肩こりを悪化させてしまう間違った筋トレとは?

松井洸 / 理学療法士

肩こりを悪化させる筋トレの方法

(c) blanche - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 肩こりの原因は血行不良が大きく関与
2. 筋トレはやり方によっては逆効果となってしまう
3. 筋トレは鍛える部位を考えて実践する必要がある

日本人であれば誰しもが一度は経験したことがある肩こり。腰痛と並んで最も多い症状の1つです。

そんな肩こりですが、筋力が弱いからと言われたり聞いたりして、筋トレをしてみるがあまり変わらない。むしろ悪化している、ということはないでしょうか?そんな方は間違った方法で筋トレをしているかもしれません。本記事では、肩こりと筋力の関係、逆効果となる誤った筋トレ、おすすめの筋トレの方法についてご紹介します。

筋トレで肩こりが悪化する理由

筋トレで肩こりになる、あるいいは、悪化するのはなぜなのでしょうか。
大きく分けると以下のような要因があります。


■ 筋トレのやりすぎ(筋肉が緊張することによる血行不良、筋繊維の損傷、炎症)
■ 血行障害による疲労物質の蓄積
■ 偏った筋トレによる姿勢の変化(胸の筋肉、腹筋ばかり筋トレすると前に引っ張られて猫背になるなど)

日常生活に支障をきたすほど痛みが強い場合などは、まずは受診して医師の判断を仰ぎましょう。具体的には以下のような症状に当てはまる場合は受診を検討しましょう。


■ じっとしていても痛みがある
■ 腕にしびれがある
■ 眠れないくらい痛みがある
■ 肩を動かすと痛みがある
■ 肩が熱い感じがする
■ 痛みが次第に強くなって経過している
■ 以前に原因となる疾患の診断を受けている場合

肩こりの要因から考えられることは、筋トレのやりすぎによる筋肉自体の損傷や炎症、血行不良、姿勢の変化によるものが要因としては大きいと考えられます。血行が悪くなると、疲労物質や痛みを起こす物質が血行の悪い部分に停滞します。

温めると楽になると感じるのは、血管が拡がることで停滞していた疲労や痛みを起こす物質が流れていくからです。そのため、温めると一時的には肩こりの症状が緩和すると感じます。しかし、血行が悪くなる原因に対して効果があるわけではないため、また元に戻ってしまうことがしばしばあります。

血行不良や筋肉の使い過ぎによって筋肉が硬くなると、血管が細く縮まり、さらに血行不良となります。これに偏った姿勢などの要因が合わさることで、肩こりを引き起こす悪循環が生じてしまうのです。

つまり、血行不良や姿勢を悪くしている原因をなんとかしなければ、肩こりを引き起こす悪循環を断つことはできないということです。

肩こりと筋力の関係

肩や足を動かしたりする際、筋肉が必ず働くので、ある程度の筋力は必要となるでしょう。

肩を動かす筋力が弱い場合、それを補うために必要以上に筋肉を緊張させる、本来使わないような部位の筋肉を過度に使うといったことが起こります。それによって、筋肉の緊張による血行不良、筋肉の使い過ぎによる筋繊維の損傷や炎症が起こり、肩こりが慢性化します。

では、筋トレをして筋力を強くすると肩こりは治るのかというとそういうわけではありません。

ここに筋トレによって肩こりを悪化させる落とし穴があるのです。

がむしゃらな筋トレは肩こりに逆効果!

筋トレというものは、筋肉を強く収縮、緊張させることで負荷を与え、それを繰り返すことで筋肉をより強くしていくというもの。

しかし、そもそも肩こりは既に筋肉が緊張している状態です。この状態の筋肉に対して、さらに負荷を与えると負荷が強すぎ、益々緊張が高まってしまい肩こりを治すどころか逆効果になってしまいます。

では、どんな筋トレが逆効果なのでしょうか?具体的には以下のような筋トレは逆効果になってしまう恐れがありますので注意するべきです。


■ 筋トレ中に痛みが出るくらいの負荷量で行う(過剰に重りをつけて行うなど)
■ 極端に回数をこなす(一度に100、200回するなど)
■ 既に緊張が高い筋肉に対して行う(肩をすくめる、肩甲骨を内側に寄せる、腕立て伏せなど胸の筋肉に負荷がかかる筋トレ)

