肩こりと吐き気・めまい・頭痛・下痢がある時のその原因と対策

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター松井洸 / 理学療法士

肩こりと吐き気

(c) metamorworks - Fotolia.com

【記事のポイント】
1. 肩こりに伴って、吐き気、めまい、頭痛が起こる場合もある
2. 吐き気、めまいには良性頭位発作性めまい症、メニエール病が関与している可能性がある
3. 頭痛には片頭痛、緊張型頭痛が関与している可能性がある

日本人に多い症状の一つでもある肩こりですが、それに伴うそれ以外の症状もあります。

肩こりに伴う、吐き気・めまい・頭痛など、肩こりだけでなく、それ以外の症状を感じたことがある方も少なくないのではないでしょうか。

本記事では、肩こりに伴う各種症状の原因と対策についてまとめています。

肩こりに伴う症状

ここでは、肩こりに伴う代表的な症状として、吐き気、めまい、頭痛について、肩こりとどのように関係するのかを見ていきます。

肩こりというのは体に起こる症状の一つであり、肩周りの筋肉が硬くなってしまうような姿勢や反復した動き、ストレスや生活習慣などが関わっています。

このように、何か原因となる背景があって肩こりを感じ、原因の1つに吐き気やめまい、頭痛が含まれています
普段から頭痛持ちでそれと同時に肩こりも感じているというようなことです。

それぞれの症状の誘因となり、かつ、肩こりを伴う病気や症状としては以下の通りです。


・吐き気、めまい → 良性頭位発作性めまい症(Benign Par-oxysmal Positional Vertigo:以下、BPPV)、メニエール病
・頭痛 → 緊張型頭痛、片頭痛
・吐き気、めまい、頭痛、下痢→自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)

それぞれ以下で解説します。

 

肩こりと吐き気、めまいの関係

BPPVとは、頭を特定の位置にすると起こるめまいのことを指し、眼振(眼球が揺れたように動くこと)が特徴です。

メニエール病とは、難聴、耳鳴りなどの聴覚障害を伴うめまい発作を反復するものを指します。発作時間は10分程度から数時間、発作回数は年数回から週2~3回と幅広く、2年程度で軽快する場合もあれば、10年もの期間に及ぶ場合もあるとされています。

BPPV、メニエール病の主な症状は以下の通りです。


・回転性のめまい(自分自身や周囲がぐるぐる回るようなめまい)
・上記のめまいに付随して、悪心(吐き気を催すこと)を伴う

BPPV、メニエール病ともにめまいが主症状ですが、違いとしては以下の通りです。

・BPPV→聴覚症状がない、症状は一過性で短時間
・メニエール病→聴覚症状がある、症状は持続的で10分から数時間

これらと肩こりの関係ですが、ある報告では、その調査に参加した慢性的なBPPV患者の約8割の方には肩こりと頭痛の訴えがあったと報告されています。(参考文献①)

 

肩こりに伴う吐き気、めまいの対策

BPPV、メニエール病どちらも対策としては、薬物療法頭位治療法と呼ばれるものが一般的です。
稀にメニエール病では手術療法もおこなわれます。

 

薬物療法

急性期のめまい、悪心、嘔吐に対する対症療法、前庭機能(ぜんていきのう)の回復を図る治療がおこなわれます。(参考文献②)
抗めまい薬、抗不安薬、血管拡張薬などが用いられます。

前庭とは、平衡感覚(へいこうかんかく)を司る部位で、体がどちらを向いているか、どれくらい傾いているか、動いているかどうかという情報を感知しています。

 

頭位治療法

頭位治療法とは、首の運動によって頭の位置を変えることで、耳の奥に位置する平衡感覚を司る三半規管内の耳石(じせき)と呼ばれるものを正しい位置へ戻すことを目的とした治療法です。耳石を正しい位置へ戻すことで、めまい症状の軽減を狙ったものです。

これは、耳石がどこにあるかで方法が分かれます。

剥がれた耳石によってめまいが引き起こされるため、正しい位置へ戻すための手段として頭位治療法が用いられますが、代表的なものとしてはEpley法という方法があります。

