肩こりに薬は効くの?薬の効果と副作用を解説

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター梶原 文規 / 理学療法士/ 修士号(保健医療学)/ 呼吸療法認定士/ 健康予防管理専門士

腰痛と薬

(c) cassis - Fotolia.com

【記事のポイント】

1.薬には処方薬と一般医薬品があるが、副作用や飲み合わせに注意する必要がある。
2.現在、肩こりに効く薬は明確には示されてはいない。
3.薬だけに頼るのではなく、薬とうまく付き合うというスタンスが大事。

肩こりがつらいけど横になれないマッサージに行けないストレッチを行える状況じゃない、このような状況ありませんか?

このような時、薬を使うという選択肢があります。薬のメリットは比較的即効性があるという面です。

薬は身体に良くない、薬は根本的な解決にならない、などの意見もありますが、生活をする上で薬が重宝する場合もあります。使用方法をしっかりと守れば、薬は生活の助けになります。

そのためにも、薬に対する知識を少しでももっておくことが重要になります。

肩こりに薬は効く?

現時点で、肩こりに限局した薬の効果に関する明確な報告はほとんどありません。また、漢方薬もしばしば使用されることがありますが、こちらも明確な報告はありません。

慢性疼痛治療ガイドラインにおいて、運動器疼痛(筋肉や骨などに起きる痛み)に対する薬物療法について言及されていますが、その元となった参考文献の多くは腰痛や変形性膝関節症であり、肩こりを含む頸部痛(首〜肩にかけての痛み)の文献は乏しいという現状があります(参考文献①)。

つまり、現時点で、肩こりに対する薬の効果は、強い根拠をもって言及できるレベルではないと考えるのが妥当かもしれません。

薬に関する基本知識

薬を服用する際には、薬に対する正しい知識を持っておくことが重要です。ここからは薬の基本的な知識について解説していきます。

薬の分類

処方薬は病院に受診しないともらえない薬になるため、処方薬や受診した医師の判断になりますが、首の痛み、頭痛、肩の張りなどで整形外科を受診すると処方されることがあります。薬は処方薬(病院で出される薬)一般用医薬品(お店で買える薬)があります。
ただし、薬の処方はあくまで医師の指示なので、処方されない場合もありますので予めご了承ください。

一般用医薬品は、安易に入手することができるため、緊急時には重宝します。

具体的な商品名までの言及はここでは控えますが、肩こりに効くと書かれている薬は存在します。

一般用医薬品は、第1~3類医薬品に分類されており、第1類は副作用や相互作用(複数の薬を使用する際の相性の事)に注意が特に必要、第2類は1類よりはリスクは低いがまずまず注意が必要、第3類はそれほど注意しなくても良い、とされています。

■  第1類医薬品
    薬剤師の説明と許可が必要。
■   第2類医薬品
    薬剤師の許可は不要。
■   第3類医薬品
    薬剤師の許可は不要。

一般用医薬品のパッケージを見てみると、何類かの記載がありますのでご確認ください。

【一般医薬品使用時の注意点】
頻度は少ないですが、一般医薬品でも副作用が起こる場合があります。身体に異変を感じたら主治医か薬剤師にご相談下さい。

また、併用注意とされているものがありますので、服薬されている方は購入前に薬剤師に相談することをお勧めします。 

薬はどのように体内を回るのか?

一般的に薬は口から飲むか、皮膚に貼るかに分かれますが、まずは口から飲んだ場合、どのように全身に回るかを下図で説明します。
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薬が口から体内に入ると、小腸から吸収されて血管を通り肝臓まで行き、肝臓を通り全身に回り身体の各組織の細胞へ分布されます。そして再度肝臓で分解(代謝)されて、腎臓に送られて尿として排泄されたり、便として排泄されます。

湿布(貼付薬)は下図のように口から飲む薬と違って、小腸と肝臓を経由する部分が省かれ、皮膚から浸透し血管に吸収されます。

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鎮痛薬の使い方について

肩こりに対する薬の代表的なものが鎮痛薬になります。

WHOが提唱してるがん性疼痛に対する薬物療法の考え方は以下の図のように3段階となります(日本緩和医療学会 緩和医療ガイドラインより)が、肩こりで薬を用いる場合は第1段階の非オピオイド鎮痛薬(非ステロイド性消炎鎮痛薬(ロキソニンなど)、アミノフェノン)を使用するのが一般的です。

