その肩こり、枕が原因かも?自分にあった枕の選び方

松井洸 / 理学療法士

(c) BillionPhotos.com - Fotolia.com

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【記事のポイント】
1. 首を負担の少ない自然な位置に保つことが、首や肩への負担を減らす
2. 寝る時の姿勢が変わっても首を中立位に保つことが重要
3. 頭や首、肩の動きに合わせた枕の形状にすることが首や肩への負担を減らす

あなたは自分に合った枕を考えたことがありますか?

日頃から肩こりに悩まされている、寝ても疲れがとれない、起床時に肩がこっている、このような症状がある方は、もしかしたら枕が原因で肩こりを起こしている可能性があります。

個人差はあるものの、一日の約3分の1もの時間を寝て過ごすわけなので、寝ている時の枕の高さや寝る姿勢は体に少なからず影響を与えます。

本記事では、枕の高さ、寝る姿勢によってもたらされる肩こりの原因、体に負担をかけない枕の選び方を解説しています。

枕の高さによる肩への影響

そもそも、枕の役割とは、睡眠中に首に加わる負担を最小限に抑えるために、中立位で首を支えることを目的としています。

ここで言う首の中立位とは、真っ直ぐに首を保つことではなく、緩やかな前側へのカーブを保つということになります。

下の図にある赤い部分は頚椎という首の背骨です。頚椎は真っ直ぐに配置しているわけではなく、前方への緩やかなカーブを描いています(これを医学的には、前弯と言います)。

(c) Back Tech Inc.

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首から背中にかけては後ろ側へ(これを医学的には、後弯と言います)、背中から腰にかけては再び前弯しており、背骨全体としてみるとS字状の構造をしています。この構造のおかげで、体に加わる負担を全身へ分散し、一部分だけに負担が集中することを防いでいます

ある報告では、首の前側へのカーブ(前弯)が0°以下、つまり、前側へのカーブがより小さく、ストレートネックのような状態では、通常の場合と比較して、肩こりを起こす頻度が約18倍とも言われています。(参考文献①)

ある研究では、首の中立位を保つ適切な枕の選択によって、夜間に肩こりや筋肉の張りを感じて起きてしまうことを予防し、睡眠の質を高めることが言われています。(参考文献②)

高い枕の場合

高い枕の場合、首は以下のような状態となります。

■ S字カーブがなくなり、首全体が真っ直ぐになる
■ 首の後ろ側にある僧帽筋(そうぼうきん)、肩甲挙筋(けんこうきょきん)が常に伸ばされた状態となる
■ 首の前側にある胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)、頚長筋(けいちょうきん)、斜角筋(しゃかくきん)が常に縮んだ状態となる

(c) Back Tech Inc.

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いわゆる、ストレートネックのような状態となります。

インターネットの普及でスマホやパソコンの画面を見る時間が長くなった近年、首を前側へ傾け、やや下方を見つめる姿勢をとることが多くなっています。

それによって、首の付け根から首全体が前側へ傾き、首の前側へのカーブが失われた状態をストレートネックと呼んでいます。

ある報告では、枕の高さ11cmのもの(CDの直径が約11cm) と17cmのもの(千円札が約15cm)を比較すると、11cmの枕より17cmの枕の方が43%も首が前方へ傾き、ストレートネックに近い状態になっていたと言われています。(参考文献③)

首が前側へ傾くことで、首の後ろ側の筋肉が持続的に伸ばされた状態となります。

筋肉は伸ばされすぎると、それ以上伸びて筋肉が損傷しないように縮むように反応し、筋紡錘(きんぼうすい)と呼ばれるセンサーが働きます。高い枕で持続的に伸ばされ続けた首の後ろ側の筋肉は、筋紡錘が反応して縮みます。

つまり、伸ばされ続けながらも縮むように収縮するという反応で、常に力が入っている状態となっており、寝てもリラックスできず、それが肩こりに繋がるというわけです。

また、なるべく首の付け根に枕が当たるようにすることで、ご自身の枕でも首にかかる負担を減らすことが可能です。

低い枕の場合

低い枕または枕がない場合、首は以下のような状態となります。

■ 枕と首の間にすき間ができやすい
■ 首の後方の僧帽筋、肩甲挙筋が縮んだ常に状態となる
■ 首の前方の胸鎖乳突筋、頚長筋、斜角筋が常に伸ばされた状態となる
■ あごが上がり、首の背骨と背骨の間が狭くなり、神経を刺激する恐れがある

(c) Back Tech Inc.