筋トレは回数をこなせばこなすほど効果があるわけではなく、自分に合った負荷量、回数を考えて行う必要があるわけです。

肩こりを起こしている筋肉は緊張させるのではなく、緩めなくてはいけません。

重要なのは、筋トレをするということではなく、どこを筋トレするかということ。

ボディビルダーのように全身ムキムキになりたいのなら話は別ですが、鍛える部分は鍛える、緩める部分は緩めるというように、考えて筋トレを行うべきです。

筋肉のメカニズム

筋肉には、ある筋肉が収縮すると、それと反対の動きをする筋肉は緩むという生理的な特性があります(これは医学的に相反神経抑制と呼ばれる現象です)。

肩こりで緊張しているのは、「僧帽筋(そうぼうきん)」や「菱形筋(りょうけいきん)」、「肩甲挙筋(けんこうきょきん)」という首の付け根から背中にかけてついている筋肉。これらは、それぞれ肩をすくめる、肩甲骨を内側に寄せるという働きをします。

これらと反対の動きをする筋肉は、「前鋸筋(ぜんきょきん)」や「広背筋(こうはいきん)」という脇から横腹にかけてついている筋肉。これらは、それぞれ肩を下方へ引き下げる、脇をしめるという働きをします。

つまり、前鋸筋や広背筋を筋トレすることで肩こりを引き起こしている僧帽筋や菱形筋を緩めることができるのです。

正しい筋トレで肩こりを治そう!

ポイントを押さえた正しい筋トレの方法を以下に具体的にまとめています。

前鋸筋の筋トレ①

1. 仰向けとなる
2. 両手を組んで肘を伸ばし、天井に向かって突き出す
3. 肘を伸ばしたまま突き出した手を戻す
4. 10回ずつ、3セット程度行う

<ポイント>
・肩がすくまないように注意
・脇をしめるように軽く力を入れておく

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前鋸筋の筋トレ②

1.仰向けとなる
2.両手を組んで肘を伸ばし、天井に向かって突き出す
3.突き出したまま、小さく円を描くように回す
4.左右10回ずつ、3セット程度行う

<ポイント>
・肩がすくまないように注意
・脇をしめるように軽く力を入れておく
・大きく動かす必要はなく、小さくて良い

前鋸筋の筋トレ③

1.四つ這いとなる
2.頭は下げ、背中の力を抜く
3.両手で床面を押すように力を入れる
4.床面を押すように力を入れたまま、左右に体重を移動させる
5.左右へ10回ずつ、3セット程度行う

<ポイント>
・肩がすくまないように注意
・脇を軽くしめたまま床面を押す
・肩甲骨は内側に寄せず、外側に開き、背中の筋肉が伸ばされる意識をもつ
・左右への体重移動は大きく動く必要はなく、小さくで良い

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広背筋の筋トレ

1.膝を伸ばした状態ですわる
2.両手をそれぞれお尻の横につく
3.両手で床面を押し、お尻を持ち上げるように力を入れ、3秒程度キープ
4.10回ずつ、3セット程度行う

<ポイント>
・肩がすくまないように注意
・脇を軽くしめたまま床面を押す
・腰が丸まらないように注意
・骨盤をなるべく立てた状態で行う

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これらの筋トレをそれぞれ少し筋肉が疲れるくらいの量でおこなってみてください。

回数やセット数はあくまでも目安ですので、10回ずつ単位で回数を増やす、セット数を1セット増やすなど自分にあった負荷量、回数を実際におこないながら調節してみてください。

まとめ

ここまで、筋トレは誤った方法で行えば、肩こりを悪化させ、正しい筋トレを行えば、肩こりを改善することもできることを説明してきました。

効果は個人差がありますが、方法やポイントを読みながら、まずは毎日少しずつでも継続して習慣づけてみてください。気づいた頃にはきっと肩こりが楽になっているはずです。

肩こりでお悩みの方は是非一度試してみてはいかがでしょうか。

(松井 洸)

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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