【意外と知らない】肩こり解消には「肩甲骨」がポイント!

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター松井洸 / 理学療法士

肩こりと肩甲骨

(c) kei907 - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 肩甲骨の動きの悪さが肩こりを起こす
2. 姿勢によって肩甲骨の位置が偏り、肩周りの筋肉へ影響を与える
3. 血行不良が肩こりを起こす

肩こり解消に何か良い方法はないか?肩こりでお悩みの方ならネットや雑誌などで色々調べたりもされると思います。世の中には情報が溢れていて、どの方法が効果的なのか分からないかもしれません。

理学療法士(身体の専門家)の立場から一つポイントをお伝えすると、「肩甲骨」が肩こり解消のポイントとなります。

本記事では、肩こりに肩甲骨がどのように関与するのか、具体的に肩甲骨をどうしたらいいのか、肩甲骨の観点から肩こりの原因と対策を掘り下げていきます。

肩こりと肩甲骨の関係

肩甲骨とは、背中に左右1つずつあり、背中側から見ると三角形状の形をしています。別名、「貝がら骨」とも呼ばれ、中央の内側がくぼんでいることからそう言われています。

肩甲骨の外側では、腕の上腕骨(じょうわんこつ)とつながり、肩甲骨と上腕骨の2つで作られる関節のことを肩関節と呼びます。

肩甲骨と上腕骨は腕を動かす際、どちらかだけ動いているわけではなく、どちらも動くことで腕を動かしています。どちらかが極端に動きが悪いと、周りにある筋肉が伸び縮みしにくく、それが肩こりへつながるのです。

(c) Fotolia.com - Sebastian Kaulitzki

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肩こりには大きく分けると以下のような原因が考えられます。

■ 筋肉による影響
■ ストレスによる影響
■ 仕事内容による影響
■ ライフスタイルによる影響

このように様々な原因が考えられますが、筋肉による肩甲骨への影響が問題で肩こりが起こっている場合、マッサージでは改善しにくいです。こっている筋肉をほぐすのではなく、肩甲骨の位置や動きを正さないと、こりを感じている筋肉は一時的にしか緩まないからです。

肩甲骨の観点から肩こりを考えると、以下の2つの特徴的な姿勢が関係しています。

■ 猫背(左右の肩甲骨が外側へ開き、肩甲骨間が遠い姿勢)
■ フラットバック(左右の肩甲骨が引き寄せられ、肩甲骨間が近い姿勢)

猫背と肩甲骨の関係

猫背では、背中部分の背骨が曲がり、背中全体が丸みをおびた姿勢となります。肩甲骨は背中にあるため、背中の状態によって位置が変わります。

背中が丸くなると、肩が前へ出て、腕が内側へ引かれます。肩甲骨と上腕骨はつながっているため、腕が前の内側へ引かれるに伴って、肩甲骨も引かれます。それを背中側から見ると、肩甲骨は外側へ引かれるということになります。

この時、肩周りの以下の筋肉が伸ばされています。

■ 首の付け根から肩にかけて伸びている「僧帽筋(そうぼうきん)」の上側の繊維
■ 肩甲骨の内側から首の付け根にかけて伸びている「菱形筋(りょうけいきん)」
■ 肩甲骨の内上端から首の付け根にかけて伸びている「肩甲挙筋(けんこうきょきん)」

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(c) Backtech Inc.

これらの筋肉は常に伸ばされているため、それ以上伸ばされまいと筋肉には縮もうとする力が働きます。つまり、伸ばされるのに対抗して、常に筋肉には縮もうとする力が入っていることになります。

その結果、筋肉内の血管は細く縮み、血行不良を起こし、痛みを起こす物質が溜まってしまい、肩こりを引き起こすのです。

フラットバックと肩甲骨の関係

フラットバックとは、猫背とは正反対に背中が過度に反っている状態です。猫背と同様に、反った背中に合わせて肩甲骨の位置が変わります。

背中が反ると、胸が開くような姿勢となり、腕が後ろの外側へ動きます。腕の移動に伴って、肩甲骨は内側へ押し出されるような形となります。背中側から見ると、内側・背骨側へ肩甲骨が寄っている姿勢となるのです。

