肩こりになりやすい姿勢とは?原因と解消法を理学療法士が徹底解説!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター陣内 実結 / 理学療法士/国際PNF協会アドバンスコース3b修了/ファスティングコンサルタント/日本疼痛リハビリテーション協会ベーシックコース修了

猫背姿勢のデスクワーカー

(c) DimaBerlin - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. そもそも肩こりになりやすい悪い姿勢とは?
2. なぜ悪い姿勢になってしまうのか
3. 今日から取り入れられる自宅やオフィスで出来る姿勢改善のための運動とポイント!

日々辛い肩こりに悩まされていませんか?特に、デスクワークでパソコン作業が多い方々は、肩の重だるさと闘いながらキーボードを叩かれているのではないでしょうか。

肩こりは様々な要因によって引き起こされますが、その一つに姿勢があげられます。今回のコラムでは、姿勢にフォーカスを絞り、肩こりになりやすい姿勢、その原因を分かりやすくお伝えします!

そして、日々の生活に取り入れやすい自宅で簡単に出来るエクササイズや生活上での肩こり解消のためのポイントを紹介していきます!

そもそも肩こりと姿勢は関係あるのか?

肩こり・首こりと姿勢は一般的には関係すると考える方多いのではないでしょうか。

しかしながら、研究ベースで考えると、姿勢(首の角度など)が悪いと、肩こりのリスクになるかどうかについては明確にはなっておりません。

普段の立っている時の姿勢と肩こり

ここではまず「普段の自然と立っている時の姿勢」と肩こりについての関連を調査した研究を2つご紹介します。

ある研究では、首が曲がり、頭が前に出たような姿勢をさすストレートネック(英語では、forward head postureと言います)は、慢性的な肩こりと関連はみられなかったと報告されています(参考文献①)。

一方で、ストレートネックの人は、顎を引いた状態(正常な首の姿勢)の人よりも、首〜肩にかけての筋肉(僧帽筋中部繊維、頸長筋、胸鎖乳突筋)の筋肉にかかる負担が大きかったと報告されています。一方で、ストレートネックの有無で、僧帽筋上部繊維(肩の上にある筋肉)の負担に違いは見られませんでした(参考文献②)。

しかし、質の高い研究はまだまだ少なく、普段の自然と立っている時の姿勢と、痛みや筋負担の関連については、さらなる研究の蓄積が必要でしょう。

座っている時の姿勢と肩こり

一方、デスクワークなどの「座っている時の姿勢」に関しては、どうでしょうか。

健常成人を対象としたある研究では、猫背や頭を前に突き出した姿勢を取らせた場合は、自然と座った時の姿勢を取らせた場合と比較して、首の背面にある筋肉(頸部伸筋群)の筋負担が約40%増加したと報告されています(参考文献③)。

肩こりになりやすい姿勢とは?

肩こりになりやすい姿勢の特徴は、首の骨から肩甲骨へ付いている筋肉が伸ばされている姿勢です。

shoulder muscle injury

(c) TANABOON – Fotolia.com

これらの筋肉の役割は、重い頭を支え、両方の肩甲骨を背骨の方へ寄せることですが、引き伸ばされることによって血流が悪くなってしまい、こりを感じてしまうのです。

デスクワーカーは、事務作業が多いため上半身を丸めたり、首を前に突き出してパソコンの画面を見続ける事が多くなります。そのため、猫背やストレートネックになりやすいといえます。この2つの姿勢について詳しく解説していきます!

猫背について

友達や同僚などに猫背と言われたことはありませんか?

猫背とは、簡潔に言うと、背中が丸まっている状態をさします。医学的には、両方の肩甲骨が、正常とされる位置(背骨から、肩甲骨の内側のへりまで約指4本分)よりも外側に移動してしまっている姿勢をさします。

そのため、僧帽筋上部繊維、肩甲挙筋などの首の骨から肩甲骨についている筋肉が引き伸ばされてしまいます。

(c) decade3d - Fotolia.com

(c) decade3d – Fotolia.com

ストレートネックについて

ストレートネックとは、日本語に直訳すると「まっすぐな首」となります。

本来、7つの背骨で構成される頚椎(首の骨)は、横からみると30-40度、前方へなだらかなにカーブしています。これを前弯といいますが、この前弯の角度が0度以下になってしまっていることをストレートネックといいます。

ストレートネックになると、正常よりも頭の位置が前へ位置します。そのため、体重の約10パーセントと言われている頭の重さを支えるために、首から肩にかけての筋肉(僧帽筋上部繊維・肩甲挙筋など)が伸ばされ、大きな活動を強いられます。

左:ストレートネック
右:自然な姿勢

arched back

(c) undrey- Fotolia.com

猫背やストレートネックの原因は?