これまでの研究知見を系統的にまとめた報告では、11の研究の745人の患者を対象にEpley法の効果について検討されています。その結果、無治療群と比べて、Epley法の治療を受けた群の方が、めまい症状、眼振が消失し、他の治療法と比べても高い効果があるとされています。(参考文献③)

しかし、この方法は耳や三半規管などの構造を熟知した上で、決められた手順でおこなわれるものであるため、耳鼻咽喉科への受診が勧められます。

 

肩こりと頭痛の関係

肩こりは一般的に多い訴えですが、頭痛を訴える方で肩こりも訴える方はそうでない方と比べても多い傾向にあります。

ある調査では、片頭痛、緊張型頭痛の両方をもつ方の約89%、緊張型頭痛のみの方の約88%で肩こりの訴えがあったとしています。(参考文献③)

原因としては、下記の3つが考えられます。


・筋肉、関節の問題
・ストレスの問題
・ライフスタイルの問題

筋肉、関節の問題と対策

主に、首から背中にかけての筋肉が持続的に伸ばされている、後頭部の後頭下筋群(こうとうかきんぐん)が縮んでいることが問題となりやすいです。

猫背で頭が前へ出るような姿勢で首や背中の筋肉に負担がかかった結果、肩こりを引き起こし、首や背中の筋肉は頭や顔周りの筋肉とも繋がっているため、頭痛も伴うことがあります。

お腹や胸の筋肉のストレッチ、背筋の筋力トレーニングで姿勢を改善することで、首や肩周りの筋肉にかかる負担を軽減することができます。

具体的な運動に関しては、「肩こりと頭痛がひどい!その原因と対策をご紹介!」の中で紹介しております。

 

ストレスの問題と対策

ストレスは頭痛を起こす頻度が高い要因の一つとして挙げられており(参考文献⑤)、ある研究では約60%がストレスを感じていると同時に頭痛も感じていると報告されています。(参考文献⑥)

ストレスを感じる要因としては、生活の中の精神的な緊張、睡眠不足、疲労などが複合的に関わっており、個人によって原因は異なるため、何が自分にとってストレスとなっているのかをよく振り返って考えてみることが必要です。

ストレス、具体的な対策に関しては、「心理的ストレスが肩こり・首の痛みの原因かも!-28の研究結果から-」で紹介しております。

 

ライフスタイルの問題と対策

頭痛と肩こりを感じている方の特徴として、運動不足、健康状態の低さの自覚、生活満足度の低さ、ストレスの高さが挙げられています。(参考文献⑦)

運動不足や健康状態への対策として、有酸素運動によって頭痛の頻度、痛みの強さや持続時間、肩こりの程度が減少したという報告があります。(参考文献⑧)

また、妊娠や生理中の女性は頭痛を感じやすいと言われていたりもしますが、頭痛との関連も指摘はされていてもはっきりとしたことは分かっていないようです。(参考文献⑨)

詳しくは、「肩こりと頭痛がひどい!その原因と対策をご紹介!」もご参照ください。

 

肩こりと自律神経失調症の関係

交感神経あるいは副交感神経が過剰に緊張し、自律神経のバランスが崩れることで発現する症状のことで、医師による検査においてこれといった原因となる病気、精神的な病気がない場合に自律神経失調症と定義されます。

自律神経とは、血圧や体温のように意志とは関係なく、自律して働き心身を健やかに保つために働く機能のことを指します。

心理的なストレス、不安や怒り、悲しみや恐怖などの情動の興奮が過剰になると、自律神経の活動に影響し、様々な症状を呈します。

主な症状としては、以下の通りです。


・吐き気
・便秘、下痢
・めまい、耳鳴り
・頭痛
・肩こり
・腰痛
・不眠
・倦怠感、易疲労性
・動悸
・血圧の変動

自律神経は血圧や体温など、体のあらゆる生理機能を担っているため、様々な症状を起こす可能性があります。

肩こりもその内の一つで、精神的なストレスによって筋肉も緊張してしまうことがあります。緊張する場面で無意識に肩に力が入ってしまうことは、誰しも一度は経験があるのではないでしょうか。

