デスクワーカーの肩こり・首の痛みに有効な職場での対策とは?ー27個の研究結果からー

監修者青山朋樹 / 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 教授(医師、Ph.D)

ライター山下真司 / 理学療法士 / 修士号(医学)

筋トレの肩こり・首の痛みへの効果

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【記事のポイント】
1. 肩こりや首の痛みには様々な対策方法がある。
2. 筋力トレーニングの効果が最も大きい可能性が示された。
3. 自分にあった筋力トレーニングを実践してみよう。

肩こり・首の痛みに悩んでいる方で、これまで色々な対策をしてきた方も、これから何か対策を始めようという方もいると思います。せっかく時間を使って対策するなら、より効果的な対策をしたいものですよね。

肩こり・首の痛みの対策には、筋力トレーニング、ストレッチ、有酸素運動、マインドフルネスなど色々ありますが、どれが効果的なのでしょうか。

今回ご紹介する報告は、デスクワークによって生じた肩こりや首の痛みに対する対策で、特に職場でできる対策の効果を検証した結果をご紹介いたします。

561の論文から選別された27の研究を用いた解析

今回の研究では、過去に報告された論文の結果を統合する解析を行う手法を用いました。一般的にこの方法によって得られた結果は対象となる人数が多いため、結果の質が高いと言われています。

過去の文献は、4つの医学文献データベースから検索されました。文献検索の際には、「首の痛み」「職場環境」「オフィスワーク」という単語が含まれました。

4つの医学文献データベースから検索された論文数は合計で735ありました。その上で、重複した論文を除くなどして、合計561の論文の質を評価しました。論文の質の評価には、以下の様な基準を設けました。


■ 対策したグループとしないグループで結果を比較していること(ランダム化比較試験という研究の質が高いと言われる研究手法)
■ 対象となった人が長時間座っているデスクワーカーであること
■ 首や肩こりの程度の変化をメインの結果としていること
■ 首や肩こりの発生頻度などを確認していること

このスクリーニングの結果、最終的に残った27の論文を用いて,その後の解析を行いました。

職場でできる対策は何が効果的か?

解析に用いた論文では、筋力トレーニングや、ウォーキングといった有酸素運動を行っているものが多くを占めていたため、「トレーニング」と「有酸素運動」というカテゴリーに分けて解析を行いました。

「トレーニング」の効果を検証した5本の論文と、「有酸素運動」の効果を検証した2本の論文を比較した結果、両者とも効果を認めましたが、「トレーニング」を行った場合の方が首や肩の痛みが軽減する可能性があることが分かりました。

その理由として、筋力トレーニングでは、解析の際に大規模で質の高い研究を含んでいたため、このような結果が得られたのではないかと筆者らは述べています。なお、筋力トレーニングではダンベルやセラバンドを用いた運動を行っていました。

マウスの位置や普段の姿勢なども影響??

デスクワークでの対策についてまとめた結果、コンピュータのモニターの位置やマウスの位置、普段の姿勢といった「作業環境」や「作業姿勢」を改善することも、効果がある可能性が示されました。

腰痛に関連した環境の調整方法ではありますが、「座りすぎによる腰痛を防ぐデスクワーク環境の整え方!」で作業環境の改善案を詳しく述べていますので、こちらを参考にしながら、ご自身の身の回りを振り返ってみるのも良いかもしれません。

しかしながら、これらの効果を実際に推奨するにはまだ報告が少ないと筆者らは述べており、今後さらなる質の高い研究結果が蓄積されていくことによって、効果が明らかとなってくるでしょう。

今回の結果の信頼性について

しかしながら、この解析では、27の論文の中でも比較的研究の質が良いと思われる数本のみを用いて行っています。

また、この報告では質の低い研究を含む・含まないを比較していません(感度分析)。今回の研究で行われた手法を用いると過去に報告された複数の論文の結果をまとめることが可能ですが、質の低い研究が多く含まれている場合、結果が歪んでしまう可能性が大きくなります。

したがって、今回の報告では得られた結果に偏りが生じている可能性があるので、結果の解釈には十分に注意しましょう。

今回の研究のみでは、いずれの対策においても強い確信度をもって、推奨するレベルには至りませんので、今後さらなる質の高い研究がなされることで、効果的な対策についてより明確な結論が得られるようになるでしょう。

できることから対策を

今回の検証の結果、筋力トレーニングやウォーキングなどが効果的であり、特に、筋力トレーニングを行った際に効果が大きい可能性が示されました

この報告から筋力トレーニングが効果的であることが分かったので、ここでは「肩こりを悪化させてしまう間違った筋トレとは?」でもお伝えしたような、首回りや肩周りの筋力トレーニングの方法についてお伝えします。

<目的>
・頭を支えるための、首回りの筋力を使う

<手順>
1. 後ろで手を組み、後頭部に手を当てがう(横の場合は片手をコメカミ付近に当てがう)
2. 手と頭で押し合いながら5秒間数える(あごをそのまま後ろに引くようにする)
4. 5~10セット行う

<ポイント>
・背筋と首をまっすぐにした状態を保つこと

(c) BackTech Inc.

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この運動でしびれや痛みが強くなる場合は、運動を中止してください。

これ以外にも肩回りの筋力トレーニングの方法はいくつかあります。自分に合った筋力トレーニングを探してみるのも良いかもしれません。

訂正(2018/09/20)

「今回の報告で用いられた過去の論文(対象論文)の質を考慮して効果を提示すべき」とのご意見をいただきましたので、編集部で再度文献を読み直し、下記のように文章を修正いたしました。今後も我々は正しい情報の発信に対して責任を持ち、良質な記事の配信をより一層努めてまいります。

【修正前】
「トレーニング」の効果を検証した5本の論文と、「有酸素運動」の効果を検証した2本の論文を比較した結果、両者とも効果を認めましたが、「トレーニング」を行った場合の方が首や肩の痛みが軽減することが分かりました。

【修正後】
「トレーニング」の効果を検証した5本の論文と、「有酸素運動」の効果を検証した2本の論文を比較した結果、両者とも効果を認めましたが、「トレーニング」を行った場合の方が首や肩の痛みが軽減する可能性があることが分かりました。

【追記】
しかしながら、この解析では、27の論文の中でも比較的研究の質が良いと思われる数本のみを用いて行っています。また、この報告では質の低い研究を含む・含まないを比較していません(感度分析)。今回の研究で行われた手法を用いると過去に報告された複数の論文の結果をまとめることが可能ですが、質の低い研究が多く含まれている場合、結果が歪んでしまう可能性が大きくなります。したがって、今回の報告では得られた結果に偏りが生じている可能性があるので、結果の解釈には十分に注意しましょう。今回の研究のみでは、いずれの対策においても強い確信度をもって、推奨するレベルには至りませんので、今後さらなる質の高い研究がなされることで、効果的な対策についてより明確な結論が得られるようになるでしょう。

【修正前】
今回の検証の結果、筋力トレーニングやウォーキングなどが効果的であり、特に、筋力トレーニングを行った際に最も効果が大きく見られました。

【修正後】
今回の検証の結果、筋力トレーニングやウォーキングなどが効果的であり、特に、筋力トレーニングを行った際に効果が大きい可能性が示されました。

(山下真司)


▼ 参考文献
タイトル:Workplace-Based Interventions for Neck Pain in Office Workers: Systematic Review and Meta-Analysis.
雑誌名:Phys Ther. 2018 Jan 1;98(1):40-62.
[PMID:29088401]

  • *当記事は、健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解・治療法を支持・推奨するものではございませんので、ご了承ください。
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