肩こりと頭痛がひどい!その原因と対策をご紹介!

松井洸 / 理学療法士

肩こりと頭痛の原因と対策

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【記事のポイント】
1. 肩こりに伴う頭痛は緊張型頭痛に多い
2. 首や肩の筋肉のこり、ストレス、運動不足などが原因となる可能性がある
3. 首や肩周りのストレッチ、有酸素運動、職場の作業スペースの環境設定、ストレス解消によって対策が可能

腰痛と並んで、肩こりは日本人に多い症状の一つです。そんな肩こりですが、それに伴う頭痛に悩まされている方も少なくないのではないでしょうか?

ある研究では、頭痛持ちで過去1年間に肩こりを感じている方の割合は約86%で、頭痛持ちでない人において、肩こりの割合は約56%と報告されています(参考文献①)。それだけ頭痛と肩こりを同時に感じている方が多いということになります。

頭痛と言っても様々ですが、肩こりに由来する頭痛は肩こりを解消することで軽減することが期待できます。

本記事では、肩こりで頭痛が起こる原因を筋肉や関節などの面、ストレスやライフスタイルの面から解説、その対策もご紹介します。

肩こりで頭痛が起こる原因

頭痛は、一次性頭痛二次性頭痛に分けられます。

一次性頭痛が明らかに病気に伴うものでないものであり、後に詳しく解説していきます。二次性頭痛は、頭部の外傷によるもの、脳や首の血管に問題があるものなど、何らかの大きな問題によって起こる頭痛のことを指しています。

本記事では二次性頭痛については割愛し、一次性頭痛についてご紹介します。

一次性頭痛は大きく以下のように3つに分けられます。


・片頭痛(へんずつう)
・緊張型頭痛
・群発性頭痛および三叉神経(さんさしんけい)・自律神経性頭痛

この中でも、肩こりと関係の深いものが緊張型頭痛片頭痛と呼ばれるものです。特に緊張型頭痛は、一次性頭痛の中でも最も多い頭痛であり、それだけ悩まれている方が多いことが問題です。

ここからは頭痛が起こる原因を以下の3つの観点からご紹介していきます。


・筋肉による影響
・ストレスによる影響
・ライフスタイルによる影響

筋肉による影響

頭痛が起こる方には、頭蓋骨(ずがいこつ)、首、肩周りの筋肉を押すと痛みを訴える方が頭痛がない方と比べて多く、筋肉の痛みが強いほど、頭痛の頻度や痛みが強くなります。

筋肉を押すと痛みを感じるというのは、筋肉自体に普段から負担となっていることが考えられます。

その要因としては、背中が丸くなり、首が前に出て、頭だけ起こすような姿勢となった結果、首や肩周りの筋肉に負担がかかることが挙げられます。ある研究では、緊張型頭痛の方では頭痛がない方と比べると、上記の姿勢となっている方が多いことがわかっています(参考文献②)。

特にデスクワークやスマホの操作で上記の姿勢となりやすい傾向にあります。

このような姿勢では、以下のように筋肉が負担を受けます。


<伸ばされ続ける>
・首から背中にある板状筋(ばんじょうきん)
・首から肩甲骨の内側にある肩甲挙筋(けんこうきょきん)
・首から背中全体にある僧帽筋(そうぼうきん)
・背中部分の背骨の真横にある脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)


<縮んで緊張が強くなる>
・後頭部の付け根にある後頭下筋群(こうとうかきんぐん)

これによって、長期間筋肉に負担がかかり続けることで痛みが起こります。たとえ、筋肉の負担がなくなったとしても、長期間負担を受け続けると痛みを記憶し、それによって痛みが起こることもあります。(参考文献③)

後頭部の付け根の後頭下筋群は後頭部の頭痛を引き起こします。首から背中の板状筋は耳の後ろから伸びているため、耳周りの側頭筋(そくとうきん)へ繋がり、側頭部の頭痛を引き起こします。

また、後頭下筋群は目の動きとの関連もあり、後頭下筋群の緊張によって目の動きに影響を与え、目の周りの筋肉への負担に繋がり、目の周りからおでこの頭痛を引き起こします。

ストレス的要因

ある研究では、ストレスは頭痛を起こす頻度の高い要因の一つと報告されています(参考文献④)。また別の研究では、約60%がストレスを感じている時、約25%はストレスから解放された時に頭痛を感じていることが明らかになっています(参考文献⑤)。

ストレスの要因には、生活の中の精神的な緊張、疲労感、睡眠の過不足が挙げられます。そして、これらの要因はそれぞれが独立して存在するわけではなく、それぞれが影響し合っています。精神的な緊張が疲労感や睡眠障害を起こしますし、逆もまた然りです。