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飲み薬と湿布薬のそれぞれの特徴

飲み薬について

内用薬※1(内服薬)と呼ばれているもので、口から摂取する薬のことです。口から摂取して小腸を経由して吸収されるため、薬はじっくり全身に回ります。

利点臭いがしないこと、皮膚トラブルがない強い薬が服用可能という点です。欠点は、胃腸障害になる可能性がある、副作用が出る可能性があるという点です。

多くの内服薬は食前、食後、食間というように食事の時間に合わせて飲みます。ちなみに食間とは、食事中ではなく食後2~3時間後のことを指します。

飲む際は、水で飲むことが推奨されています。

※1【内用薬の種類】
①液剤:シロップの薬など
②散剤、顆粒剤:粉薬
③錠剤
④カプセル剤

湿布について

湿布は肩こりでも使用される方も多いのではないでしょうか?湿布は外用薬※2(貼付薬)と呼ばれており、患部に貼るもので、処方薬、一般用医薬品共に世に出ている薬となります。

利点副作用が少ない事と、胃腸障害がない事、飲み薬と異なり食事に関係なく使用できる点です。ただし欠点としては皮膚がかぶれる可能性があります。

○ 湿布(貼付薬):冷湿布、温湿布共に消炎鎮痛作用がありますが、冷湿布はメントール等の例成分が含まれており、温湿布は温感のあるトウガラシエキス等が含まれております。
冷湿布は炎症所見などがある時に使用し、温湿布は筋肉がこわばっているような時に使用します。

○ テープ剤効果は湿布と同じですが、湿布に比べて剥がれにくいものが多いです。

※2【外用薬の種類】
①座剤:肛門や膣から挿入
②点眼剤
③パップ剤、プラスター剤:湿布など
④軟膏剤:塗薬
⑤エアゾール剤:点鼻薬など

肩こりになる可能性のある薬

始めに述べますが、副作用で肩こりになるというのはまれであります。

薬には主作用と副作用がありますが、副作用は個人差があります。また、薬の分解や排泄に関与している腎臓と肝臓の機能が低下していると副作用が出やすい傾向にあります。よって、腎臓と肝臓の機能が低下している人は要注意かもしれません。

筋肉の線維が壊死する病気により肩こりのような症状が引き起こされることがあります。これを横紋融解症と言い、骨格筋(筋肉)の融解や壊死により筋肉の成分が血中へ流出た病態です。

以下の人は、横紋筋融解症を疑ってみても良いと思います。

①   薬の変更、もしくは薬の増量後に肩こりのような症状が現れた
②   腎臓と肝臓に問題がある
③   肩こりだけでなく他の部位の筋肉痛や全身倦怠感がある

横紋筋融解症の発症する原因は、遺伝、毒素、筋肉の圧迫などありますが、薬による影響もまれにあると言われています。

以下に横紋筋融解症になる可能性のある薬を紹介します。

処方薬(病院で出される薬)

■  高脂血症の治療薬
高脂血症で使われるMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系)というものが副作用で横紋筋 融解症になるという報告があります。スタチン系とフィブラート系を併用するとさらに横紋融解症のリスクが高まると言われています(参考文献②)
■ 抗生剤
リメトプリム – スルファメトキサゾールが横紋筋融解症を誘発したという報告があります(参考文献③)

■  その他
痛風約のコルヒチンで横紋筋融解症を誘発した(参考文献④)という報告があります。

一般薬(お店で買える薬)

一般薬で横紋筋融解症の副作用が出る可能性は低いとされています。

薬との付き合い方

肩こりの原因は、本態性(原因不明)、症候性(病気が原因)、心因性(心が原因)があると言われております。根本的に解消する為にはこれらの原因に対する治療を行う必要がありますので、肩こりの症状を薬で軽減するだけでは根本的な解決にはなりません。
冒頭で述べたように薬だけで肩こりを解決するのはなかなか難しいですが、生活を送る上で上手に使うのは良いでしょう。

ただし、薬にすべて頼るのではなく、いざというときのための保険という立ち位置が良いかもしれません。

また、薬を使用して身体に悪い異変を感じたら、薬局か主治医に相談しましょう。自己判断より専門家に頼ることをお勧めします。

以上、薬とうまく付き合うことで生活の質を上げられたら良いと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。


▼ 参考文献①
タイトル:慢性疼痛治療ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/000350363.pdf
▼ 参考文献②
タイトル:Pharmacoepidemiology safety study of fibrate and statin concomitant therapy.
雑誌名:Am J Cardiol. 2010 Dec 1;106(11):1594-601. doi: 10.1016/j.amjcard.2010.07.041. Epub 2010 Oct 14.
[PMID: 21094360]
▼ 参考文献③
タイトル:Trimethoprim-sulfamethoxazole induced rhabdomyolysis.
雑誌名:Am J Ther. 2014 May-Jun;21(3):e78-9. doi: 10.1097/MJT.0b013e31824567fe.
[PMID: 23689093]
▼ 参考文献④
タイトル:Colchicine induced rhabdomyolysis.
雑誌名:Postgrad Med J. 2001 Mar;77(905):191-2.
[PMID: 11222829]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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