運転手の意外な首・肩の痛みリスク

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター中塚清将 / 理学療法士

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(c) auremar - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 運転中の振動が首・肩の痛みに繋がる
2. ドライバーの心理的な要因も痛みと関係する
3. 首や肩の痛みへの対処は車の振動を軽減することが有効

仕事で長時間運転する人の半数以上は首や肩に痛みを抱えていると言われています。

そんな中、プロドライバー (トラック運転手)の方々の首や肩の痛みの要因を明らかにするための研究が報告されましたので、その研究結果をご紹介します。

何が痛みの原因となるのか?

今回の研究では、イタリアの運転手(採掘場、ごみ収集業、公共交通機関)537人の男性を対象に、アンケートと、機器により運転席にかかる振動を評価した研究です。

アンケートでは、以下の内容が聴取されました。


■ 身長や体重などの基本的なデータ
■ 職歴 / 運転歴 / 運転以外の仕事の時間 / 運転中の姿勢
■ 首・肩の痛みの強さ、頻度、期間
■ 仕事の満足度 / 決定権 / サポートが受けられやすいか
■ 精神的な負担(けだるさを感じることが多いか、胃が痛くなることがよくあるか など)

首の痛みに関して

解析の結果、以下の3点が、特に首の痛みと関係している結果となりました。


■ 運転時の振動に対する曝露 (運転時間 × 振動数) の多さ
■ 運転中の姿勢が悪いこと(猫背 / 体をひねった姿勢)
■ 精神的な負担(けだるさ、胃が痛くなる など)

肩の痛みに関して

以下の4点が、特に肩の痛みと関係している結果となりました。
(痛みの頻度・時間・強さのうち2つ以上と関係)


■ 運転時の振動に対する曝露の多さ
■ 重いもの(15kg以上)を持ち運ぶ仕事を45分以上すること
■ 肩より上にハンドルを握る手を置いていること
■ 精神的な負担(けだるさ、胃が痛くなる など)

痛みの原因は振動とメンタルヘルス

今回の研究では、首と肩に関して別々に関係を調査していました。
そのどちらともに関連していた要因としては、下記の2つでした。


■ 運転時の振動に対する曝露の多さ
■ 精神的な負担

振動に長時間曝露されると筋肉や関節、神経に負担がかかるとされています。
今回の研究では、振動が痛みと関連することが分かりました。

しかし、今回の研究は長時間の運転をしている男性に関して考えられております。あくまでもそのような人たちに関する結果です。必ずしもすべての人に当てはまるわけではない点に注意を要します。

では、具体的にどうすれば?

今回の結果として、特に『運転席の振動』や『生活での精神的な負担』が首や肩の痛みと関係している、というものでした。

振動を抑えるためには、定期的なエンジン周辺の点検やタイヤの空気圧の調整が重要です。

また、少し高価ですが、運転席用の振動吸収クッションでも振動を抑えることは可能ですので、試してみてはいかがでしょうか。

一方で、数々の研究を見ると、首や肩の痛みの原因は多種多様であり、複数の要因が積み重なって痛みに繋がっているため、今回の研究結果で、振動がすべての原因と考えないようにしましょう。

その他の要因について知りたいという方は、ぜひ下記の記事もご一読ください。

(痛みについての記事)
慢性的な痛みに関連する重要な心理的要因とは?ー110の研究結果からー
睡眠不足は痛みを感じやすくする可能性がある!

(中塚 清将)


▼ 参考文献
タイトル:A prospective cohort study of neck and shoulder pain in professional drivers.
雑誌名:Ergonomics. 2015;58(7):1103-16. doi: 10.1080/00140139.2014.935487. Epub 2014 Jul 7.
[PMID: 24998325]

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