肩こりに良くない寝方・おすすめの寝方を徹底解説!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター梶原 文規 / 理学療法士/ 修士号(保健医療学)/ 呼吸療法認定士/ 健康予防管理専門士

肩こりと寝方

(c) hiro - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 寝る姿勢は人によって異なるが、その姿勢が肩こりの原因にもなりうる。
2. 仰向け、横向き、うつぶせ寝などの寝方があるが、各々特徴がある。
3. 肩こり対策として、姿勢の改善や寝具の変更も良い。

「肩や首が痛くて寝付けない・・・」「仰向けで寝るのがツライ・・・」「肩や首が痛くて、朝起きるのがツライ・・・」などでお困りの方は多いのではないでしょうか?

大変多くの国民が肩こりを経験し悩まれていますが、Kimらの報告によると過去一ヶ月間における不眠症状の方が21.4%いると言われています(文献①)。

今回の記事では、肩こり、かつ、睡眠に悩んでおられる方必見の、肩こりと睡眠の関係、肩こりや首の痛みになりにくい寝方について解説していきます。

肩こりと寝方は関係あるのか?

肩こりと睡眠・寝方に関する見解をいくつかご紹介します。

睡眠と肩こりに関するものでは、睡眠不足が肩こりのリスクを高めるという報告(文献②)や、日中に眠気がある子供は肩こりがある者が多いという報告(文献③)があります。

次に寝方に関してですが、他の疾患や症状(睡眠時無呼吸症候群や肩痛)に関する報告はいくつかありますが、寝方と肩こりとの関連の報告はほとんどありません

つまり、睡眠が肩こりのリスクとなる可能性は指摘されていますが、睡眠中の寝方がそのものが肩こりのリスクになるという報告は乏しく、現状寝方によって筋肉にかかる負担が変わる可能性があるということまでしか明らかとなっていないと言えるでしょう(今後の研究でこの関係性が明らかにされる可能性はあります)。

肩こりの人の姿勢の特徴

肩こりの人は下図のように頭部が前方にくるような姿勢をとっていることが多いです。骨盤から下の部分は左右の図で異なりますが、上半身は同じで、頭の部分が前にきています。

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(c) Back Tech Inc.

このような姿勢の方は、胸の筋肉(大胸筋)が縮んで硬くなっており、首の後ろから肩にかけての筋肉(僧帽筋)は伸びて硬くなっている傾向にあります。縮んだ筋肉は伸ばす、伸びた筋肉は縮める、というストレッチをする為に横になると無意識に両腕を上げるバンザイ姿勢をとる人が多いです(下図)。

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(c) Back Tech Inc.

この姿勢をとることで肩こりが楽になる人も多くいますので、肩こりの方はお試し下さい。

どの向きで寝るのが良いのか?

結論から述べると、どの向き寝るのが良いのかというのは人によって違う、ということになります。人は寝る時、その人にとっての「お気に入り」の姿勢となり、それは人によって異なります。

睡眠時間は人によって異なりますが、1日6~8時間とすると、1日の約1/4~1/3が睡眠に費やしていることになります。この多くの時間の姿勢がその人にとって良くなければ身体に何らかの影響があってもおかしくありません。

今回は睡眠時の姿勢として多い仰向けと横向き、そしてまれではありますが、うつ伏せ姿勢についても書いていきます。

睡眠時の姿勢の特徴

ここからは各姿勢の特徴を述べていきますが、クラインフォーゲルバッハ運動学という考え方を織り交ぜています(文献④)。クラインフォーゲルバッハ運動学の中で、「ブリッジ」と「テンタクル」という考え方があります。

以下の図のようにブリッジでは床を囲む部分の筋の緊張が高くなりやすく、テンタクルでは床から離れた上側の筋の緊張が高くなりやすいと言われています。

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(c) Back Tech Inc.

安静時の横になった姿勢では、主にブリッジの考えを使用しています。つまり、横になった姿勢は床から浮いている部分の筋肉が硬くなりやすいということになります。

仰向け(背臥位)の特徴

仰向けは下の写真のように空を見上げるような姿勢です。仰向けは背面の筋肉の緊張が高まりやすい姿勢です。特に首、腰、膝裏は床と体の間に隙間が空いた状態になる浮いている 部分のため筋肉が硬くなりやすいです。

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(c) Back Tech Inc.