大切なのは、それらの要因の中でも何が自身の頭痛に影響を与えている要因なのか振り返って考えてみることです。

例えば、疲労感が強いことが思い当たるのであれば、何故疲労感が強くなっているのかを考えるべきです。それが職場での問題か、家庭での問題か、それ以外なのかは人それぞれ違いますので、まずは自分自身を振り返ってみてください。

ライフスタイルによる影響

ある研究では、頭痛と肩こりを感じている方の要因として、運動不足、健康状態の低さの自覚、生活への満足度の低さ、ストレスの高さが関わっていると報告されています。(参考文献⑥)

これらはどれも頭痛に限らず、他の部位の痛みにも関連する要因として挙げられるものでもあり、普段からウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行い、健康意識を高めることが勧められます。

また、一般に女性特有の生理の時に頭痛を感じやすいと言われています。しかし、ある研究では、生理は片頭痛に関連はあるものの、緊張型頭痛との関連は薄く、はっきりとしたことは分かっていません(参考文献⑦)。

肩こりに伴う頭痛を解消する対策

筋肉の緊張に伴う頭痛や運動不足は運動で改善できる部分です。以下の具体的な方法を参照しながら実践してみてください。

腹筋のストレッチ

<目的>
・背中を丸くする要因の一つである腹筋を伸ばす

<手順>
1.うつ伏せとなる
2.肘を立てて、ゆっくりと体を起こす
3.起こせる位置まで体を起こして10秒保持
4.5回程度繰り返す

<ポイント>
腰が浮かないようになるべくお腹は床につける
・可能な方は、肘を伸ばしてさらに体を起こしても良い
・痛みがない範囲でゆっくりと行う

IMG_7878

胸の筋肉のストレッチ

<目的>
・背中を丸くする要因の一つである、大胸筋(だいきょうきん)を伸ばす

<手順>
1.壁に向かい合う
2.手のひらから肘を壁につける
3.つけた手と反対方向へ体をひねる
4.ひねられる位置までひねり、10秒保持
5.左右5回程度繰り返す

<ポイント>
・なるべく肘は浮かないように壁につけたまま行う
・痛みが出ない範囲でゆっくりと行う

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背筋のトレーニング

<目的>
・弱くなりやすい背筋を鍛え、背中を伸ばす
・縮みやすい後頭部を伸ばす

<手順>
1.仰向けとなる
2.肘を立てる
3.肘で床を押し、背中を反らすように力を入れる
4.10回程度繰り返す

<ポイント>
あごは引いて行う
息を吸いながら行う
・痛みが出ない範囲でゆっくりと行う

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有酸素運動

有酸素運動も肩こり・頭痛には効果的です。ある研究では、肩こりと頭痛を持つ方に対して週3回、45分の有酸素運動を実施したグループは、通常の生活を送ったグループと比較して、頭痛が起こる頻度、痛みの強さや痛みが続く時間、肩こりの程度が減少したと報告されています(参考文献⑧)。

運動不足が痛みを起こす要因の一つとなるので、痛みが軽くなった後も継続的に運動を習慣づけていきましょう。

<目的>
頭痛の軽減(参考文献⑥)
精神的ストレスの解消
・痛みを抑制するドーパミンの分泌促進

<手順>
自転車やウォーキングなどご自身の実施しやすい形の運動(少し息が弾む程度の運動)

<ポイント>
・自分の体力に合わせて、可能な範囲の負荷量で始める
・疲労感が強い場合は無理せず、休憩を挟みながら実施する
・疲労感は自覚的にやや疲れるくらいの負荷量を目安に実施する

デスクワーク時の環境設定

<目的>
・自らの体にあった最適なモニター位置、マウス・キーボードの位置を修正して、首・肩への負担を減らす

<方法>
モニター位置は高すぎず、低すぎず、見上げたり見下ろしたりせず、目線の延長線上に設定
マウス・キーボードの位置は近すぎず、遠すぎず、軽く肘が曲がる程度で肘が浮かないように設定

ストレスの対策

<目的>
・ストレスに対処する

<方法>
上司や同僚に仕事内容のサポートを得られるよう相談する
・仕事内容の優先順位を整理し、一つずつこなしていく
・運動や趣味など、自分なりのストレス解消法をみつける