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低い枕や枕がない場合、頭を支える高さが低いため、低ければ低いほどあごが上に上がりやすくなります。あごが上がると、首の前方へのカーブ(前弯)がより大きくなります。カーブが大きくなると、枕と首の間にはすき間ができます。実際に体験すると良く分かるかと思いますが、すき間がある状態ではリラックスできず、首から背中にかけての筋肉が緊張します

筋肉が緊張しないためには、ベッドや枕で物理的に支えている状態を作る必要があります。つまり、首と枕のすき間をなるべく無くすことで、首の筋肉が緊張せず、負担がかかりにくくなります

また、背骨の後方にはせき髄が通っており、背骨と背骨の間から神経が枝分かれして、腕や足の筋肉へ伸びています。あごが上がると、首が反るような形となるため、背骨と背骨の間が狭くなり、神経が圧迫されて腕のしびれを引き起こす可能性もあります

また、すき間部分に丸めたタオルを入れるなど、すき間を埋めることでご自身の枕でも首にかかる負担を減らすことが可能です。

寝ている時の姿勢による肩への影響

仰向けで寝る場合は、枕の高さで解説した通り、以下の2つが重要となります。

■ 首の前方へのカーブと枕とのすき間がないようにする
■ 高すぎる枕で首の後方の筋肉が緊張しないようにする

横向きで寝る場合は、背骨の首から背中部分までが一直線になるようにすることが、背骨間の関節に負担をかけないために必要だと報告されています。(参考文献④)

高すぎず、低すぎない枕を選択することはもちろん、枕の位置も重要な要素となります。

例えば、枕が頭の先の方だけ接している場合と顔全体に均一に接している場合を比較すると、頭の先の方だけ接している場合では、頭が上方へ上がり、首がベッド側へカーブするように曲がります。

【頭の先の方だけ接している場合】

(c) Back Tech Inc.

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【顔全体に均一に接している場合】

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その結果、カーブしている部分に偏った負担がかかることになり、首や肩周りの筋肉の緊張を高めてしまう原因となります。

オーダーメイド枕について

オーダーメイドの枕が市販の枕と比べて効果的ということを示した研究はありませんが、枕の高さや素材を自分に合ったものに調整できるという点から考えるとオススメです。

 

オーダーメイド枕を作成できるサイトを参考までに2つご紹介します。1つは「まくらる。」というサイトで全国にあるオーダーメイド枕の店頭を検索することができます。もう1つは、「FIT LABO」というサイトで、有名な西川の系列のお店です。

金額に関しては、店頭によって違いますが、大体1万円から3万円で作れます。

以下のポイントをふまえて作成してもらうと首に負担が少なく、快適に睡眠できるでしょう。

枕の形状

睡眠時は常に同じ姿勢でいるわけではなく、仰向けになったり横向きになったりと寝返りをうちます。

仰向けから横向きへ寝返る時、頭と首は進行方向へ水平に移動するのではなく、扇状に移動すると報告されています。(参考文献④)

既製品の枕では、水平に移動すると想定して設計されているため、寝返り時の頭と首の自然な動きを邪魔して余計な緊張を生み出す可能性があります。

また、寝返りした時に下側になる肩が上方へ移動することも言われています。(参考文献④)

これらから、枕の中心から左右へ扇状に少しだけ窪みを作る、肩の上方への移動を妨げないように肩が当たる部分にも少し窪みを作ることをおすすめします。

枕の素材

枕の素材も様々な種類があり、素材によって硬さも違うため、首へ与える影響も変化します。

ポリエスチル、羽毛、ラテックスの3つの素材で夜間の目覚め、頭痛、肩こりの自覚症状の有無と症状の持続時間、頻度について研究した結果、3つの素材の中ではラテックスが最も痛み感じる方が少ない、持続時間や頻度も少なく羽毛が最も痛みを自覚する方が多く、持続時間や頻度も多くなったと報告されています。(参考文献②)

この研究に参加された方々の使用している枕の種類の割り合いを見ると、ポリエスチルが約40%、羽毛が約8%、ラテックスが約14%とされており、既製品ではラテックスではなくポリエスチルが一般的に普及している数が多いことが分かります。

ラテックス天然ゴムでできており、高反発であることが特徴です。

ポリエスチルはクッションなどに良く使われている素材で、ラテックスより若干柔らかくフィット感に欠けますが、羽毛よりは安定感があります

羽毛は名前の通り、鳥の羽からできており、他の二つよりも柔らかく、安定性に欠けます

低反発、高反発どちらが良いか?