<メリット>
■脱力できる
■背骨が中間位(背骨にかかる負担が少ない状態)になりやすい
■消化系のトラブルが起こりにくい

<デメリット>
■首の角度が不適切だといびきや無呼吸になりやすく、特に睡眠時無呼吸症候群の人には推奨されない(文献⑤)
⇒ 枕の高さを調整するか、横向きで寝る。睡眠時は脱力している為、舌が喉の方がに落ちる傾向にあります。舌が気道を狭くしてしまうといびきや無呼吸になりやすいため、枕は少し高い方が良いです。

■腰椎前弯(腰が前に反った姿勢)になりやすく、腰を反ると腰が痛くなりやすい方や脊柱管狭窄症の方にとってはツライ姿勢になる。
⇒ 下の写真のように膝を立てるか膝の下にクッションを入れると腰が楽になります。

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(c) Back Tech Inc.

横向き(側臥位)の特徴

側臥位とは横向き姿勢のことで、下の写真のような姿勢のことで、胎児のポーズとも言われています。横向きは、下側の脊柱起立筋(背骨の横の筋肉)が硬くなりやすいと言われています。実際、横向きになった人の下側の背中の筋肉を触ってみると分かります。

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(c) Back Tech Inc.

<メリット>
■腰への負担が少ない
■上側の胸郭(肋骨・胸骨・鎖骨部分)が広がりやすい
■下側の横隔膜呼吸(腹式呼吸)がやりやすくなる
■左側を下にすると、消化系のトラブル解消につながる

<デメリット>
■下側の肩関節に体重がかかる為、肩関節への負担が大きく肩の痛みの要因にもなる(文献⑥, ⑦)。
肩の下にタオルを入れたり、肩を前に出すと、肩にかかる負担が軽減できます。

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(c) Back Tech Inc.

もしくはクッションや枕などを抱えると肩が前に出るので、肩にかかる負担が軽減できます。

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(c) Back Tech Inc.

■筋緊張(筋肉の硬さ)の左右差ができやすいため、姿勢が歪みやすい(不適切な枕、マットレスの場合)
⇒ 枕の高さの調整、腰の部分(くびれ部分)にクッションやタオルを入れる。枕の高さは頭~背骨がまっすぐになるようにセットすると良いです。

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(c) Back Tech Inc.

■下側の肩甲帯が挙上しやすい(肩をすくめる動き)

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(c) Back Tech Inc.

普段の姿勢で、一方の肩が挙がっている人は、その側を下にして寝る習慣がある可能性があります。下の写真のように、首の形状に沿ってタオルなどで高さを設定するのも良いと思います。頭~背骨にかけて一直線になっているのが理想です。

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うつ伏せ(腹臥位)の特徴

うつ伏せは下の写真のような床にお腹側がくる姿勢です。これは人によっては、腹筋や足の付け根の前側の筋肉が硬くなりやすい姿勢です。

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<メリット>
■胸郭が広がりやすいため、呼吸効率が上がる
■いびきや睡眠時無呼吸は起こりにくい

<デメリット>
首が一方に捻じれる状態が続くため首を痛めやすい
⇒ ドーナッツ枕を使用する。
■腰への負担が大きい
⇒ お腹の下に枕を入れる。

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寝返りの回数

寝返りは20分に1回くらいのペースで行われると言われております。日中、皆さんも同じ姿勢を続けていると苦痛を感じると思いますが、寝返りの回数が少ない人は、寝ている間同じ姿勢を続けていることになるので身体に負担がかかっています。寝返りが少ない人の原因として考えられるのは、

1. 身体の問題
2. 寝具の問題

です。

① 身体の問題

身体の問題に関しては身体の柔軟性が低下していたり、姿勢の左右差が著明であったり、体幹の筋力が低下していると寝返りが起こりにくいです。

この解決策として、2つの運動をご紹介します。

1. 身体を捻じるストレッチ

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(c) Back Tech Inc.

<写真>仰向けで肩を床につけて膝を横に倒すストレッチ

【ポイント】
・肩が浮かないようにする。
・捻じって20秒程キープする。
・息を止めない。
・左右両方行う。

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(c) Back Tech Inc.

<写真>横向きから上半身を捻じり床につけるストレッチ

【ポイント】
・足が動かないようにする。
・捻じって20秒程キープする。
・息を止めない。
・左右両方行う。

2. 身体を捻じる筋トレ

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(c) Back Tech Inc.

<写真>膝を立てた仰向けで反対側の膝に手を伸ばす運動

【ポイント】
・足が浮かないようにする。
・捻じって数秒保持したら、ゆっくり仰向けに戻る。
・息を止めない。
・左右両方行う。回数は少し疲れる程度。

② 寝具

次に寝具について簡単に述べたいと思います。

枕の高さはその人の首の形状に合わせるのが良いです。下の写真のように首の隙間を埋めるように、タオル(オレンジの部分)などを使用するのがオススメです!

