肩こりに対するマッサージの効果や方法を理学療法士が徹底解説!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター諸麥友博 / 理学療法士 / 第1種衛生管理者 / 作業管理士

肩こりに対するマッサージ

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【記事のポイント】
1. 肩こりにマッサージは短期的に効果的な可能性がある!
2. なぜマッサージしても、肩こりはなかなか治らないのか?
3. 肩こりを改善しやすくするマッサージのポイント

肩こりで困っている方は世の中にたくさんいます。ひどい肩こりをお持ちの方は、いままでに色々な対策を試みたことがあるのではないでしょうか。

今回のコラムでは、肩こりに対してマッサージは効果があるのか、またマッサージのポイントについて解説していきたいと思います。

ネットで調べたら出てくる情報、まわりの方々が教えてくれる情報、あなたにとって何が正解でなにが間違いなのか、このコラムを通して少しでも力になれればと思います。

肩こりに対するマッサージの効果

先に結論から述べますと、ある研究によると、現時点では、マッサージは、何もしない場合や通常のケアなどと比べて、短期的に肩こりや首の痛みを改善する効果があるされています。しかし、運動や理学療法、鍼などと比較すると、それらの対策よりも大きく改善するという訳ではないという結果です。また、日常生活動作などの身体機能そのものを改善する効果はありません(参考文献①)。

しかし、この研究ではマッサージが有効という論文ばかりがまとめられ、効果なしとなった研究が公表されなかった可能性が高く、それによりマッサージが有効と判定された可能性が否定できないため、さらなる研究結果の蓄積により確信度の高い結果が得られる必要があります。

肩こりのある方なら一度は肩を揉んでもらったことがあると思います。肩を揉んでもらって気持ちよかった、揉んでもらった後は少しの間でも痛みがとれたり、楽になったという経験をしたことのある方は多いのではないでしょうか。

では、なぜ気持ちいいのか、なぜ少しの間でも痛みがとれたり楽になったりするのか、その部分を解説していきます。

筋肉が硬くなると肩こりが生じる!

肩が凝るというのは、基本的に筋肉の硬さが原因で起こる症状がほとんどです。筋肉が硬くなることで、筋肉はうまく働けず、そのせいで余分に力も必要になります。硬さのせいで余計に疲労を蓄積しやすくなり、その結果重たく感じたり、痛みを感じたりするようになります。

また、筋肉が硬くなることで血液の巡りも悪くなります。血液は筋肉を動かすために必要な酸素を供給する役割があり、さらに筋肉に溜まった老廃物を流してくれる役割もあります。血液の巡りが悪くなれば、筋肉がうまく動かせなくなるだけではなく、疲労の回復も遅くしてしまうのです。

つまり、筋肉の硬さがとれれば(ほぐれれば)、筋肉はうまく働けるようになり、血が巡ることで疲労の回復も促進できるわけです。マッサージされた部分が軽く感じるようになるのは、マッサージにより筋肉がほぐれて動きやすくなるから、ほぐれたことにより血の巡りが良くなるから、ということになります。

もちろん、みんながみんな気持ちいい、楽になるわけではありません。中には逆に肩や腕が重くなったり、首を動かすのが辛くなったりする方もいるでしょう。

これは、全員にマッサージが効くわけではないからです。では、マッサージが効くタイプの肩こりと、そうでない肩こりは何が違うのか、簡単に説明させていただきます。

マッサージが効くタイプの肩こり

マッサージが効くタイプの肩こりは先程も説明させていただいた通り、筋肉の疲労、つまり筋肉の硬さが原因で起こっているタイプの肩こりです。

疲労により筋肉が硬くなっているため、この硬さをマッサージで取り除けば、肩こりは楽に感じられるようになり、痛みも和らぐことが多いです。

マッサージが効かないタイプの肩こり

マッサージが効かないタイプの肩こりは、首や肩の筋肉が仕方なく硬くなっている場合です。

この“仕方なく”というのは、頚椎(背骨の首の部分)が不安定で、その不安定さを安定させるために筋肉が硬くなっているから、という意味です。

筋肉は硬くなっているため、マッサージされると気持ちよく感じるかもしれませんが、終わった後に逆に首から肩にかけて重だるくなったり、元々の状態よりも悪くなってしまう方が多いです。

この場合は、マッサージで緩めるよりもトレーニングなどで筋肉を強くするほうが改善への道のりは近くなります

なぜマッサージだけで肩こりが治らないのか?