姿勢というのは、日々の生活習慣によって作られていきます。原因は1つではなく、色んな要因が重なって起きていきます。

筋力の低下

肩甲骨を、背骨の方に引き寄せておく周りの筋力が落ちてしまったことにより、肩甲骨が外側に移動して猫背になってしまいます。

デスクワークが多い

デスクワークは基本的に体の前側で行う作業がほとんどです。両手を身体の前に出して作業をするので、腕の骨(上腕骨)は前へ移動した結果、自然と猫背で上半身が前かがみの姿勢になりやすくなります。

そのことにより、腕の骨(上腕骨)の移動に伴って肩甲骨も前へ出てきて、猫背になります。

また、パソコンに、顔を近づけて作業したり、スマホを下を向いて作業することでストレートネックにもなりやすくなります。

今日からできる姿勢改善の2つのポイント!

今回は、猫背やストレートネックの対策として、下記の2つをご紹介します。


① 肩甲骨運動
② 環境調整

肩甲骨運動で、姿勢を改善!

肩甲骨周りの筋力を鍛えることで、良い姿勢を保ち肩こり予防に繋がります。

しかし、運動と言っても、ジムで行うような激しい運動ではありません。姿勢を保持する筋肉は低負荷で回数を多くする運動の方が効果的に鍛えられます。

そこで、無理のない範囲で気軽に行っていただける自宅やオフィスで簡単に取り組める姿勢改善のための運動を紹介します!

自宅編|四つ這いでの左右重心移動練習

左右重心移動運動

(c) Back Teck Inc.

【目的】
肩甲骨周りの筋肉を鍛えて、猫背やストレートネックを予防する

【方法】
①四つ這いになる
(両手・両膝はそれぞれ、両肩・両股関節の下にくるように)

②その姿勢から左右にゆっくりと重心移動をする

注意点:肘を軽く伸ばす事(カチッと伸ばしすぎない)
手首が痛い場合は中止する事
背中を反らない事

【頻度】
1日に10回程度
時間のある方は朝と夜にしてみて下さい

オフィス編|座位での菱形筋(肩甲骨を内側に寄せる筋肉)筋力トレーニング

座位での運動

(c) Back Teck Inc.

【目的】
肩甲骨周りの筋肉を鍛えて、猫背やストレートネックを予防できる

【方法】
①椅子に、なるべく骨盤を立たせるように良い姿勢で座る
②肘と肘を背中側でくっつけるように両方の肩甲骨を内側に寄せる

注意点:息は止めないで吐きながらしましょう

【頻度】
肩甲骨を寄せた状態で5秒キープを3回

デスク環境を整えよう!

姿勢というものは、良くも悪くも習慣によってつくられていきます。そのため、良い姿勢を保つためには、環境調整も重要な要素の一つです。

例えば、肩甲骨周り筋肉がしっかり鍛えられていたとしても、作業するパソコンが低い位置にあれば、おのずと猫背になってしまいます。そのため、環境調整を行い、なるべく良い姿勢で仕事ができるように工夫する事で、運動の効果を持続させ、肩こり予防に繋がります。

コンピュータのモニターの位置やマウスの位置、普段の姿勢といった「作業環境」や「作業姿勢」を改善することも重要です。

詳しく知りたい方は、以下の過去記事もぜひ参考にご利用ください。記事内では、モニターや机の高さ、キーボードと身体の距離のポイントなど、今日から取り入れられる習慣を紹介しています。

肩こりや腰痛にならないための最適なコンピュータモニターの位置は?
デスクワーカーの肩こり・首の痛みに有効な職場での対策は?27個の研究から

まとめ

今回のコラムでは、肩こりになりやすい姿勢と、その原因、解消法をお伝えさせていただきました。

肩こりをある日突然感じたいう方は少ないと思います。もう何年も前から猫背だから…と諦める事はありません。日々の姿勢の習慣により、だんだんと重だるくなってきたのではないでしょうか。

習慣は、良いものも悪いものも継続する事で習慣化されていきます。この機会に、ぜひ良い少しずつ良い習慣を取り入れていくことで姿勢や肩こりが少しでも楽になることを祈っています。

(陣内実結)


▼ 参考文献①
タイトル:Is forward head posture relevant to cervical muscles performance and neck pain? A case-control study.
雑誌名:Braz J Phys Ther. 2018 Aug 22. pii: S1413-3555(18)30475-1.
[PMID: 30145129]
▼ 参考文献②
タイトル:The effect of forward head posture on muscle activity during neck protraction and retraction.
雑誌名:J Phys Ther Sci. 2015 Mar;27(3):977-9.
[PMID: 25931773]
▼ 参考文献③
タイトル:Changes in mechanical load and extensor muscle activity in the cervico-thoracic spine induced by sitting posture modification.
雑誌名:Ergonomics. 2011 Feb;54(2):179-86.
[PMID: 21294015]

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