薬や漢方

日本頭痛学会の慢性頭痛の診療ガイドラインによると、薬による治療は、消炎鎮痛剤が主体となります(参考文献⑨)。炎症、痛みを和らげる効果が期待できます。

ただし、副作用として、胃腸が荒れる、貧血気味となる可能性もあるため、薬の過使用には十分な注意が必要です。また、妊娠中の女性が薬を服薬する場合、安全性の面から消炎鎮痛剤は使用しない場合もあります。

ちなみに、漢方に関しては、まだ十分な科学的根拠が示されていません

薬を服薬する場合は、医師の診断を受けたうえで、用法、用量など、医師からの指示を仰いで服薬することが望ましいです。

受診をした方が良い場合

慢性頭痛の診療ガイドラインによると、以下の症状に当てはまる場合は緊急性が高い場合があるとしており、受診をして専門医の指示を仰ぐのが良いでしょう(参考文献⑨)。


・突然の頭痛
・今まで経験したことがない頭痛
・いつもと様子の異なる頭痛
・頻度と程度が増していく頭痛
・50歳以降に初発の頭痛
・手足のしびれや脱力感を伴う頭痛
・がんや他の病気を持っている場合
・精神的な症状がある場合
・発熱を伴う頭痛

いずれかの症状に当てはまる場合は、自分で判断せずに受診することを強くお勧めします。

まとめ

今回は肩こりと頭痛との関係について解説しました。

普段、肩こりと頭痛で悩んでいる方は、自分の症状に当てはまるかもしれない要因を理解した上で、対策をしていきましょう。

また、「あなたの肩こりを慢性化させる原因とは?」にて、肩こりの要因を様々な視点から解説していますので、そちらも合わせてお読みください。

訂正(2018/07/17)

「肩こりと関係があるものが緊張型頭痛」という表現に対して、それ以外にも片頭痛も肩こりと関係しているという指摘をいただきましたので、編集部による文献の再レビューを実施し、下記の表現に変更いたしました。今後も我々は正しい情報の発信に対して責任を持ち、良質な記事の配信をより一層努めてまいります。

【訂正前】

この中でも、肩こりと関係のあるものが緊張型頭痛と呼ばれるものです。緊張型頭痛は、一次性頭痛の中でも最も多い頭痛であり、それだけ悩まれている方が多いことが問題です。

【訂正後】

この中でも、肩こりと関係の深いものが緊張型頭痛片頭痛と呼ばれるものです。特に緊張型頭痛は、一次性頭痛の中でも最も多い頭痛であり、それだけ悩まれている方が多いことが問題です。

(松井 洸)


▼ 参考文献①
タイトル:Prevalence of neck pain in migraine and tension-type headache: a population study.
雑誌名:Cephalalgia. 2015 Mar;35(3):211-9.
[PMID: 24853166]
▼ 参考文献②
タイトル:Musculoskeletal physical outcome measures in individuals with tension-type headache:a scoping review
雑誌名:Cephalalgia.2013 Dec;33(16):1319-36
[PMID: 23804285]
▼ 参考文献③
タイトル:Bendtsen L:Central sensitization in tension-type headache–possible pathophysiological mechanisms
雑誌名:Cephalalgia.2000 Jun;20(5):486-508
[PMID: 11037746]
▼ 参考文献④
タイトル:the triggers or precipitants of the acute migraine attack
雑誌名:cephalalgia.2007 May;27(5):394-402.Epub 2007 Mar 30.
[PMID: 17403039]
▼ 参考文献⑤
タイトル:precipitating factors in migraine a retrospective review of 494 patients
雑誌名:Headche.1994 Apr ;34(4):214-6
[PMID: 8014037]
▼ 参考文献⑥
タイトル:Level of physical activity,well-being,stress and self-rated health in persons with migraine and co-existing tension-type headache and neck pain.
雑誌名:J headache pain.2017 Dec;18(1):46.doi:10.1186/s10194-017-0753-y.Epub 2017 Apr 18.
[PMID: 28421374]
▼ 参考文献⑦
タイトル:Impact of sex hormonal changes on tension-type headache and migraine :a cross -sectional population-based survey in 2,600 women.
雑誌名:J headache Pain.2012 oct;13(7):557-65.doi:10.1007/s10194-012-0475-0.Epub 2012 Aug 31.
[PMID: 22935969]
▼ 参考文献⑧
タイトル:The effects of aerobic exercise for persons with migraine and co-existing tension-type headache and neck pain.A randmized,controlled,clinical trial.
雑誌名:cephalalgia.2018 Jan 1:333102417752119.doi:10.1177/0333102417752119.[Epub ahead of print]
[PMID: 29333870]
▼ 参考文献⑨
タイトル:慢性頭痛の診療ガイドライン2013

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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