ひどい肩こりを感じている方はマッサージを経験している方が多いと思います。そんな方々の中でも、マッサージされてもそのときだけ良くてすぐに戻る、またすぐに肩こりを感じるという人は多いのではないでしょうか。

肩こりは治らないものだと、あきらめていませんか?

そんなことはありません。マッサージによって肩こりが治っていないのではなく、マッサージによってせっかく症状が落ち着いても、再び肩こりが起こる原因となっている姿勢や動作をとってしまっているから治っていないように感じるのです。

つまり、治っていないわけではなく、治ったそばからすぐに肩こりを起こしてしまった、という感じです。

肩の筋肉(ここでは僧帽筋上部や肩甲挙筋など, 下図参照)には頭が落ちないように支える役割と、腕が地面に落ちないように肩甲骨を介して引っ張っておく役割があります。

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これはなかなかの重労働であり、カラダの重さの約20%(体重50キロの方でおよそ10キロ)を占める頭と腕を、肩の筋肉は常に支え続けなければいけません。

例えば、スマートフォンを操作する際、ほとんどの方が画面を覗くために頭を下げます。このとき、肩の筋肉(主に僧帽筋上部)は、頭が前に落ちないように後ろから引っ張っておかなくてはいけません。洗い物や料理、デスクワークしているときも同じことが言えるでしょう。

腕はというと、ただ肩からぶら下がっているだけではなく、それを持ち上げたり振り回したりして使わないといけません。このとき肩の筋肉(ここでは僧帽筋上部や菱形筋群)は、腕が飛んでいかないように常に肩甲骨を引っ張っておかなければなりません。また、スマートフォンを操作するときなどの指を使う際には、腕を常に空中に保持しておかなくてはいけないため、このときも肩の筋肉は常に働かなければいけません。

ここで知っておいていただきたいことは、意外と肩の筋肉は酷使されているということで、1回や2回のマッサージだけでは完璧によくなるということは難しいということです。

だから、人からマッサージしてもらうことに加え、自身でもこまめにマッサージすることが大切であり、少しでも肩の筋肉をいたわることが肩こり改善の近道になるでしょう。

肩こりを改善しやすくするマッサージのポイント

さて、肩こりをマッサージしてもらう際、肩を直接揉んでもらうことがほとんどだと思います。

しかし、姿勢の特徴によっては肩を直接マッサージしてもらうよりも違う場所をマッサージしてもらうことで、より肩こりを改善しやすくするポイントがあります。

なで肩の場合

なで肩の方の姿勢における特徴は、肩甲骨が下に下がってしまっていることです。それによって、肩甲骨から首につく筋肉(ここでは僧帽筋上部や肩甲挙筋)がずっと伸びっぱなしになってしまうことで筋肉がはやく疲労してしまい、肩こりを起こしやすいという特徴があります。

つまり、肩甲骨が上に上がれば肩こりは軽減されやすくなるのですが、肩甲骨・背中の筋肉(僧帽筋下部線維や前鋸筋下部、広背筋など)が硬くなっていると、肩甲骨は下から引っ張られ、上がりにくくなってしまいます。

そこで、肩甲骨から下の背中についている筋肉を先に柔らかくすることで肩のマッサージがより効果的になるわけです。

リュックサックを背負ったときに、すぐにずれ落ちててくる方はこの姿勢であることが多いので、意識してみても良いかもしれません。

具体的にマッサージする場所としては、肩甲骨の内側から腰にかけて(僧帽筋下部:下写真の赤部分)、肩甲骨の下あたりから腰にかけて(広背筋:下写真の青部分)、脇腹(前鋸筋下部:下写真2枚目)の3つです。