この時、猫背の説明の際に挙げた、僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋は常に縮んでいる状態となります。

筋肉の両端には腱があり、腱には筋肉の縮みすぎを感知する腱紡錘(けんぼうすい)というセンサーが備わっています。本来、筋肉がぎゅっと力を入れると、腱紡錘が反応して筋肉は緩みます。

ですが、常に筋肉が縮んでいる状態が続くと、腱紡錘のセンサーとしての働くが弱まり、中々力が抜けず、肩こりを感じてしまうのです。

簡単!肩甲骨チェック

肩甲骨によって肩こりが起こっているとは言っても、自身の肩甲骨がどうなっているのか自分では中々分かりにくいものです。

そこで、簡単に肩甲骨の位置や肩甲骨に付いている主要な筋肉の柔軟性をチェックするテストをいくつかご紹介します。

猫背タイプ(肩甲骨が外側へ偏っているタイプ)

1. 椅子にすわる
2. 肘を90度曲げて、肩の高さまで腕を持ち上げる
3. 持ち上げたまま、胸を開くように肘を外側へ向ける

肘が完全に真横へ向かない方は、猫背の可能性が高いです。肩甲骨が外側へ偏っている可能性があり、以下の筋肉の柔軟性が低いことが考えられます。

■ 胸の大胸筋(だいきょうきん)
■ 脇腹にある前鋸筋(ぜんきょきん)
■ 肩甲骨内側から腕の前側へ伸びる肩甲下筋(けんこうかきん)

フラットバックタイプ(肩甲骨が内側へ偏っているタイプ)

1.椅子にすわる
2.両手の手の平と肘をピタッとつける

ピタッとつかない方は、フラットバックの可能性が高いです。肩甲骨が内側へ偏っている可能性があり、以下の筋肉の柔軟性が低いことが考えられます。

■ 菱形筋
■ 肩甲挙筋
■ 僧帽筋

姿勢別の体操

巷で話題となっている「肩甲骨はがし」というものを聞いたことはあるでしょうか?はがすと言うと危なそうに聞こえますが、本来、肩甲骨はある程度肋骨の上を自由に動くことで、腕の動きに関与しています。

先に説明したような姿勢の影響で、肩甲骨の動きが悪くなると肋骨の上を自由に動くことが制限されてしまい、ストレッチによって筋肉の制限を解消して再び自由な動きを獲得するという意味で「肩甲骨はがし」と呼ばれます。

方法は色々とありますが、今回は上記のような意味合いで肩甲骨はがしの体操をお伝えします。

合掌のポーズでの体操

<目的>
■ スウェイバックの解消
■ 菱形筋、僧帽筋、肩甲挙筋のストレッチ
■ 前鋸筋、棘下筋(きょくかきん)、棘上筋(きょくじょうきん)のトレーニング

<方法>
1. 座って左右の手の平、肘を合わせる
(肘がつかない場合、痛みのない範囲でなるべく手の平と肘が平行な状態でおこなう)
2. そのまま上下に肘を動かす

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バンザイの体操

<目的>
■ 猫背の解消
■ 大胸筋、前鋸筋、肩甲下筋のストレッチ
■ 広背筋(こうはいきん)、棘下筋、棘上筋のトレーニング

<方法>
1. 座って両手を真っ直ぐ天井へ突き出す
2. 肘を曲げて、体の真横、肩の高さまで肘を下ろす
3. 再び真っ直ぐ天井へ突き出す
4. 1~3を繰り返す

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(c) Backtech Inc.

病院を受診した方が良い肩こり

ただの肩こりだと思っていても、実は緊急性の高い問題がある場合もあります。以下のような症状がある方は、病院で受診をした方が良い可能性があります。迷ったら、まずは専門家に相談をしましょう。

■ じっとしていても痛い
■ 肩を動かすと痛い
■ 腕や指に痺れがある
■ 夜も眠れないくらい痛い
■ 肩が熱い感じがする
■ 痛みが次第に強くなっている

まとめ

今回は、肩甲骨の動きの悪さが原因となっている肩こりについてご紹介しました。自分の肩甲骨はどのタイプかチェックした上で、体操をこまめに実践してみてください。

(松井 洸)

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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