結論から言うと、基本的には高反発の枕がオススメと言えるでしょう(参考文献②)。しかし、質の高い研究がまだまだ少なく、決定づけられた結論とは言いにくい現状があります。

そこでそれぞれの特徴を理解した上で選択すると良いでしょう。

低反発枕の特徴としては以下の通りです。

■ 頭を乗せるとゆっくり沈み込み、そのままの姿勢を保つ
■ 頭の形状に合わせて形が変わる
■ 頭が沈み込むため、寝返りがしにくい

対して、高反発の特徴としては以下の通りです。

■ 形を大きく変えず、首と頭をしっかりサポートする
■ 形を大きく変えないため、合っていない枕だと首に悪影響の可能性がある
■ 合った枕であれば、首と頭にしっかりとフィットする
■ 寝返りがしやすい

低反発は体に合わせて形状を変えるため、フィット感は高反発より良いですが、寝返りがうちにくく、姿勢が変わらないため、一箇所に負担がかかったまま睡眠することになります。

高反発であれば、体に合った枕を選択すると、首や頭を支えつつ寝返りもうちやすいので、一箇所に負担がかかることなく睡眠できます。ただ高反発であれば何でも良いというわけではないので、一番良いのは実際に寝てみて確かめることです。

頭を置いてみて、首や頭にフィットする感じがあるか、顎が挙がらないか、首の後ろに突っ張り感がないか、寝返りのしやすさ、寝返り時の頭の移動を妨げないかの点に気を付けることが必要です。

バスタオルを使った枕について

バスタオルを使った枕は良いの?

市販の枕以外には、バスタオルを丸めて枕として代用することもできます。

バスタオルを使用するメリットとしては、ご自身で自由に高さを調整できること、ある程度の硬さがあることの2点です。市販の枕では、高さや硬さに関しては自由に調整することは難しいですが、バスタオルではそれが可能です。

バスタオル枕の作り方

バスタオルを使った枕の作り方は以下の通りです。

  1. バスタオルを4つ折りに畳む
  2. 畳んだバスタオルを筒状に丸める

たったこれだけです。これで高すぎる場合は2つ折りにするなどして自分に合った高さに調整してください。

バスタオル枕を使用する際の注意点

ただし、丸めたバスタオルを置く位置に注意する必要があります。

後頭部に置くのではなく、首のカーブに沿って置くと、首の自然なカーブを引き出すことができるため、首にかかる負担を減らすことができます。後頭部に置くと、首はベッドから浮いてしまい、リラックスできない、首のカーブが真っ直ぐになる可能性があるため、おすすめできません。

ただ、首のカーブに当てて寝ると後頭部が浮いてしまう方もおられます。そういった場合、後頭部の下に畳んだバスタオルを置いて高さを調整すると、後頭部が安定して寝ることができます。

肩こり・首の痛みを予防する枕のポイント

ここまでの内容をまとめると以下の通りです。

■ 枕の役割として、首の負担を減らすために中立位(首に負担のかからない自然な位置)で支えることがある
■ 枕は高すぎず低すぎず、首や頭、肩と枕との隙間を極力なくすとリラックスできる
■ 横向きでは首から背中の背骨が一直線になるような枕の高さが必要
■ 寝返りを考えると、扇状に窪みを作っておくと首の動きを妨げない
■ ラテックスの枕が最も快適に痛みなく睡眠できる

これを見てみると、ご自身の枕、睡眠姿勢が知らず知らずのうちに首へ負担をかけていることが分かるはずです。

身体を休めるために睡眠するのに、睡眠によって体が疲れる、痛みを起こすとなっては本末転倒なので、この機会に是非とも枕を見直してみてください。

(松井 洸)


▼ 参考文献①
タイトル:Determining the relationship between cervical lordosis and neck complaints.
雑誌名:Journal of manipulative physiol therapy ,2005;28,187-193.
[PMID: 15855907]
▼ 参考文献②
タイトル:Pillow use :the behavior of cervical stiffness,headache and scapular/arm pain.
雑誌名:J Pain Res.2010 Aug 11;3:137-45.
[PMID: 21197317]
▼ 参考文献③
タイトル:Effect of pillow height on the becomechanics of the head-neck complex:investigation of the cranio-cervical pressure and cervical spine alignment.
雑誌名:PearJ.2016 Aug 31;4:e2397.doi:10.7717/pearj.2397.eCollection 2016.
[PMID: 27635354]
▼ 参考文献④
タイトル:Development and comparative evaluation of new shapes of pillows.
雑誌名:J Phys Ther Sci.2014 Mar;26(3):377-80.doi:10.1589/jpts.26.377.Epub 2014 Mar 25.
[PMID: 24707087]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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