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脇腹に関しては、手を頭の上に置いて脇を開いた状態で(脇を開くことで筋肉が伸びるのでマッサージが効きやすくなるため)、反対の手で自分でマッサージすることが可能です。

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肩甲骨の内側や下から腰にかけては中々自分でマッサージすることは難しいので、マッサージ機(マッサージチェアなど)に乗る際や人にマッサージしてもらう際には、その部分を意識してみると良いかもしれません。

まき肩の場合

まき肩とは、左右の肩甲骨が背骨から離れてしまい、体が丸まったような姿勢を言います。

自身でチェックする方法としては、壁に背中をつけて立ったときに両肩の後ろ側と壁に大きな隙間ができるかで判断できます。このとき大きく隙間ができる方は、まき肩であることが多いです。

なで肩のときと同じように、まき肩という姿勢によって肩甲骨から首につく筋肉の負担になり、肩こりが軽減されにくくなります。まき肩の場合は、胸側の筋肉(ここでは大胸筋や小胸筋、烏口腕筋など)が短縮したままで硬くなってしまいがちになります。そのせいで肩甲骨が後ろに引きにくくなり、肩こりが軽減されにくくなってしまうのです。

これを解消するには、胸側の筋肉をマッサージし、柔らかくすることが重要です。胸の筋肉の柔軟性が改善することで、肩甲骨が後ろに引きやすくなり、肩こりを軽減しやすくできるのです。

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近年ではスマートフォンの発展により、この姿勢になりやすくなっていると思われます。また、仕事で主にデスクワークをされている方も意識してみても良いかもしれません。

マッサージ機もうまく活用しよう!

人にマッサージしてもらうだけでは間に合わない、自分でマッサージするのは手がしんどいという方は多いと思います。そんな方はぜひともマッサージ機を活用してください。

マッサージ機にもいろいろと種類が存在します。首を挟むようにマッサージするもの、肩に引っ掛けてマッサージするもの、椅子型のマッサージ機もあれば、振動でマッサージしてくれるものもあります。何がいいかは人それぞれの好みもありますので、実際に試してから購入されることをおすすめします。

ここでは、テニスボールを使ってできる簡単手作りマッサージ機を紹介しておきたいと思います。

下写真のように靴下(ロングソックス)の先まで2つのテニスボールを入れて動かないように結びます。これを仰向けで寝て、下写真2枚目のように首に当ててマッサージするような形で使います。

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(c) Back Tech Inc.

気持ち良い程度で寝る前に実施することをおすすめします。枕元に置いておいて、いつでもできるようにしてみてはいかがでしょうか。

肩こりをよくするためにマッサージをうまく活用しよう!

これまで肩こりにマッサージが効くというお話をさせていただきましたが、お気付きの通りマッサージだけで良くなることは少ないです。

マッサージは一時的な症状の改善には効果的ですが、根本から原因を取り除くにはマッサージだけでは不十分です。

根本的な対策をしていく上では、ストレッチや筋力トレーニングが重要になってきます。根本から原因を解決していきたいという方は、過去の記事をご覧ください。(『肩こりを解消する効果的な簡単ストレッチを理学療法士が徹底解説!』、『その肩こり、枕が原因かも?自分にあった枕の選び方』など参照)

痛みや張りが強い場合には、まずはマッサージで筋肉をほぐすことで症状を改善し、そこからストレッチや筋力トレーニングも行い、根本的な肩こり解消を図っていくというのが良いでしょう。

(諸麥 友博)


▼ 参考文献①
タイトル:Massage therapy for neck and shoulder pain: a systematic review and meta-analysis.
雑誌名:Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:613279. doi: 10.1155/2013/613279. Epub 2013 Feb 28.
[PMID: 23533504]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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