れがある
・夜も眠れないくらい痛い
・肩が熱い感じがする
・痛みが次第に強くなっている

上記に挙げた症状に当てはまる場合、背景に病的な原因があるために、肩こりを起こしている可能性が考えられるため、受診をお勧めします。病的な原因としては以下のようなものが挙げられます。


・腱板断裂、腱板損傷(肩を安定させる筋肉の断裂、損傷)
・肩関節周囲炎(明確な原因はないが、肩周りの痛みや動きの悪さを認めるもの)
・頸椎椎間板ヘルニア(首の背骨と背骨の間のクッションの役割をもつ椎間板が後ろへ飛び出し、神経を圧迫することで痛みやしびれを認めるもの)
・頸部脊柱管狭窄症(首の背骨の一部が変形、椎間板が潰れる、靭帯が分厚くなるなどの原因によって神経を圧迫することで痛みやしびれを認めるもの)

まとめ

今回は肩こりが慢性化してしまう原因について解説しました。

自分の肩こりを慢性化させているかもしれない本質的な原因を理解した上で対策をしていきましょう。

(松井 洸)


▼ 参考文献①
タイトル:Is there a relationship between psychological stress or anxiety and chronic nonspecific neck-arm pain in adults? A systematic review and meta-analysis.
雑誌名:J Psychosom Res. 2016 Nov;90:70-81.
[PMID: 27772562]
▼ 参考文献②
タイトル:The burden and determinants of neck pain in workers: results of the Bone and Joint Decade 2000-2010 Task Force on Neck Pain and Its Associated Disorders.
雑誌名:Spine (Phila Pa 1976). 2008 Feb 15;33(4 Suppl):S60-74.
[PMID: 18204402]
▼ 参考文献③
タイトル:Risk factors of non-specific neck pain and low back pain in computer-using office workers in China: a cross-sectional study.
雑誌名:BMJ Open. 2017 Apr 11;7(4):e014914.
[PMID: 28404613]
▼ 参考文献④
タイトル:Physical risk factors for developing non-specific neck pain in office workers: a systematic review and meta-analysis.
雑誌名:Int Arch Occup Environ Health. 2017 Jul;90(5):373-410.
[PMID: 28224291]
▼ 参考文献⑤
タイトル:Office workers’ risk factors for the development of non-specific neck pain: a systematic review of prospective cohort studies.
雑誌名:Occup Environ Med. 2012 Sep;69(9):610-8.
[PMID: 22581966]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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