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(c) Back Tech Inc.

枕の素材は、高反発が良いとされています(文献⑧)。その理由は柔かすぎると寝返りを妨げる要因になるためです。

マットレス

マットレスも枕と同様に柔らすぎると寝返りを妨げる要因になるため、適度な硬さが良いです。しかし、寝返りが行えないレベルの方(難病や脳卒中後遺症の方など)に対しては床ずれのリスクを考えて、柔らかいものを選択するのが良いです。

布団

布団は重すぎると寝返りを妨げる要因になる為、軽いものが良いです。また、適温の方が快眠につながる為、布団のかけすぎや、かけなさすぎにも注意が必要です。

生活リズムも重要!

自律神経というのをご存知でしょうか?

自律神経は、緊張・興奮時に働く交感神経リラックス時に働く副交感神経があります。一般的に朝方~日中は交感神経が優位になり、夕方~夜間は副交感神経が優位になります。このリズムを崩さないことが快適な睡眠には必要になります。

光は自律神経および神経内分泌反応を調節するとともに睡眠を調節すると言われています(文献⑨)。日中は光を浴びて、夕方からは強い光を浴びないことが生活リズムを作る為に必要になります。

また、ストレスは交感神経が優位になる為、夕方~夜間に嫌な仕事や慣れない仕事を行うこと、難しい考え事をするのは生活リズムの妨げになる可能性があります

交感神経は血管を収縮し、副交感神経は血管を拡張する作用がある為、長時間の交感神経優位は血行不良となり肩こりの原因にもなりえますよって、自律神経の機能障害が肩こりの原因になっている可能性もあるということです。

自律神経を整える手段の一つとして、生活リズムを整えることを行ってみると良いですよ!

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

肩こりの原因は様々ありますが、その一つとして睡眠が挙げられます。睡眠に関するものとして、寝方を変えることで、首や肩にかかる負担を軽減できる可能性があります。

最後に本記事の内容を箇条書きにまとめます。

■ 肩こりと寝方の関連ははっきりしていない
■ 肩こりの人の良い寝方は人によって異なるため、自分の身体にあった寝方が良い
k■ 寝具の工夫をすることで良い姿勢の改善や寝返りの促進に繋がる
■ 生活リズムを整えて良い睡眠をとることが、肩こりの改善にも繋がる

(梶原文規)


▼ 参考文献①
タイトル:An epidemiological study of insomnia among the Japanese general population.
雑誌名:Sleep. 2000 Feb 1;23(1):41-7.
[PMID: 10678464 ]
▼ 参考文献②
タイトル:Are job strain and sleep disturbances prognostic factors for neck/shoulder/arm pain? A cohort study of a general population of working age in Sweden.
雑誌名:BMJ Open. 2014 Jul 8;4(7):e005103.
[PMID: 25005596]
▼ 参考文献③
タイトル:The prevalence of neck-shoulder pain, back pain and psychological symptoms in association with daytime sleepiness – a prospective follow-up study of school children aged 10 to 15.
雑誌名:Scand J Pain. 2018 Jul 26;18(3):389-397.
[PMID: 29794264]
▼ 参考文献④
タイトル:クラインフォーゲルバッハの運動学
雑誌名:理学療法学 第21巻第8号:571-575(1994)
▼ 参考文献⑤
タイトル:The Effect of Body Position on Physiological Factors that Contribute to Obstructive Sleep Apnea.
雑誌名:Sleep. 2015 Sep 1;38(9):1469-78.
[PMID: 25761982]
▼ 参考文献⑥
タイトル:Association between the side of unilateral shoulder pain and preferred sleeping position: a cross-sectional study of 83 Danish patients.
雑誌名:J Manipulative Physiol Ther. 2012 Jun;35(5):407-12.
[PMID: 22608285]
▼ 参考文献⑦
タイトル:Sleep position and shoulder pain.
雑誌名:Med Hypotheses. 2010 Apr;74(4):639-43.
[PMID: 20036076]
▼ 参考文献⑧
タイトル:Pillow use: the behavior of cervical stiffness, headache and scapular/arm pain.
雑誌名:J Pain Res. 2010 Aug 11;3:137-45.
[PMID: 21197317]
▼ 参考文献⑨
タイトル:Light and Cognition: Roles for Circadian Rhythms, Sleep, and Arousal.
雑誌名:Front Neurol. 2018 Feb 9;9:56.
[PMID: 29479335]

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