他にも、自律神経のバランスによって、血管がきゅっと縮んだ状態が続くと、それに伴い筋肉も緊張したり、疲労物質や発痛物質が溜まってしまい、肩こりを起こすことも考えられます。

対策としては、先述した「ストレスの問題と対策」の内容をご参照ください。

 

病院へ受診した方が良い場合

このような症状がある場合は病院で受診をお勧めします。


・突然の吐き気や嘔吐
・いつまで経っても治まらない吐き気や嘔吐
・日常生活もままならないくらいめまいが強い、頻度が多い
・呂律が回らない
・体の半身の脱力感
・突然の頭痛
・今まで経験したことがない頭痛
・安静にしていても痛い
・腕や指にしびれがある
・痛みが次第に強くなっている

上記の症状に当てはまる場合、脳や神経の問題によって起こっている可能性があります。

症状によって受診する科が異なりますので、以下の対応する科を参考に受診してください。


・吐き気、めまい:消化器内科、耳鼻科、神経内科
・頭痛:神経内科、脳外科
・肩の痛み、しびれ:整形外科

まとめ

本記事では肩こりに併発する吐き気、めまい、頭痛に関して解説しました。全てを自分で何とかしようとせず、心配な場合は病院を受診して対策を検討されてはいかがでしょうか。

(松井 洸)


▼ 参考文献①
タイトル:Pain and other symptoms in patients with chronic benign paroxysmal positional vertigo(BPPV).
雑誌名:Scand J Pain. 2013 Oct 1;4(4):233-240.doi: 10.1016/j.sjpain.2013.06.004.
[PMID: 29913653]
▼ 参考文献②
タイトル:抗めまい薬の作用メカニズム.
雑誌名:Equilibrium Res 59: 93―102, 2000
▼ 参考文献③
タイトル:The Epley(canalith repositioning) manoeuvre for benign paroxysmal positional vertigo.
雑誌名:Cochrane Database Syst Rev. 2014 Dec 8:(12):CD003162. doi: 10. 1002/14651858.CD003162.pub3.
[PMID: 25485940]
▼ 参考文献④
タイトル:Prevalence of neck pain in migraine and tension type headche :a population study.
雑誌名:Cephalalgia. 2015 Mar;35(3):211-9.doi: 10.1177/0333102414535110. Epub 2014 May 22.
[PMID: 24853166]
▼ 参考文献⑤
タイトル:Level of physical activity,well-being ,stress and self-rated health in persons with migraine and co-existing tension-type headache and neck pain.
雑誌名:J Headache Pain. 2017 Dec;18(1)46. doi: 10.1186/s10194-017-0753-y. Epub 2017 Apr 18.
[PMID: 28421374]
▼ 参考文献⑥
タイトル:the triggers or precipitants of the acute migraine attack
雑誌名:cephalalgia.2007 May;27(5):394-402.Epub 2007 Mar 30.
[PMID: 17403039]
▼ 参考文献⑦
タイトル:precipitating factors in migraine a retrospective review of 494 patients
雑誌名:Headche.1994 Apr ;34(4):214-6
[PMID: 8014037]
▼ 参考文献⑧
タイトル:Level of physical activity,well-being,stress and self-rated health in persons with migraine and co-existing tension-type headache and neck pain.
雑誌名:J headache pain.2017 Dec;18(1):46.doi:10.1186/s10194-017-0753-y.Epub 2017 Apr 18.
[PMID: 28421374]
▼ 参考文献⑨
タイトル:Has aerobic exercise effect on pain persons with migraine and coexisting tension-type headache and neck pain?A randomized,controlled,clinical trial.
雑誌名:Eur J Pain. 2018 Apr 10. doi: 10.1002/ejp. 1228. [Epub ahead of print]
[PMID: 29635806]
▼ 参考文献⑩
タイトル:わかりやすい病気のはなしシリーズ19 自律神経失調症
雑誌名:一般社団法人 日本臨床内科医会
http://www.japha.jp/doc/byoki/019.pdf

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