肩こりや首の痛みを発症させるリスク要因とは? | 10本の研究結果から

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター小武 悠 / 理学療法士

首の痛み

(c) auremar - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 憂うつな気分などの精神的な要因は肩こりや首の痛みを生じるリスクを増大させる
2. BMIが高すぎる場合も肩こりや首の痛みを生じるリスクが増大する
3. 肩こりや首の痛みを発症させるリスク要因は改善が可能なものが多い

肩こりや首の痛みは、頭痛や腰痛と並んでとても多い症状の1つです。仕事中や勉強中に、肩こり・首の痛みにお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、肩こりや首の痛みを発症させるリスク要因について、これまでに公開されてきた10本の研究結果をまとめた研究をご紹介します(参考文献①)。

肩こり・首の痛みを発症させる要因を調べた10本の研究から

この調査では、過去の医学論文を検索して質の高い論文のみをまとめることで、現在わかっていることと、そうでないことを明らかにする研究手法(システマティックレビュー)が用いられました。

まずはじめに、医学文献のデータベースから、肩こりや首の痛みを発症させる要因を調査した過去の論文を検索したところ、候補となる論文が746本見つかりました。その中から、質が高く、今回の研究の条件に適したものを厳選していき、最終的に10本の研究を用いました。

なお、今回の調査の対象にする研究は「研究の開始時点では、肩こりや首の痛みがなかった人の、その後の痛みの発症を調査したもの」のみとしました。

憂うつな気分や仕事量が肩こり・首の痛みを生じるリスクを増大させる

対象となった10本の研究のうち7本が、精神的な要因と肩こりや首の痛みを生じるリスクについて調査していました。

その結果、憂うつな気分が強い場合、肩こりや首の痛みを生じるリスクが3.36倍増加することが明らかになりました。

また、職場で求められる仕事量が多い場合にも、肩こりや首の痛みを生じるリスクが2.14倍に増加していました。

BMIが高すぎる場合は要注意

身体的な要因との関連で見てみると、BMIが30kg/m2を超えると、30kg/m2未満の場合と比べて、肩こりや首の痛みを生じるリスクが2.21倍になることが明らかになりました。

BMIとは、肥満の度合いを表す指標として国際的に使われており、以下の式で求めることができますので、一度ご自身の値を計算してみてください。


BMI (kg/m2)= 体重(kg)÷ 身長(m)× 身長(m)
■ やせ:18.5未満
■ 標準:18.5以上25未満
■ 過体重・肥満:25以上

BMIが高すぎる場合には、肩こりや首の痛みだけではなく、糖尿病や心臓の病気になるリスクも上がるため、できる範囲から生活習慣を改善する必要があるでしょう。

首・肩の筋肉に頻繁にハリを感じている場合にもリスクは増大する

仕事中頻繁に、首や肩の筋肉にハリを感じている場合には、肩こりや首の痛みが発症するリスクが4.04倍も増大することが明らかになりました。

肩こりや首の痛みを発症させる要因の多くは改善可能

今回の研究で、筆者らは「肩こりや首の痛みを発症させる要因の多くは、適切なサービスや情報の提供によって改善が可能である」ということを強調しています。

今回明らかとなった要因について、近年研究によって明らかになってきた対策や、当サイトで過去に紹介してきた対策について見てみましょう。

憂うつな気分やストレス

ご自分でできる対策として、近年注目されているストレスと向き合う方法であるマインドフルネスを実践してみるのもおすすめです(マインドフルネスの方法7選を学んで、腰痛を改善しよう!)。

また、日頃の運動によって憂うつな気分が予防できることも、過去の研究から明らかになっています(参考文献②)。休みの日や仕事の前後に、ウォーキングや筋力トレーニングなどの運動を取り入れてみるのも良いでしょう。

肩や筋肉のハリ

首や肩に、筋肉のハリを感じている場合は、就寝前などに「肩こりを解消する効果的な簡単ストレッチを理学療法士が徹底解説!」の中で紹介している首や肩の筋肉のセルフストレッチを実践して、筋肉のコリやハリを和らげてみるのがいいでしょう。

職場の雰囲気や仕事量を整えることも重要

今回紹介したように、肩こりや首の痛みを発症させるリスク要因は、個人の中だけではなく、求められている仕事の量など、職場の環境も大きく影響していることが明らかになりました。

職場の環境をつくる立場にある人は、働いている人が精神的にも身体的にも、十分に力を発揮できる状態にあるかどうか、見直してみる必要があるでしょう。

仕事量を調整する具体的な方法として、タスク管理アプリ等を職場で利用することで、全体の仕事量を可視化し、「特定の人に過度に仕事が集中していないか」などを把握する取り組みも効果的かもしれません。

(小武悠)


▼ 参考文献①
タイトル:Identifying risk factors for first-episode neck pain: A systematic review.
雑誌名:Musculoskelet Sci Pract. 2018 Feb;33:77-83. doi: 10.1016/j.msksp.2017.11.007. Epub 2017 Nov 22.
[PMID: 29197234]
▼ 参考文献②
タイトル:Exercise and the Prevention of Depression: Results of the HUNT Cohort Study.
雑誌名:Am J Psychiatry. 2018 Jan 1;175(1):28-36. doi: 10.1176/appi.ajp.2017.16111223. Epub 2017 Oct 3.
[PMID: 28969440]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
  • *本サービスにおける医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではございません。そのため、本サービス上の情報や利用に関して発生したいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。なお、診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関にて受診いただきますことをおすすめいたします。

あなたにあった腰痛予防があります!

腰痛予防マニュアル
無料ダウンロード 

腰痛といっても、人によってその原因も違えば、対策も変わってきます。その中でも特に職業は腰痛と密接な関係があります。そのため、職業ごとに適した対策をしていくことが重要となります。

  • デスクワークが多い人
  • 肉体労働が多い人
  • 立ち仕事が多い人
  • 運転をすることが多い人

それぞれの職業に合った対策を凝縮した『腰痛予防マニュアル』を早速ダウンロードして、今日から腰痛対策をはじめてみませんか?

メールアドレス



SNSで購読

こちらも読まれています